渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。
渋谷区が進めている「未来の学校」が、どうも教育に身近でない方にとっては「こんなの教育じゃない」と思われる可能性がありそうなので、私なりに解説しようと思い立ちました。

第2回はフューチャールームと教室です。こちらも馴染みない言葉ですね。









フューチャールームのところから再生されます




フューチャールームとは




フューチャールームとは複数の大型提示装置(スクリーンやモニター)や電子黒板、Wi-Fi環境などを備えた教室です。備前市が発祥なのかな。

オンライン会議システムの活用が前提です。先生の授業用資料や児童生徒の課題やプレゼンをスクリーンに投影したり、オンラインでつないだ外部と授業や交流を行ったりという使い方が可能になります。

発達段階によって使い方も効果も変わるでしょう。




「新しい学校づくり」整備方針より




実を言えば、PVの中で「教室」として表現されているのは私の感覚ではフューチャールームのことだと思います。ちょっと混同があるかも。
フューチャールームで語られているのはPC室という感じ。
全教室がPVで示されているような感じになるとしたら、すごいことだなと。オーバースペックな気もするくらいです。

いずれにせよ、教室がオンライン化され外部との連絡や多様な学び・交流が可能になるという方向性です。




導入の背景




背景としてあるのが、今の学校教育の方向として「個別最適な学び」と「協働的な学び」を同時に充実させるという目標があることです。

特に「協働的な学び」は、異なる考え方が組み合わさってより良い学びを生み出すとしており、例示としてクラスメイトだけではなく異学年・他校のこども、地域の大人たちや専門家との交流が掲げられています。

今まではある程度同じ考え方・同じ感覚だけでやってこれたけど、国際化が進み・AI等の新たな状況が生まれる中で、学校に閉じない開かれた学びを深めていくことが必要ということですね。

下の図は文科省の資料より。







大型提示装置を使うことでクラスメイト達の考えを可視化するほか、他校や専門家等、あるいは他国の学生との交流をオンラインで効果的に実現することで、多様な考え方に触れて学びを深めていこうということを学校施設から後押しするのがこのフューチャールームというか、「未来の渋谷」PVで示された教室についての考え方です。

また、感染症や病気療養、不登校などによるオンラインでの対応も可能性の幅が広がるのは言うまでもないでしょう。




神南小での検討




フューチャールームは設備関係なので、提示された建て替えに関する基本計画書では特に言及はありません。

ただ、PC室を中学年と高学年に1室配置しているところから、こちらがフューチャールームやスタジオの機能、動画編集など可能な高性能PCを配置するような部屋になるのかな、と想像しています。




神南小学校建て替えに関する基本計画書より




まとめ




ちょっとPVは疑問がある感じしますけど、スクリーンや電子黒板などの提示装置を複数配置して先生の説明や児童生徒のプレゼンなどを投影できるようにするほか、オンラインで外部と交流できるような教室(フューチャールーム)が導入されるのは「協働的な学び」を進めていく点で大いにプラスになります。

ただそれは発達段階や学年によるところがあるので、PVのような教室にすべて変わるとはあまり考えられません。
そのあたりは補足しておきます。




文部科学省「新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方」最終報告より