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渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。

東京都議会が発表しているレポートを、私の勉強用にインターンの学生がまとめてくれたので転載します。

(時の話題 平成26年度18号)

1庭園の保護と魅力発信

 

庭園は風格ある街並みを形成すると同時に伝統文化を伝える観光資源である。また、東京五輪に向けて和のおもてなし」を行うことのできる施設として注目されている。

(1)都内の庭園

東京都が管理している庭園は9か所。これらは江戸から大正にかけて作庭された国指定・都指定の文化財である。このほかにも旧安田庭園や椿山荘など国公立や民間の庭園も数多く存在する。

《東京都の文化財庭園》

 

 

(2)庭園のおもてなしへの活用

 

  • 庭園は観光客へのおもてなしの観点からも注目されている。
  • MICE(多くの集客交流が見込まれるイベント)に関するイベントで外国人105名に対して行われたアンケートでは「庭園・日本庭園」が今後催事/イベントの実施を期待する会場として約45パーセントと最多の得票率を挙げている。

出典:観光庁「MICEの誘致拡大に向けたユニークベニューの利用促進事業 報告書」69ページより

 

2国の取組

 

(1)文化財の保護

・文化庁は歴史的価値のある庭園(重要文化財・史跡・名勝など)に対して現状変更等に一定の制限を課す一方、修理等に対する国庫援助を行い保護及び活用のために必要な処置を講じている。
文化庁の文化財保護に関する施策一覧

(2)MICEの誘致拡大に向けた取組

 

  • 観光庁はMICEの誘致拡大に向けたユニークベニュー(歴史的建造物や公益空間で特別感や地域特性を感じることのできる会場)の利用促進事業において、日本庭園の利用促進等に向け、課題及び対策を整理している。
  • 前述のアンケート結果より日本庭園などの「日本らしさ」が感じられる施設のニーズが高いことがわかった。そこで歴史や文化、ファッションなど地域ブランドを切り口にこれらの施設の開発を進め、MICE誘致の競争力強化につなげる方針である。

 

3都の取り組み

(1)庭園の保存復元

  • 都は庭園の維持管理を通して培われた技術の継承を図りながら、庭園の保存復元に取り組んでいる。
  • 現在、浜離宮恩賜庭園と小石川後楽園では江戸時代の大名庭園の復元を進めている。
  • 小石川後楽園では戦災後の修復以来となる庭園全域を対象に復元事業を着手。平成24年には江戸時代に架けられた石造のアーチ橋「円月橋」の修復が完了。創建当時の姿を保っている。また庭の中心的な景色を作り出している「大泉水」などの修復が現在行われている。
  • 浜離宮恩賜庭園では、江戸時代の大名庭園の姿をよみがえらせるために「茶屋」群の復元を行っており、平成22年に「松の御茶屋」が完成。文化体験イベント等の会場としても活用されている。また、平成26年度末に「燕の御茶屋」が完成する予定である。

 

(2)東京の日本庭園おもてなし協議会

 

  • 都は10月、「東京の日本庭園おもてなし協議会」を新設した。当協議会は都内の庭園が連携し、都民及び東京を訪れる人々にその魅力を伝えることを目的としている。
  • 都が管理する庭園のほかに国公立・民間など官民の都内30庭園が参加している。
  • 今後、各庭園連携のイベントや他言語対応などの魅力発信に関する事項や、各庭園が行っている庭園管理の手法等、庭園管理に関する事項について検討を行っていく。

参加庭園一覧

渋谷区だと明治神宮御苑・新宿御苑(一部)。

(3)東京いい庭キャンペーン

  • 「東京の日本庭園おもてなし協議会」は11月28日を「いい庭の日」に位置づけ、その前後にあたる11月22日から12月7日に「東京いい庭キャンペーン」を実施。都内の24庭園がそれぞれの特色を生かしたイベントやサービスを実施した。
  • 旧岩崎邸庭園は庭園ガイドやミニコンサートを開催した他、季節柄、菊花展や紅葉のライトアップをする庭園もあった。

 

4今後の課題

 

  • 貴重な歴史的文化遺産であるのと同時に都を世界有数の観光都市へ導いていくうえで、「和のおもてなし」を世界に発信することのできる庭園は重要な観光資源である。
  • 都は今後、庭園の保護や復元を引き続き進めると同時に、「東京の日本庭園おもてなし協議会」の中で外国人観光客向けの庭園集会ツアーやパンフレット・ガイドブックの作成など様々な取組を検討し実施していく必要がある。