渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。千代田区の12万円給付計画が話題です。
東京都千代田区は、新型コロナ対策として区民全員に一律12万円を給付する方針を固めた。
(中略)
東京新聞7月22日
区の人口は約6万6500人で支給総額は80億円以上となる。2020年度財政見通しで458億円に上る財政調整基金を取り崩し、財源に充てることが検討されている。
これについて、検証&意見表明動画を作りました。
動画よりも文字のほうがいい! という方もいらっしゃると思いますので、ブログで詳細を書いておきます。
<最初に結論>
千代田区並みの「区民全員給付金」を渋谷区や他でやるべきか?
結論を言えば、×。あまりお勧めできないです。
- 理由1:いざという時に使う貯金がなくなる
- 理由2:費用のわりに効果が高くない
それでは詳細をご説明します。
<千代田区の給付金について>
まず、今回ニュースになった千代田区の給付金です。
概要を読む限り、
- 区民1人当たり月1万円、1年分の12万円をわたす
- 財源は財政調整基金をつかう
ということです。
財政調整基金はいざ! という時のための虎の子の貯金で、税収が一気に減った時などに使います。
コロナでいざ! という時だから使うということですね。
千代田区民は約6万人なので、使用するのは72億円程度。
財政調整基金は450億円程度なので、そのうちの15パーセントほどを使うことになります。
ちなみに千代田区の1年間の予算はおよそ600億円前後なので、12万円を給付しても半年分くらいの貯金は残ることになります。
なので、千代田区は給付するに十分な余裕がある、ともいえそうです。
<渋谷区で同金額だと?>
仮に渋谷区で試算すると、
人口22万人×12万円=264億円
となり、結構な金額になります。
渋谷区は財政調整基金が350億円前後で、264億円を給付すると基金残高が90億円を切ることとなります。
渋谷区の1年間の予算は1000億円程度。最低限必要とされる基金の額は20パーセントの200億円なので、千代田区と同じ水準の給付はとてもではないけど無理です。
財政調整基金残高が財政規模の9%になってしまうのは厳しい…
<品川区の水準だと?>
品川区は1人3万円+中学生以下に追加2万という給付金です。
これを渋谷区に当てはめると
22万人×3万円+2万5千人×2万円=71億
です。
350億円の財政調整基金から71億円を引くと280億円くらいなので、最低限必要とされる基金の水準である200億円は超えることになります。
なので、規模感からすると実現の可能性はある、といえます。
ただし追加支援は厳しくなるでしょう。財源がなくなります。

<できるだけ効率的に!>
実は、私は本会議で「財政調整基金を70億円取り崩して区民支援を!」と提案しています。
ただしこれは上限とするもので、その中で効率的にコロナ対策を進めましょうよ、という考え方です。一律給付で全部使ってしまえとは思いません。
一律給付ですと、生活に変動がなかったり余裕があったりする方にも支給されることになるからです。
限られた財源です。できるだけ効率的に対策するには収入が急減した方、医療機関、保育園や小中学校など渋谷区の対策(休園・休校など)で生活に変化があった方などに重点を置いて支援を行うべきと思います。
<私の意見まとめ>
- 財政調整基金の水準からは、千代田区(1人12万円)と同額は無理
- 品川区の水準(1人3万円、中学生以下5万円)は可能。ただし追加支援は難しい
- 一律給付だと生活に余裕がある方にも支給されるので効率的とは言えない
- 収入急減、医療機関や関係者、子育て世帯などに重点を置いた支援のほうが良い
以上、千代田区・品川区の給付金について検討してみました。結論としては給付金制度は導入しない方がいいと考えています。
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