政策

渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。

平成19年の渋谷区議会議員選挙でいただいた任期もあとわずか。渋谷区議会議員選挙の時に掲げた政策について、進捗状況をまとめてみました。興味あるところだけで結構ですので、ご覧いただければ幸いです。

4月まで人気があるので、一つでも二つでもプラスできるよう努力します。

 

<評価基準と評価>

評価は◎○△×の4段階です。以下のような基準で評価しています。

 

  • ◎は取り組んで、成果も出たもの。
  • ○は取り組んで、成果も出たものの、不十分なもの。
  • △は提案したもの。ただし、情報公開については提案と逆側に進んでしまっている。
  • ×は諸事情で断念したもの。
 

概要は以下の画像をご覧ください。クリックすると大きくなります。

詳細はその下に書いておきましたので、ご興味あるところはぜひじっくりと読んでみてください。

 

政策結果

 

 

<健康政策>

 

予防接種の助成拡大
  • 背景:もともと日本は「予防接種後進国」と言われていましたが、ここ数年急速に承認が進み徐々に追いついてきました。ただし、多くが自費接種とされたため、子育て世帯に重い負担が見込まれました。
  • 成果:こどもの健康を守る観点から、費用対効果に優れる予防接種を積極的に助成し、「予防接種で防げる病気は防ぐ」を進めました。2011年までに多くのワクチンが助成対象になり、今期もロタウイルス、B型肝炎、みずぼうそうなどに対象が拡大し、渋谷区は日本で一番予防接種行政の進んだ自治体となりました。対象となる病気のなかにははっきりと激減したものもあります。
糖尿病の簡易検診の導入
  • 背景:糖尿病は推計で成人の5人に1人ともいわれるほどになっており、もはや国民病となっています。また、医療費のなかの大部分を占めるようにもなっていて、早期自覚による生活習慣改善が極めて重要です。
  • 現状:指先で糖尿病予備軍を抽出できる簡易糖尿病検診を提案していますが、いまだ実現には至っていません。その他、糖尿病対策にむけ各種調査を行っています。
がん検診の適正化
  • 背景:がんも5大死因の一角を占める極めて重要な病気です。早期発見が重要とされていますが、あまりに早く発見したり高齢(=進行が遅い)で発見したりといった場合、治療効果よりも不安心理の方が問題となるケースもあります。
  • 現状:早期発見を基本としつつも、不安の軽減や医療費の削減なども視野に入れてがん検診の適正化に取り組んでいます。
 

<コミュニティスクールと教育>

 

コミュニティスクールの実現
  • 背景:教育に地域の力を活かすコミュニティスクールはすでに2000年代前半から各地で導入されていました。渋谷区は後発です。
  • 成果:2012年度より鉢山中、長谷戸小・猿楽小の中学校区で実施され、成果をあげています。順次他校にも定着させ、教育力向上につなげます。
多忙な教員の負担軽減
  • 背景:教育内容や教育方法(ICTなど)、事務や書類や部活指導などの負担が増大し、「ブラック企業並み」と揶揄されるほどの状況です。そのため、授業準備や児童生徒への指導にあてる時間が十分取れていない場合があります。
  • 成果:教員の負担軽減が重要であると提言し、書類や事務の負担軽減について退職校長・教員なども活用する体制構築につなげています。ただし、成果はまだ検証されていないので、検証を求めています。
効果の高い授業手法の導入
  • 背景:塾通いが一般になり、授業がつまらない子と授業についていけない子の学力格差が拡大する傾向があります。従来の知識偏重ではなく、課題発見解決能力やコミニケーション能力が問われるようにも変化してきています。
  • 現状:「アクティブラーニング(能動的な学習)」なども議論されていますが、その一つの授業手法である『学び合い』という授業手法を推進しています。これは、教師がクラス経営と課題提示・進捗管理に特化する授業スタイルで、能動的な学習につながり、またアウトプットが保障されることで成績上位・下位共に学習効果が高くなると言われています。また、クラスの仲がよくなることも期待されるので、非常に有効です。
 

<開かれた議会づくりと議員年金の廃止>

 

インターネット中継
  • 背景:区議会は傍聴するのが難しく、区民に対して開かれていないと言わざるを得ません。副次的にヤジ問題・暴言問題なども起きています。区民が家に居ながらにしていつでも傍聴できるネット中継は重要な議会改革ツールといえるでしょう。
  • 成果:2012年に本会議のネット中継が実現。委員会のネット中継は今後の課題です。
議員年金
  • 背景:平成の大合併以降、地方議員が大幅減少していて、地方自治体からの税投入拡大が必須の状況でした。
  • 成果:議員年金(市議会議員共済)は廃止され、一部を除き一時金(払込保険料のおよそ8割程度)での清算となります。
費用弁償の引き下げ
  • 背景:渋谷区議会議員には報酬のほかに会議出席ごとに「費用弁償」というものが5千円支給されていました。交通費と食費を合わせたようなものとされていたが、高額なため問題視されつつありました。
  • 成果:交通費実費相当を提案も、賛同者少数で実現できず。ただし、各会派が2千円への引き下げに合意したため、2011年中に引き下げが実現しました。
 

<公契約条例>

 
  • 背景:2006年以降「ワーキングプア」という言葉がしばしば使われるようになっていました。09年ごろからは、人々の生活を支える機能の地方自治体が、非常勤雇用や業務委託契約等を通じて最低賃金すれすれの水準で雇用している実態が問題視され、「官製ワーキングプア」と呼ばれ解決が求められていました。
  • 成果:民主党の提言を受けて、2012年に23区初の「公契約条例」が制定されました。これは大規模な工事の労働者が二次受け・三次受けの場合賃金が限界まで安くなってしまうことを防ぐものです。14年には業務委託契約等にも対象が拡大しました。
 

<保育所待機児ゼロ>>

 

保育所整備
  • 背景:2000年代中盤までは「三歳までは親のもとで育てる」という保守的な考え方が根強かった渋谷区も、粘り強い保育所整備の提案と親の就労環境の変化によってゼロ歳児も含めた保育所整備の声が進んだ。しかし、保育所は整備すればするほど他区(待機児の多いところ)からの流入や新規ニーズの掘り起こしを招くこと、渋谷区内でも地域的な遍在が起こっていること、土地や保育士の確保が難しいこと、ゼロから二歳の整備が急激に進んだため三歳児以降の預け場所が不足しつつあること、フリーランスの方々の預け場所など、2011年前後には新たな課題が明らかになっていた。
  • 成果:2012年度183人、2013年度375人、2014年度248人の定員拡大。病児保育(病気の時は保育園等には預けられないので)の制度、「認可保育園には入れなかった人とは入れた人の格差をなくすための制度」を提案し助成制度(認証保育や未認可保育に預けた場合でも、認可保育園並みに保育料がなるようにするもの)など導入される。流入を防ぐために「渋谷区に長くすんでいる方を優先する制度」を提案し一部導入。
 

< 情報公開>

 

情報公開条例改悪
  • 背景:情報公開は区民の基本的な権利を保障する重要なものですが、情報公開が頻繁に行われ、非常に大きな手間がかかっているため区政に支障も起きつつある状況です。
  • 状況:情報公開を取り巻く課題は議会で共有されたものの、情報公開をしづらくする「手数料倍増」と「却下規定の整備」が行われてしまうという残念な結果に。対案としてできるだけ文書等を事前に公式サイト上で公開しておく制度を提案するも実現できず。
 

<動画を使った広報>

 
  • 背景:インターネットの整備により、動画が自治体広報に活用される例が増えてきています。行政の行う各種説明会の中には、極めて重要だが日程が上手く取れず参加人数が少なくなってしまうものも多いです。
  • 成果:説明会の動画を公開することによって区民に提供するよう提言、渋谷区役所整備の説明会から導入されました。
 

<ネーミングライツ>

 
  • 背景:地方自治体の財政は厳しさを増しているといえます。歳入(収入)を増やすための手立てはほとんどありませんが、渋谷区では渋谷公会堂など大型のネーミングライツ契約が実行され、一定の歳入源となっています。宮下公園など唐突に契約がなされるためトラブルになったケースもありました。
  • 状況:ネーミングライツ制度の手続き面を明確にするよう条例案を提案するも、実現できず。ただし、トイレのように渋谷区内の全公衆トイレを対象に公募するものも出てきました。
 

<学校給食の無償化と公会計化>

 
  • 背景:笹塚中学校で給食費の不適切な取り扱いがあり、また給食費未納が社会問題としてクローズアップされていました。
  • 状況:給食費を公会計にし、不正が起こらないよう区が一元管理するよう提案、合わせて給食費を無償にするよう提案するも、認められず。
 

以上、4年前の渋谷区議会議員選挙における政策の検証でした。

長文お読みいただきありがとうございました。