渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。

昨日の本会議報告の続きです。今日は「公益社団法人等への職員派遣」です。

 

<前提>

 

職員を公益社団法人等へ派遣する場合、条例で定めなければなりません。

大抵は区の外郭団体で、区が過半の出資をしているため毎年予算&決算の報告が議会に対して行われます。

ところが今回は、

  • 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
  • 一般社団法人渋谷未来デザイン

の二つ。

組織委員会はもちろん区の外郭団体ではありません。渋谷未来デザインの方は区の外郭団体ですが、「出資が過半数でない」とのことで議会への報告義務がありません。

 

そこで、

  • 区の職員を派遣するのに適切な団体と言えるのか(組織委員会は区の仕事ではないので)
  • 事業に関して適切な報告を受けることができないのではないか
  • まだ設立されていない社団法人に派遣をすることの是非(未来デザインは今後設立)

が大きな論点となりました。

 

<渋谷未来デザインについて>

 

渋谷駅周辺地域の未来デザインについてはこれまでもさまざまな会議体をつくり、区だけでなく民間企業や有識者、関心のある人を巻き込んできました。

さらに発展させ、区と企業が出資をして社団法人をつくり、具体的な事業もすすめていこうとするものです。

 

これについては、

  • 7000万という大きな金額を出資するが納得できる説明がされていないのではないか
  • 事業実施に関して協賛企業が優先されるのではないか

などが論点となりました。

 

<私の考え>

区はいいことをやろうとしているように思いますが、きちんと説明しないといけない案件だなとおもいます。

実際、インターンは色々な疑問を持ったようです。これは区民の納得感が得られないのではないかなと。

そこで、賛成はするけれども要望事項をセットにした形にしました。

 

以下本会議での原稿です。

3分弱でよめてしまうのでぜひどうぞ。

 

 

——–

 

議案第2号 公益的法人等への職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例について賛成の立場から討論いたします。


今回の条例は派遣先団体の追加であり、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会については異議ありません。

一般社団法人渋谷未来デザインについては、渋谷に集う多様な人々のアイディアや才能を領域を超えて収集し、オープンイノベーションにより社会的課題の解決策をデザインする組織として、調査研究、計画立案、実践の推進及びこれらの支援等を目的として産官学の連携のもと設立するものです。行政だけでは実現できない区民のための新しいサービスを生み出そうとするものであり、その成果をおおいに期待するものであります。


ただし、区民への説明の観点から、慎重な対応も必要であると考えます。


委員会を傍聴していたインターンの学生からは、


・議会の関与が足りないらしいけど本当にいいのか?

・任意設置の評議会に町会代表が1名入るだけで地域の声は届くのか?

・1000万円を出資する協業パートナーを連携事業で優先するのは問題にならないのか?


との疑問がだされました。これは経緯等の詳細を知らない一般の区民も抱きかねない懸念点ではないでしょうか。


そこで、渋谷未来デザインを設立し職員を派遣するにあたっては、

1)区議会の委員会等で積極的に報告すること

2)地域代表を増やすこと

3)協業パートナーを含めた産官学民の取り組みとそこから生み出される新しいサービスについては、区民の理解を得るため取り組みの経緯等についてわかりやすく情報発信すること

以上の点を要望いたします。


渋谷区は幸いに大学や有識者、有力な企業・個人などが積極的にかかわってくださる土壌があります。これらを活かした今回の取り組みが、日頃から区長がおっしゃっている「人間中心の未来を作る取組み」として渋谷から世界に向けて発信され、渋谷、東京、ひいては日本のブランド力をさらに高めることにつながることを期待しています。

以上、職員派遣する両団体が適切に機能し、渋谷の発展のために資することを願って賛成の討論といたします。