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渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。

本日、渋谷区議会で一般質問(質問形式の議会提案・演説)を行いました。今期4年間の最後、渋谷区議会議員選挙にも出るつもりなので4期目に向けた宣言文みたいな位置づけです。

 

全文掲載しますので、ご覧ください。

 

1、健康政策

 

民主党渋谷区議団の鈴木けんぽうです。大きく3点、ご提案申しあげます。
 まず、区民の健康を守る取り組みです。
渋谷区はこの間、区民の健康を守る政策に全力をつくしてきたと感じています。
このたび示された新年度予算案でも、予防接種行政でいえばおたふくかぜやB型肝炎など国の定期接種化に先駆けた無償化が盛り込まれ、今後定期接種化の議論がすすむと予想されるロタワクチンについても1000円増額されるなど充実が図られています。
予防接種の他にも、口腔機能維持向上健診の導入、健康づくり事業、福祉の観点から認知症対策などが盛り込まれています。
今後も、区民の健康を守っていくことを最優先の課題として取り組んでいただくよう願うものです。

 

今までの取り組みを評価しつつ、健康政策にさらに力を入れてほしい、と宣言しています。

 

・麻疹風疹対策
そこで質問します。まず、麻疹風疹対策の啓発についてです。
新年度予算には緊急MRワクチン助成が全額助成となりました。これは妊娠を希望する19~49歳までの、風疹抗体価が低いかた、また18歳までの定期接種漏れ者に対するものであります。麻疹や風疹は混合のMRワクチン予防接種を徹底することにより他国ではほとんど見られなくなりました。日本では数年おきに流行が起こり、近年は風疹の大流行があり先天性風疹症候群が多発するなど社会問題となっています。予防接種が徹底されていないこと、抗体価が低い世代が放置されていることが大きい課題だといえます。
そこで伺います。まず風疹について、この間風疹の抗体検査事業が行われてきましたが、検査を受けた方の中で予防接種が必要と判断された方はどれだけいるのか。その中で予防接種を受けた方がどれだけいるのか。まだ接種されていない方への対応はどうするのか、さらに、今回の緊急MR予防接種全額助成と併せて、抗体検査を受けていらっしゃらない方に対しての啓発を徹底すべきだと思いますが、どのように行っていくのか、伺います。
加えて、麻疹については2015年度の麻疹排除の方針が国から出されておりますが、渋谷区としての展望はいかがか。以上、区長に伺います。

 

結構細かい話ですが、今までは長いこと

  • 「予防接種の助成をするべきだ!」という大枠の話
  • 予防接種のスケジュール調整(BCGの接種機会の変更、予診票送付時期の早期化など)
  • 海外渡航者向けワクチンの位置づけ
  • 任意予防接種による健康被害への救済
  • 予防接種を受けない選択をしたご家庭へのリスク低減のための啓発

など、結構難しい話を中心に取り上げていたので、今回は運用の方針を質問しました。今期は風疹の第流行が主な話題でした(デング熱などもありますが)が、任期最後なので、まとめみたいな感じです。

ちなみに保健所長の答弁は、「検査429名、うち予防接種が必要とされたのは121名、区内医療機関で接種したのは85名(他区での接種も考えられるので、全接種者ではない)。MRの啓発は婚姻届提出者に助成制度のパンフレットを配る、ウェブサイト等で啓発する」とのことでした。

 

・5歳児健診の支援
続いて五歳児健診の導入についてです。昨日区長は「配慮を要するこどもたちに対する早期発見・早期支援が重要」と発言していらっしゃいました。その意味で、早期発見に有効であると言われている5歳児健診について、導入を前提に検討したらどうでしょうか。区長の見解を伺います。

五歳児健診は、発達障害に関わって、大変有意義な取り組みだと思います。その観点から質問をしました。ちなみに、民主党として毎年の予算編成のたびに「五歳児健診を導入してはどうか」と要望を出しているので、一区切りということで取り上げました。

ちなみに渋谷区長の答弁は「巡回チームを各保育施設(保育園、幼稚園)等に派遣し、そこで観察する事業を始めるから、こちらで対応する」とのことでした。これには異論というか、(1)全てのこどもが区の把握する保育施設にいるわけではないこと(2)親御さんが納得できない場合があるだろうこと(発達障害の最大のハードルは、親御さんが認められないことにあると言われています)、の二点があるので、次期区長と再度議論をしたいと思っています。

 

2、教育について

 

次に、教育について伺います。
・学力を図る指標の成果について
まず、学力を測る指標について、成果と今後の重点項目について伺います。
昨年9月議会で、「学力の保障をし底上げを図っていくために、見る指標を明確に設定してはどうか」との質問に対し、「全国学力・学習状況調査」東京都「児童・生徒の学力向上を図るための調査」のほか、今年度から「東京ベーシックドリル」による日々の把握を行っているという答弁がありました。
そこで、これをもとに、成果をご報告いただきたいと思います。「全国学力・学習状況調査」東京都「児童・生徒の学力向上を図るための調査」により、向上が見られた項目、あるいはありていにいって「下がった」項目について、数値によってご説明ください。また、学力保障の観点からはどの項目・もしくは分析指標に注目すべきで、どのくらいを目標と考えていらっしゃるのか、教育長のご見解を伺います。

 

学力について、なかなか議論が難しいのは、総花的になってしまってイメージで語られることです。そこを、数値でちゃんと議論しようというのが最大の眼目でした。

今回、教育長からは「学力学習状況調査では全分野で平均点が東京都平均よりも高い。特に、応用分野ではかなり高い」という答弁がありました。それはそれで素晴らしいことです。一方で、受験する割合が高い渋谷区では、必然的に応用分野は高くなることが想定されます。むしろ、公教育の役割としては「底上げ」をはかること。ですから、むしろ「基礎・基本」とされる項目で東京都平均を超えるよう努力してほしい、とお願いしました。

余談ですが、私も塾講師の経験があります。成績上位の子が伸びるのは、成績下位の子ががんばり始めたときです。よくこのパターン使いました。下位の子ががんばると、上位の子も影響されるのでしょう。

逆に、下位の子が授業放棄をするようになると、上位の子の成績も伸び悩む、というのは傾向としてあるのではないでしょうか。どちらも体感ですが。その観点からすると、底上げを図ることはすべての子にとってプラスに働くと考えています。

 

・教員の負担軽減について。
続いて教員の負担軽減です。
9月議会の「こどもたちに向き合う時間を十分確保するために、教員の負担軽減について全力で取り組んでいただきたい」との質問に対し、教育委員会の取り組みとして「校務処理システムの充実、データ等の共有化、副校長経験者を校務改善コーディネーターとして配置した」との答弁がありました。
これらの成果につきまして伺います。どのような改善が行われ、どれだけの成果が見込まれるのか、今後の課題は何か、ご説明ください。教育長のご見解を伺います。

 

学校の危機は、先生の多忙です。忙し過ぎるために、こどもに向き合えない。自分を高めるための時間もとれない。結果、教育に跳ね返ってきます。特に、今はベテランの先生が大量退職する時期で、どうやって若手の先生を守り育てていくかを考えなくてはならない。そのためには、余裕を作っていかなくてはならない。

その観点で質問しました。

 

・言語活動の充実とチーム学習と『学び合い』
つづいてチーム学習の必要性、とりわけ『学び合い』についてとりあげます。
現在、日本科学未来館で「チームラボ 学ぶ!未来の遊園地」というイベントが行われています。大変な人気で日程が大幅に延長されて開催されております。

チームラボというクリエイター集団が、自分のこどもたちが小学校に行くことになって衝撃を受けたことがきっかけで始めたイベントだということです。
自分たちが小学校のときと生活そのものがすごく変わっているのに、教育の現場は変わっていない。チームで考えてチームで仕事をする社会になったのに、学校では個人で学ぶだけ。共同的で創造的なアウトプットを出すことが求められる社会になったのに、学校はそうではない。せめて学校の外で、共同的で創造的な体験をする場所をつくりたいという趣旨でした
キーワードは、チーム、そして創造的なアウトプットです。その意味で、集団指導教育は時代遅れになりつつあるのかもしれません。

そこで、ぜひ導入を検討してほしいのが上越教育大学を中心に研究されている『学び合い』です。クラス集団がひとつのチームとなり、教え合い、学び合いにより学習を進めていくという手法であります。先生が1対多でこどもたちを教えるのではなく、こどもたちどうしが教え合い、学び合う。子どもたちの成長を最大限に保証するため、教師は目標設定、クラスづくり、環境整備、評価等に特化をする。公教育における革命的な授業変革であります。

 効果は高く、劇的に成績が向上し、落ちこぼれがいなくなり、クラス集団が安定して、人間関係がよくなり、常に話し合っているので、コミュニケーション能力も向上していくと論文で報告されております。

 是非これを渋谷区の学校に導入していただきたいです。できる子が放置されて、できない子が落ちこぼれて、中間の子だけが対象となりがちな集団指導を脱却するべきです。クラス全体をチームととらえ、チーム全体で日々課題をクリアしようとすることによって、クラスのまとまりが生まれ、できる子もできない子に教えることによってかえって学び、できない子も、教師だけでなくクラス全体からサポートされて成長する、そんな学校にしていこうではありませんか。
 『学び合い』ついて、教育長の見解を求めます。

 

上越教育大学・西川教授の提唱する『学び合い』です。何度も取り上げているせいか、ようやく渋谷区議会では浸透してきたように感じます。素晴らしい教育方法なので、ぜひ導入させたい。

学校見学に行くと、よい授業ももちろん多いんだけど、その一方でこどもたちが暇そうにしている時も多いんです。チームでの学習により、わかっちゃって暇な子も教えることで新たな発見をする、わからなくて暇な子も友達から説明されればわかろうと必死になる。結果、全てのこどもが授業時間を脳みそフル回転で過ごせるようになる。これが理想です。自分のこどもが小学校にいるうちに、浸透していくといいなぁ。

ご興味ある方は、こちらが一番わかりやすいかな? ご覧ください。 学び合いwiki

 

 

3、ロボットの活用について

 

最後に、ロボット技術の進展をどう区政に取り込むかについて質問します。
先日交通公有地問題特別委員会で移動用ロボットについての研究会が行われ、モビリティロボットの可能性について深く学ぶことができ、可能性の大きさを改めて実感したところです。
ソフトバンク社は汎用ヒト型ロボットを今年の夏から一般に、秋から企業向けに出荷するということです。アプリケーションを入れ替えることによって様々な用途に対応できます。11月に行われた認知症サミットでも認知症ケアロボットとしての提案がなされていました。アプリケーション開発が進展すれば、案内、傾聴、プレゼン、各種のケアなど行政サービスにおいて様々な活用が期待できるところです。渋谷区では庁舎建て替えに伴う仮庁舎への移行がこの秋予定されていますが、これに合わせてまず窓口の案内向けにテスト導入し、管理運用も含め汎用ヒト型ロボットを行政サービスに活用するノウハウを蓄積してはいかがか。区長の見解を伺います。

ロボットの活用です。アドバルーン的ではありますが。

もともと、航空撮影できる飛行用ロボットのドローンとか、無人運搬ロボットとか、その辺も含めて提案しようと思っていたのですが、法規制とのからみがわからないなぁというところがあったので、ペッパー君だけに絞りました。

区長からの答弁は「まだ安定してないんじゃない? 窓口対応任せたら、怒っちゃう人もいるかもしれないよ? ワンストップサービスに対応できるの?」というものでした。

次の区長に、もっと具体的にぶつけてみようかなと思います。だって、ルンバなどの家庭用お掃除ロボットだって既に1%をこえるご家庭に入っているくらいです。急速に発達しますよね。はやめに管理運用のノウハウを蓄積して、どんどん使い倒しましょうよと。

 

次に、ロボット教育について伺います。
昨今、プログラミング教育について盛んに議論が進められています。その多くはパソコン画面上でのプログラミングで、絵が動いたり簡単なゲームを作ったり、というものです。しかし、単に画面上でのプログラミング教育よりも、現実に動く・論理的に間違っていれば動かないというロボットを導入したプログラミング教育の方が、直感的でわかりやすくこどもの興味を引くようです。昨年の夏にも文化総合センター大和田のハチラボでロボットプログラミングの企画が行われるなどしていますが、学校での授業や放課後クラブなども含めて、ロボットによるプログラミング教育を積極的に実施したらどうでしょうか。教育長の見解を伺います。

 

ロボット教育。教育長からは「既にやってます」的な対応だったけど、実はこの質問には大きな転換を図る布石という意図が隠されています。

もうすぐ、ある方にこのテーマで寄稿していただく予定です。そうしたらだんだん重みが伝わっていくのかもしれない。

 

次の期が楽しみです! って、渋谷区議会議員選挙に当選すればですけど(^_^;)

がんばろ。