渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。ご覧いただいてありがとうございます。

関東若手市議会議員の会で2日間にわたり荒川区の視察をしてきましたので報告します。

 

<全国との連携>

 

特別区長会の実施している全国連携プロジェクト、及び荒川区の全国連携の取り組みについて説明を受けました。

人口減少社会の到来と共に自治体間の対立が懸念されているなか、全国各地域との共存共栄を図る目的で「全国連携プラットフォーム」を構築しています。

この共通基盤のもと、荒川区は「荒川・釧路モデル」として釧路市周辺の1市7町の「くしろ地域」との連携を図っています。

具体的には「日暮里マルシェ」という商店街の取り組みにくしろの特産物をメインにした日をつくる、区役所の食堂でくしろ地域の食材を使ったメニューをつくる、修学旅行で行く、など。

その他、北海道広尾町に小学校の5年生がホームステイに行く、岩手県北上市他の雪をあらかわ遊園に持ち込んで雪遊び、秋田の竿燈まつり&物産展をあらかわ遊園に誘致する、など連携は多岐に及びます。

 

 


ワークショップ。東京以外の自治体の方々の声に圧倒されました…



 

その後、各地の議員と連携についてワークショップ。

詳細は避けますが、「牛も人も育ったら東京に出荷している」という発言が衝撃的でした。

 

<ゆいの森あらかわ>

 


ゆいの森あらかわ



 

中央図書館・吉村昭記念文学館、こどもひろばの複合施設である「ゆいの森あらかわ」を視察しました。

荒川区の新たな文化とコミュニティの拠点施設との考えのもと多くの自由に使えるテーブル、また「知恵と知識の集まる緑豊かな岡」「緑陰読書」のコンセプトのもと緑豊かな外装・木のぬくもりの感じられる内装が非常に印象的です。

 


荒川区中央図書館



 

飲食可のコーナーも多く、滞在型・交流型の施設となっています。

また、帰宅困難者や乳幼児を中心としたの避難施設ともなっており、備蓄も一日分しっかり準備してあります。

 


備蓄品は乳幼児に対応したものに



 

なおランニングコストは予算額で約四億円だそう。

 

図書館部分

調べもの支援カウンター、予約制の読書作業ブース(学習室と研究室とにわかれており、広さ等がちがいます)、ビジネス支援コーナー・現代俳句センター・美術芸術コーナー・幸せリーグ(後述)所属自治体コーナー、本を持ち込めるカフェ等。

 


緑豊かな外観を見ながら研究に没頭できるスペース



絵本は3万冊。大人の鑑賞も推奨されています。柳田邦夫絵本大賞を10回以上開催。全体では開架・閉架とも30万冊規模。

 


こども用と大人用のテーブルが組合わさって、自然と交流が深まる



 

座席は800。多いですね。テラスに面した座席も多く、緑豊かななかで読書ができます。また、ボランティアや親子・グループでの懇談(飲食も含め)が可能な席、本に囲まれた「ゆいの森ホール」などコミュニティの拠点としての機能も大きいです。

 


ゆいの森ホールでの研修



 

吉村昭記念文学館

荒川区出身の作家・吉村昭さんを紹介するコーナー。

 

こどもひろば

遊びや体験を通じて交流を深めるための遊び場スペースとラウンジ、17種の体験キット(実験やパズルができる)や地球儀状のモニターでの学習、そしておしゃべりなどの交流ができるコーナーです。

 


体験キット一番人気は空気の実験

毎年5個、スタッフの皆さんが新作を企画・作成するそう



 

<高架下保育園整備>

 


保育園に見えない! が、ここにあります



 

町屋駅近くの京成電鉄高架下の認可保育園「まなびの森保育園町屋」を視察しました。0~5歳向けの60人定員の施設です。

 

高架下に大きく3つ保育の建物があり、その間を外廊下と砂場・人工芝の園庭があります。

気になった3点。

・採光:思ったほど暗くはない。線路沿いが道路であるため反射光が入る。

・振動:橋桁と建物を離す、基礎に緩衝材を入れるなどの工夫をしているとのことだが、気になる。

・騒音:吸音材にサッシガラスで対応とのことだが、そこそこうるさい。が、慣れれば気にならないとのこと

 


人工芝の中庭



 

<荒川区民総幸福度>

 

GDP(国内総生産)という言葉があります。経済指標として基本的なもので、経済成長はこちらで測られます。

荒川区長は「区政の究極の目標は区民が幸せと感じられること」との理念をお持ちです。それを具現化する指標としてGDPならぬGAH(荒川区民総幸福度)を考案しています。

まず不幸を減らす、次に「幸福感」を考える、そして主観指標をつくる、との順序で策定したそうです。300の項目を区の事業にあわせ46まで絞りアンケート。5年で毎年4000ほど(回答率約5割)を行い、分析・活用。あわせて各団体のリーダー(推進リーダー会議)を集めて説明・意見交換を繰り返し、区民をまきこんでいったと。

 

現段階で特に有効なのは二点。

 

  1. 事業のPDCAサイクルのなかで活用。
  2. 人材育成の目標設定。目指すべきものを明確にする

あわせて、他自治体との連携(幸せリーグ:幸福実感向上を目指す基礎自治体連合)を進めていったそうです。

 

今後の発展系は2つ。

 

  1. 荒川区民幸福構造
  2. 公会計改革

1番は面白いですね。

確かに経済では「連関表」といって、どの産業が栄えればどこに波及する、というのが明確にされています。

構造を調べるなかで、どの指標に働きかければどこに連動するか、がわかればより効果的な施策展開が期待できますね。

 


幸せリーグの各自治体の紹介コーナーがありました



 

なかなか実りの多い視察でした。

荒川区の皆さん、若手市議会議員の会の皆さん、ありがとうございました!