渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。




令和5年度渋谷区予算案について、賛成の立場から「注文型の討論」をしましたので公開しておきます。




平たく言えば賛成した理由と注文です。




渋谷区の令和5年度予算




<令和5年度渋谷区予算討論>




令和5年度一般会計予算に賛成の立場から討論をいたします。評価できる点を簡潔に述べたうえで今後の課題をいくつか指摘いたします。




賛成理由1:選挙公約の完成




まず、長谷部区長の前回の選挙公約区民との約束の大半を本予算で完成させました。この4年間はその大半が新型コロナウイルス感染症により大きく影響されましたが、それによって変更せざるを得ないもの以外は着実に進めてきた点を評価します。




賛成理由2:評価できる個別政策




個別の施策においては、




  • 子育て・教育分野では「未来の学校」建て替え計画に着手
  • こども医療費の無償化の対象拡大
  • 児童発達支援センターの設置や保育所等訪問支援の拡充
  • 渋谷ユナイテッドによる部活地域移行とスポーツ・文化振興
  • 福祉・健康分野では重層的支援体制の整備や帯状疱疹ワクチンの半額補助
  • 安全安心分野でのパトロール警備事業実施
  • 区民生活支援と地域産業振興を両立させるハチペイのさらなる展開
  • インフラ更新




などについて、評価するものです。よって本予算に賛成いたします。




【課題1】区民生活の支援が必要




つづいて今後の課題について触れておきます。
課題の第一は住民生活の支援です。デフレ経済からインフレ経済への転換期に当たり、住民生活はほんろうされています。将来設計やキャリアデザイン等が揺らいでいるはずですが、人間そんなに簡単に頭や感覚や計算を変えられませんから、当面の間は住民の生活支援に意を払うべきです。




今年度最終補正で積み増す90億円の基金については今後柔軟に扱い、状況によっては速やかに生活支援に回すよう要望いたします。




【課題2】使いやすくわかりやすいことをデザインの前提に




課題の第二はデザインです。話題のthe Tokyo toiletやアロープロジェクトなどが典型ですが、安全や使いやすさ・わかりやすさが前提にあっての高いデザイン性、新規性であろうと思います。この辺りにご留意いただきつつ、さらにデザインの力を活用していただくよう要望いたします。




これは私の雑感ですが、巨匠と言われる方は本当にユーザーフレンドリーなのか?疑問を持ってしまいます。区民目線、ユーザー目線でのデザイン活用を願うものです。




私はデザインの力を信じていますので、ぜひ適切にご活用いただくようお願いいたします。




【課題3】この機会にトイレの課題解決を




課題の第三もトイレです。昨今のトイレを巡る騒動は実態とかけ離れたご批判も散見されるものの、トイレに対する女性の潜在的な不満や不安が顕在化したものと考えています。




3月8日に区長に要望書を提出いたしましたが、既存の公衆トイレにおいて防犯カメラ設置等を進めるとともに、トイレ環境整備方針について防犯・安全安心の観点を盛り込んで改正することが必要です。トイレ環境整備方針は様々な事情を抱えた方のトイレ利用についてできるだけ配慮することを目指した先進的な取り組みです。これを前向きにアップデートしていくことを求めます。
併せて、トイレにおいてはキャパシティが非常に重要であるということも明らかになりました。現在渋谷駅周辺は公衆トイレのキャパシティが十分でなく、特に交通関係者からは不足が訴えられています。




これらトイレをめぐる課題の解消を強く求めるものです。




【課題4】「区政は自分と関係ない」と思われている?




課題の第四は、どうも少なくない区民が「自分と関係ない方向に区政が進んでいる」と感じてしまっているのではないか、という点です。私が実施したアンケート調査に書かれた意見を読んでいてそう感じました。
長谷部区長は多くのメディアに掲載されています。他区と比べても圧倒的に多いと思います。それはいいことなのですが、2020年以降のある新聞の記事データベースから掲載頻度順に項目を並べると




ハロウィン対応、年越しとメタバースが同数、次いでスタートアップ、そのあとにコロナ対応




と区民生活に直結した話題は少ないです。
別の新聞でも




ハロウィン、スタートアップ支援、アオガエルの移動、年越し、コロナ




とこちらも区民生活に密接したものが少ないです。
これは仮説に仮説を重ねたものにすぎませんが、せっかくいろいろな新しい挑戦をしても、どう区民生活の向上につながるのか、それを伝えきれていないのかもしれません。




ロンドン・パリ・ニューヨークと肩を並べるという意欲的な目標が達成されたとき、どんな風に区民が幸せになるのか。これをもっと積極的に区民に示していく必要を強く指摘いたします。せっかく先進的な取り組みをやっているのですから、あまねく区民にその良さを示していきましょう。
そして、つらい状態にいる区民、日々の暮らしに切羽詰まっていて最先端の区政なんてどうでもいい区民もいらっしゃるわけです。弱い立場にいる区民をまず助けていく姿勢も明確にするよう求めます。




【課題5】感染症対策




最後に感染症です。新型コロナウイルス感染症を含む感染症に対して機動的に対応し、また予防策を強化していただくことを強く求めます。




以上、課題を申し上げて討論といたします。