渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。お越しくださいましてありがとうございます。渋谷区議会の視察で区民保養所「河津さくらの里しぶや」を視察しました。
<記事サマリー>
- 河津は2014年開設。もともとある保養所、二ノ平渋谷荘の稼働率が高すぎて一般利用がしづらくなったため、第二保養所として温泉旅館を購入、改装
- 河津稼働率は平均6割台後半。ハイシーズン(2~3月、7~8月)は9割。3泊までできるのが強み
- 一部議員からは「小中学校の臨海学校の拠点となるよう再整備を」との要望があるが、自然体験の専門施設ではないので難しいと思う
<施設概要>
河津さくらの里しぶやは平成26年10月に開設。河津町とは防災協定などを結んでおりましたが、既存の区民保養所である二ノ平渋谷荘が予約のとれない大人気施設となってしまったことから、河津町の温泉旅館をサービス購入して改装・第二保養所として開設したものです。
源泉をもちジャングル風の大浴場、ミニ体育館がありましたが、老朽化と耐震の観点から新たに温泉棟を整備。大浴場とカラオケルーム、研修室兼プレイルームを備えました。
もともとの様子や詳しい経緯は過去記事をご覧ください。


業務は渋谷サービス公社と伊豆急コミュニティの指定管理です。定員は14室64名。利用者は約9000名、うちシニアクラブのバスツアー利用が20回、500人程度。その他民生委員や区政関連団体の研修・親睦旅行などでつかわれることも多いです。
利用率は平成28年~平成30年で64.6→68.6にアップしています。ハイシーズンはさくらの季節(2~3月)と夏休み(8~9月)で、9割前後の利用となっています。
3泊まで連泊できるのが最大の強み。お食事のメニューもそれにあわせて3種類で、シーズンごとに変えています。


なお、利用料は渋谷区民が大人5300円小人(3~11歳)3300円から。食事のグレードを考えると非常にお値打ちです。さすが区民保養所。
交通費が往復7000円かかるのが難点ですが、伊豆急さんが利用者の特別割引を実施していますので多少安くなります。
<小中学校の宿泊行事に?>
河津は現在区議会で注目されています。それは、小中学校の宿泊行事に利用しようという動きがあるためです。
富山臨海学園が廃止され、海に親しむ宿泊行事がなくなりました。
渋谷区教育委員会では「国立妙高青少年自然の家」を海でのアクティビティも可能な施設として各校に紹介していますが、選んだ学校は今年はありませんでした。
海に親しむことの教育効果などの観点から、河津を新たな拠点にしては、との意見が複数の会派から出ています。
区長はそれを受けて、「要望があれば河津の敷地内に学校向け宿泊施設を作ることは可能」と本会議で答弁しています。

河津と国立中央青少年交流の家を実際に見て、私としてはこう判断しています。
- 確かに海難事故等を防ぐために、学校で遠泳等海に親しむ活動をすることは有意義
- 施設面でも海に近く温水プールもある河津は泳力により組分け可能という意味で可能性はある
- 課題であった宿泊者数も、専用施設を作れば解決することは可能
- しかし、国立中央青少年交流の家のように規模の大きい自然教育専門施設と違い、荒天時に有意義な活動は保証できない
- 専門職員がいるわけではないので充実したプログラムを実施するためには専門性の高い事業者の存在が不可欠
- プールや海といった活動では水難リスクが過大。きちんとしたプログラム、指導者が確保できなければ教員の負担は計り知れない
以上の理由から、多額の経費をかけて整備し実施するのは現実的ではないと言わざるを得ません。
むしろ教育委員会が提示したように、荒天対応可能な自然体験の専門施設を拠点に、海のアクティビティを支援できる団体の協力を得て実施するのが妥当でしょう。
残念ながら、現段階では学校側が選ばないのですが…。
無理に施設を整備するくらいなら、そのお金を使って妙高等でのプログラム開発、自然学習団体との連携、教員の研修等にあてるのが妥当かなと思います。
<ギャラリー>
その他河津の施設をご紹介します。


