渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。

そろそろ議会も大詰め。今日は本決定といって、各議案について委員会で採決を行う日です。

さて、今回の渋谷区議会には、同じ事業者の建設中の保育園をめぐる二件の陳情が提案されています。

 

請願・陳情:区民などが渋谷区議会に対して意見を言う制度。議員が紹介するものを「請願」と呼び、本会議で賛否を決めなくてはならない。それ以外のものを「陳情」と呼び、委員会において意見の取りまとめが行われる。

 

今日はこの陳情について、私なりに解説します。

 

陳情への態度は7種類

 

陳情については、(1)請願として取り扱う(2)結論を出さない(継続審議)(3~7)5種類の文例でお答えする、の7通りの意思決定が可能です。

 

  1. 請願として取り扱う:請願と同様、本会議で議決します。重要な案件、かつ各会派が賛同する件について行われるのかな。あまり例がありません。
  2. 結論を出さない:継続審議として、次の議会に先送りする(議会は年4回、3月・6月・9月・11月に行われます)。賛成できないけど反対もできない、とか、近いうちに結論が出る、とか、特に難しい案件で審議に時間がかかる、とかそういう時に選ばれる方法です。
  3. 文例1:「趣旨を取り上げるに至らなかった」という通知文。基本的に賛同できない場合です。ただし、例えば「同種の議案がすでに審議されているから陳情は文例1で」というように、すでに進んでいる案件で適用される場合もあります。
  4. 文例2:「審査未了、廃案にした」という通知文。ほとんど例がありません。
  5. 文例3:「趣旨を関係者に伝える」という通知文。区の担当者などですね。文例3になったというと、趣旨はある程度認められた、と考えていいのかもしれません。
  6. 文例4「趣旨は今後の参考にする」という通知文。議員の側でしっかり受け止めますよ、今後留意しますよ、というものですね。ここまで行くと成功と思っていいと思います。
  7. 文例5「趣旨を取り上げ、意見書を採択した」という通知文。これは大成功です。議会として意思表示をすることになります。意見書になじまないものもありますので、その場合は採用されません。例えば、意見書は国や東京都にだすものなので、渋谷区だけで完結する場合は意見書にはしません。

 

最終的には委員会全体で決まりますが、各会派ごとに方針が異なりますので、どの辺を主張しているかを見ればその会派がどのような方針で臨んでいるかが分かります。

たまに陳情者が「よくわからない通知文が返ってきた」と憤慨なさっているようですが、このあたりの空気観を知っていると納得なさるのかもしれませんね。

 

陳情文例の決め方

 

渋谷区議会では、陳情はおもに以下のような流れで審査されます。

 

  1. 調査:提出された段階で各議員に配布、調査に入る。基本的には渋谷区議会では「文面審査」といって、書いてある内容のみ審査対象となります。
  2. 委員会で議題となる(1回目):通常議題とすることを宣告した後で、いったん委員会は非公開で協議されます。請願の取扱いにするかしないか、区の行政に対して状況などを質疑するかしないかが協議されます。質疑をするようなら実施します。加えて、文例で回答する場合、どの文例を考えているか」もある程度方針の開示が求められます。ただし、「文例3か4」とか「決めてないので持ち帰る」とか、さまざまな対応があります。
  3. 会派総会:政党や会派ごとに方針を決めます。
  4. 委員会で議題となる(2回目):非公開協議の中で、文例を協議します。協議が整わない場合、文例を多数決で決める場合もあります。
  5. 通知:陳情者に回答文が送られます。

 

陳情については文面審査ですので、提出前後で各会派と相談してしまうのが一番いいです。ドキドキしながら待つよりも、どこまでなら賛同してもらえるのか、どこを踏み越えてしまうと賛同が得られないのか、どの会派がどのような立場なのか、この辺を見抜いてから出した方が効果的ではないでしょうか。

 

ということで、なにかありましたら陳情制度もご活用ください。