実物の決算書。apple pencilの調子が悪くて字が汚い…




渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。




10月13日に渋谷区議会第3回定例会が終了しました。ちょっとゆったりとした時間が流れています。




この定例会は大きなテーマとして前年の決算を扱っています。ということで、令和2年の事業の評価が行われました。




<時間がない方のために意見の要約>




時間がない方のために私の意見の要約を先に置いておきます。




  • 刻一刻と変わる状況の中で大過なく対応したことを評価
  • 財政は過大な支出を避けて適切に必要な支出をしたことを評価。また区民の資産を最大限有効活用している。
  • ICT技術の活用は効率化、利便向上、感染症対策の面で評価。新たな仕組み導入に当たっては関係省庁とよく協議すること。VR等新技術のさらなる活用も今後期待
  • 特に学校教育ではタブレットにより学びを止めなかったことを評価。健康を守るとともに学習効果の向上も期待
  • 新型コロナウイルス感染症対応はおおむね適切。感染症分野では国や東京都に先駆けた充実した対応を求める。HPV(子宮頸がん原因ウイルス)ワクチンの情報提供やキャッチアップ接種なども重要。



<評価の流れ>




各自治体で方法が違うのですが、渋谷区議会では




各分野別に分科会を開いて細かく審査→全体を通して決算特別委員会で討論と採決(意見表明と〇×)→本会議で討論と議決(最終的な意見表明と〇×)




という流れで進められます。




たいてい、分科会で出た具体的な意見は分科会の主査報告としてまとめられるほか、本会議で各会派の全体を通しての意見表明がなされるという二段階となっています。




なので、各会派がどのように区政を評価しているかは、本会議での討論で意見表明されます。さらに、本会議の報告の「区議会だより」でまとめられて区民に配布されます。




<今回の決算議会の特徴>




なんといっても、賛成討論が私以外なかったのが困りものです。




大会派の方々は解散総選挙で忙しいのかもしれないけど、ちゃんと評価すべきところを評価しておかないと行政の側も区民の側も、そして研究者とかも困っちゃうと思うんですよね。




「反対ばかりなのになんでこの決算承認されたの?」って、思わないですか?




さて、決算そのものの特徴といえば、なんといってもコロナの影響ですよね。多くの事業がコロナによって休止や見直しを余儀なくされました。これらの件について検証が行われました。




どうしても我々は未来の視点から「あの時こうすべきだった!」と思ってしまいますが、やっぱりその時点でわかっていることだけから判断するのはどうしても行き過ぎやいたならさが出てしまいますよね。その辺を排除して検証するのはなかなかむつかしいなぁと思います。




ということで、私の討論を載せておきます。




<討論本文>




令和2年度一般会計決算につき賛成の立場から討論いたします。

新型コロナウイルス感染症で区民生活に大きな影響があった一年でした。感染症は弱い人に襲い掛かる、という言葉を改めて実感します。




渋谷区は保健所を中心に全庁一丸となって感染症対策に追われただけでなく、感染症により生活が不安定になっている方の生活支援に力を注ぎ、また自らも事業者として施設休業や職員の感染防止などの対応を迫られることとなりました。




首都の中心にあるという感染症に翻弄されがちな立地の自治体です。渋谷区が令和2年の刻一刻と変わる状況の中で大過なく対応してきたことを高く評価します。




以下、私が重視する政策分野の中で特に評価する点、改善を要する点を合わせて4点指摘して討論といたします。




1) 財政にあっては、野放図な財政支出拡大を避け、真に必要な支出を的確に行ったことを評価いたします。また、北谷公園のパークPFIなどは区民の資産を有効に利用するものとして評価します。今後の区政運営に当たっては手持ちの資産を最大限活用して区民福祉の維持向上や生活環境の改善に当たるよう求めます。

2) 従来より進めているICT技術の活用にあっては、効率化と区民の利便性向上に資するほか感染症対策の面でも有効と評価するものです。新たな仕組みの導入についてはトラブル防止の観点から所管省庁と十分協議の上積極的かつ迅速に検討いていただくことを求めます。なお、区が出資する渋谷未来デザインにおけるバーチャル渋谷の取り組みは意欲的なものです。これらの経験を踏まえ、VR・ARなどの先進的な技術を区政に活用していただくよう求めます。

3) これに関連し、学校教育においては、配布しているタブレットを活用して教育を止めない仕組みを提供できたことを高く評価いたします。学校によって取り組みに差があるものの、仕組みが整備されていることそのものに価値があるといえます。緊急事態宣言期間等においては積極的にハイブリッドの分散登校を導入して児童生徒を守る取り組みを求めるとともに、今後の学習面での積極的な活用を期待いたします。

4) 新型コロナウイルス感染症への対応にあっては、大方針として徹底した感染症対策を求めますが、経営資源と状況の兼ね合いによって刻一刻と変化するのでこちらとして細かい点に口をはさむつもりはありません。令和2年度の諸施策についてはおおむね適切であったものと思います。引き続き感染症対策全般において、国や東京都よりも充実した対応を柔軟に実施していただくよう求めます。その意味で、HPVワクチンの動向には注目しています。渋谷区は数年前から倍に次ぐ倍と接種率が向上してきました。接種対象者には適切に情報がいきわたるように、また本人の責めによらずして接種期間を逃してしまった方にはできるだけ速やかにキャッチアップ接種の機会を提供できるよう、国等に先駆けた取り組みを求めます。




最後に、私は2008年ごろから10年強のあいだ感染症対策に力を入れ、感染症対策の視点を区政にインストールしていくことを目指してまいりました。この立場は正しかったと改めて確信するものです。災害対策などと同様ですが、感染症対策は保健所だけ・起きたときだけではなく、平時からバーチャルの活用を含めた非接触型の体制づくり、ゆとりのある都市空間の形成、健康と衛生についての意識の向上、何かあった時のセーフティネットの構築、などを総合的に進めていく必要があります。これらについてさらなる充実を図るよう強く訴え討論を終わります。