渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。

 

渋谷区で3月に注目されました、いわゆる「多様性社会推進条例」ですが、同性カップルの方を対象とした「パートナーシップ証明」についてはまだ規則が整備されていないため、実施は先送りになっていました。

このたび、委員会にて規則の概要が示されましたので、資料として以下に公開します。おそらく11月中に実施となると思います。

誤字脱字等あるかも知れ線が、ご容赦ください。

 

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パートナーシップ証明に関する区規則について
1 検討経過

これまで渋谷区男女平等・多様性社会推進会議を5回開催し、パートナーシップ証明のあり方について、条例制定に際しての立法趣旨や、区議会議決に当たっての付帯決議等を念頭に置きながら検討を進めてきた。これを受けて、次項のとおり区規則の内容を整理した。

2 区規則の内容
(1)申請
①証明を受けることができる対象者の要件
ア 両当事者が、区内に居住し、年齢20歳以上の者であること。
イ 他に配偶者がいないこと又は他の者とのパートナーシップ証明を受けていないこと。
ウ 両当事者が近親者でないこと。

②証明書の交付申請手続き
両当事者が双方同時に来庁し、公正証書等の必要書類を添付して申請

③ 確認書類
ア 任意後見契約(条例第10条第2項第1号)
当事者双方が、相互に相手方を任意後見受任者とする任意後見契約に係る公正証書
イ 合意契約(条例第10条第2項第2号)
次の事項が明記されている合意契約に係る公正証書
・当事者双方が愛情と信頼に基づく真摯な関係であること。
・両当事者が同居し、共同生活において、互いに責任をもって協力し、必要な費用を分担する義務を負うこと。

④パートナーシップ証明の確認に関する特例(条例第10条第2項ただし書)
ア 条例第10条第2項ただし書に規定する区長が特に理由があると認めるときとは、当事者の一方又は双方が次のいずれかに該当するときとする。
・相手方以外の者を任意後見受任者とする任意後見契約を締結し、又は締結しようとしており、かつ、相手方がこれに同意しているとき。
・性別の取扱いの変更の審判を受ける前の性同一性障害者で、今後、性別の取扱いの変更の審判を受けた後、婚姻することを両当事者間で合意しているとき。
・生活又は財産の形成過程であり、任意後見受任者に委託する事務の代理権の範囲を特定することが困難であるとき。
・前各号のほか、特に理由があるとき。
イ 前記④アのいずれかの事由に該当する場合は、合意契約に係る公正証書に次の事項を明記することで、任意後見契約に係る公正証書に代えることができるものとする。
・当事者のいずれか一方の身体能力又は判断能力が低下したときは、本人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を可能な限り援助し、本人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況を配慮すること。
・当事者間で必要が生じたときは速やかに、任意後見契約に係る公正証書を作成すること。

(2)パートナーシップ証明書の交付等
ア 証明申請があったときは、公正証書等の書類を確認の上、パートナーシップ証明書を交付する。
イ 申請人が虚偽その他の不正な方法により証明申請を行い、証明書の交付を受けたことが認められる場合、又は証明書の交付後に不正に利用したことが分かった場合には、当該証明を取り消し、証明書の返還を命じるものとする。

(3)パートナーシップ証明書の交付を受けた者の義務
ア パートナーシップ証明書の交付を受けた者は、条例の趣旨に従い証明書を使用しなければならない。
イ 渋谷区から転出した場合や当事者が死亡した場合等には、証明書の返還を行う。
ウ パートナーシップが解消された場合、当事者双方又は一・方の者は、パートナーシップ解消の届出を行い、速やかに証明書を返還する。

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(参考)
渋谷区男女平等・多様性社会推進会議の主な意見について

1 証明書を受けることができる対象者の要件について
・年齢要件は、法律行為を単独で有効に行うことのできる20歳以上とするのが適当である。
・同居要件については、同性パートナーとの住居の賃貸が困難との事例が挙げられており、そうした社会的困難への対応の一つとしてパートナーシップ証明を行うことを踏まえると、申請時点で同居要件を設定することは難しいと考える。

2 合意契約に係る公正証書について
・合意契約に係る公正証書に明記すべき事項としては、当事者双方が真筆な関係にあることや、両当事者が同居・協力・扶助に関する義務を負うといった基本的なものとすべきである。
・「必要な費用を分担」における分担の割合は、当事者間のそれぞれの事情に応じたものとなる。

3 条例第10条第2項ただし書の取扱いについて
・条例提案時の趣旨説明において、若いカップルなど任意後見契約の作成が困難な場合について、それに代わるもので柔軟に対応できるようただし書を規定したとしていることから、趣旨に沿った規定の整理が必要である。
・これから生活基盤や財産を形成していくような若いカップルなどの場合、将来のライフプランを描き切れていないような段階で任意後見契約を締結させることは困難かつ実益が乏しいと言える。
・任意後見契約によらない場合でも、当事者のいずれか一方の身体能力又は判断能力が低下したときに他方が身上配慮義務等を負うことや、当事者間で必要が生じたときに任意後見契約公正証書を作成することを、合意契約公正証書に明記させることが望ましい。

4 その他
・パートナーシップ証明書の受付に際しては、申請者へのプライバシーにも配慮することが望ましい。また、証明書の交付に関して、当事者が相談できるような体制を確保してほしい。
・パートナーシップ証明制度は初めての制度であるため、今後、運用を見ながら、必要に応じて推進会議において見直しを提言していくことも必要だと考える。