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渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。

 

年末年始、大変残念な事件が起きてしまいました。

渋谷駅周辺のみやしたこうえん、神宮通り公園、美竹公園の3公園が、ホームレスおよび炊き出しを予定していた団体を排除するためなのか、渋谷区は12月26日~1月3日まで閉鎖しています。

 

東京・渋谷区:宮下公園など3日まで閉鎖 ホームレス締め出し(毎日新聞12月27日)

東京都渋谷区が、宮下公園(渋谷区神宮前)など渋谷駅周辺の区立公園3カ所を26日から来年の1月3日まで終日閉鎖している。ホームレスやその支援団体が公園内での炊き出しや宿泊などで使用しないよう区側が先手を打った格好だが、支援団体側は強く反発している

 

いずれの公園も深夜早朝は施錠し、寝泊りなどで利用することはできません。ですから、事実はともかく公式的にはホームレスが居住しているわけではありません。ただ、公園を終日閉鎖して支援活動まで排除するというのはさすがにひどいと思う。昨年の閉鎖に当たっては私たち民主党としても渋谷区に対し懸念を表明していますが、完全に無視された形となりました。

この件については、人権にかかわる問題もあり、複雑な経緯もあり、ブログで意見表明をするのが非常にためらわれるところもあるのですが、渋谷区民の問い合わせも多いため自分の考えを書いておきます。

 

個人の意見としては、「支援活動は重要な意義を持ち、渋谷区としては過度な規制をするべきではない。だから、今回のやり方は不当。ただし、路上で生活出来るようにすることは渋谷区のするべき仕事ではなく、できるだけ自立支援を充実させる方向に向かうのが望ましい」というものです。

渋谷区は徹底して命を守るために福祉的対応を取るべき(ひとりひとりが複雑な事情を抱えていて、かつ渋谷区の姿勢の問題もあって、難しいのですが)であって、今回の対応はその正反対であると思います。

ただ、いままで12年の議員活動で見聞きしたことを考え合わせると、渋谷区側だけでなくホームレス支援者側も常にやりすぎのところがあるのも否定できません。渋谷区も支援者側もお互いが不信感を持っているようですが、出来れば冷静にエスカレートするのではなく鎮火の方向を模索するのが大事だろうなぁとおもいます。少なくとも今回の行政の対応はやりすぎですし、支援者側もそれを受けてかなり騒いでいらっしゃるのはどうかと思います。渋谷区側には世論の非難が、支援者側には地域住民(渋谷駅周辺だって住んでる人はたくさんいます)の嫌悪が向かっており、こじれるだけです。

冷静で適切な解決を求めていきたいけど、それぞれ不満や不信が積みあがっているだろうから非常に難しい…まずは渋谷区側が対応を改めるのが先決かなとも思っています。

平成22年の行政代執行時には、渋谷区は1年がかりでホームレス全員と交渉していました。もちろん、渋谷区側のいわゆる「大本営発表」なのかもしれませんが、それくらいの粘り強さと使命感を持って対応すべきです(ただし、この「説得」も場合によっては強制や排除につながるので慎重でなくてはなりません)。ですから、今回のいわゆるホームレス支援団体排除は不当だと思います。

 

なお、宮下公園のホームレスの人たちにつきましては、昨年来、区として生活再建に向けた人道的な支援を積極的に行い、本人の意向を尊重しながら、一人一人丁寧に自立支援を行ってまいりました。その結果、現在公園からの移転の意思が確認されている1名を残し、移行が実現したところでございます。(平成22年10月5日都市環境委員会、当時の日置土木部長発言)

 

今回の件については、渋谷区長等意思決定のできる人に意見をぶつけて交渉しようと思ったのですが、残念ながら無駄足に終わりました。力不足で申し訳ありません。

4日に民主党渋谷区議団で協議して、抗議文を渋谷区長にあてて提出する予定です。また、渋谷区議会の公式な場である本会議や委員会などで、民主党渋谷区議団として問題点を厳しく指摘していきます。

 

(注)一部、「一時集合場所を閉鎖するのは何ということだ! 大震災がおこったらどうするのだ!」という意見があるようですが、一時集合場所は渋谷区民のための施設です。東京都が対応すべき広域課題の帰宅困難者対策は東京都・企業・学校等と連携して帰宅困難者向けの施設が整備されているので、そちらをお使いいただく、という話になるでしょう。さすがに20万区民の渋谷区は昼間人口50万・通過者も含めると100万人近くなるであろう帰宅困難者の保護までは手が回りません。

なお、夜間等施錠時の一時集合場所は、町会等地域の方も渋谷区側も何人かがカギをもって開ける体制になっているので、そこの体制については十分吟味されたのかどうかが問われます。


(追記)

誤解されがちな点について。

1)公式的には宮下公園他2公園はホームレスが住んでいない

夜間は施錠されているので、その内側にはホームレスは住んでいない。なので、「ホームレスが追い出される」と言うのは無理がある。

 

2)公園の利用申請は、然るべき時間がかかる。

各種イベントで公園を使う際には、協議・調整ののち公園の利用申請が許可される。
支援団体側は26日に利用申請をしたとのことだが、「明日使うのでよろしくお願いします」は当然無理。
命にを救う大事なイベントなのだから、もっと綿密に区と協議すれば避けられたのではないだろうか?

 

3)供用停止が決定した後、利用申請出しても許可が出ないのは当たり前。

普通、「利用申請が来ましたから供用停止は見直しましょう」はありえないです。

渋谷区の対応ももうちょっとやりようがあると思うけど、支援団体側もやりようはあったのではないか。
新聞記事からはそう思います。

 

 東京・渋谷区:宮下公園など3日まで閉鎖 ホームレス締め出し(毎日新聞 14/12/27)

 

東京都渋谷区が、宮下公園(渋谷区神宮前)など渋谷駅周辺の区立公園3カ所を26日から来年の1月3日まで終日閉鎖している。ホームレスやその支援団体が公園内での炊き出しや宿泊などで使用しないよう区側が先手を打った格好だが、支援団体側は強く反発している。

 終日閉鎖されるのは宮下公園と神宮通公園(渋谷区神宮前)と美竹公園(渋谷区渋谷)。いずれも通常、深夜・早朝は閉鎖しているが、終日閉鎖は昨年 末以来(神宮通公園は初)となる。約10年前から渋谷駅周辺で寝泊まりしている男性(57)は、「身の回りの荷物の置き場所がなくなってしまった」と困惑 する。

 

「命に関わる」渋谷炊き出し決行 公園使えず歩道脇で(東京新聞 2014/12/30)

年末年始の貧困者への炊き出しをさせないことを目的に、東京都渋谷区が区立宮下公園など3公園を閉鎖した問題に絡み、支援団体は29日、同公園に隣接する歩道脇のスペースで炊き出しを始めた。

 団体側は26日に区へ公園の利用申請を出したが、「(1月3日まで)供用を停止しているため」との理由で許可されなかった。メンバーらは歩道脇で の炊き出しに「行くところがどこにもなかった。命に関わるため、やむを得なかった」と説明している。区側とのトラブルはなかった。