本会議において、渋谷区議会における討論制限について、民主党の見解を代表して述べました。

渋谷区では、前田和茂議長のもと、議会での発言について一定の歯止めを加えようとの検討が進められ、最終的に討論という意見表明に時間制限を加えようとの動きとなっています。

補足しつつ掲載します。

kenpo-gikai

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先日の議会運営委員会で、本会議討論時間に制限(年間、1人あたり20分ただしグループごとに合計)がくわえられました。

本会議:区議会の会議は少人数の「委員会」と全員の「本会議」があり、審議するものは「委員会(こまかく議論)」→「本会議(意見表明&多数決)」の順ですすみます
討論:意見表明のこと


民主党としては、適切な意見表明を行う義務が各議員にあり、

  • 事実認定に誤りがあったり
  • 議案の内容をはるかに超えた内容であったり、
  • 他者を誹謗・中傷するような発言をしたり

することは慎まなくてはならないと考えております。
一方で討論時間を議員一人当たり年間20分とすることは反対をしております。


主な理由は、

  1. 年間どのような議案が出てくるのかわからず常に討論(意見表明)を控えるようになること:議案は予算決算、条例、請願などがあり、予算決算以外はいつどんな議案が出てくるかわからないので、時間を戦略的に配分できない
  2. 年度末の最終本会議で緊急提出される議案があった場合討論できない可能性があること:ルール上は議案をいつ出してもいいことになっている
  3. 少数会派の意見表明ほど制限されてしまうこと:うち(民主党)であれば年間80分討論できてある程度余裕があるけれども、無所属は20分と制限されると厳しいと思います

です。

条例:その地域の法律みたいなもの
請願:一般の方から議論をお願いされること。「集団的自衛権を認めないよう国に求めろ」とか。議会で賛否を決めなきゃならない
討論:一般的な傾向として、予算決算は5分~30分、条例や請願は3~5分くらいかかると思います


議員の仕事の本質は、「議決に参加し決した内容に応分の責任を取ること」「多角的な視野で課題を抽出し区民の様々な価値観を反映させること」です。
意見表明である討論は少数会派を含め広く保証されるべきであって、今回の決定は極めて残念です。


討論の時間制限を完全に否定するものではありませんが、年間通じての時間制限を行うことは、制度上不備があります。速やかに軌道修正すべきであることを同僚議員の皆さんに強く訴えます。

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<解説>

○背景
いままで、討論は各議員の判断によって行われていました。
討論はそれぞれの議員・グループが「この議案についてはどういう考えで賛成・反対するか」を述べる意見表明のことです。
各会派の意見は委員会段階で述べるものの、「これは特に大事だな」と思う議案、例えば予算・決算や自分たちが出した条例案、新設される条例案、意見が分かれる請願などについては、各グループの判断で本会議でも討論します。
無所属議員や少人数のグループは、すべての委員会に所属することはできないため、相対的に本会議での討論(意見表明)が重要となります。

ところが、ここ近年、「事実と違うもの」「関係ないことを言うもの」「他人や他会派を中傷するもの」などが討論にあって、そのたびに議長が注意したり、議会運営委員会で議論が行われたりしていました。
中断し、協議が持たれ、怒号が飛び、ごたごたごたごた…
なので、一定の共通認識を持つ必要はあります。


このたび、「討論のあり方検討会」なるものが前田和茂議長の諮問で設置され、これら討論について共通認識をつくるものと期待されていました。
ところが、メンバーも限られ、また本筋でない「討論の時間を制限する」という方向で答申がまとめられてしまいました(ただ、「反対者もいる」とは明記されています)。
その答申に従って、議会運営委員会の場で多数決でルールが決まってしまったのです。


答申を作る場では、一時期は「20分でも長すぎる、10分だ」「いや、年間5分で十分でしょう」とのやり取りもあったようです。
ちょっとこの辺は、あきれてものが言えません。どうも無所属議員のグループからの発言のようで、びっくりです(未確認)。


○我々のスタンス
その一方、発言そのものに制限を加えるのは反対です。
議員の意見表明って極めて大事だからです。特に今回のルールは不備が多いと思います。

今回、時間制限というルールが決められたこと自体は、受け入れがたいですけど手続き上は認められた手続きを踏んでいます。
ですから、そこは譲歩して、時間制限そのものを否定するのではなく、ルールの適正化を図るということを求めています。


個人的には、極めて問題のあることだと思いますし、こんな粗暴なルールを決めることに激しく怒っています。
が、議会で徹底抗戦(混乱させる)したところで、区民の生活がよくなるわけではありませんから、その辺は抑えてルール修正の提案をするという立場に立っています。

この辺の「譲歩」は、ある意味足元を見られる原因になっているのかもしれません・・・悩みどころですね。
街頭演説では激しく批判していますけど。


いずれにせよ、原因を作った討論の問題もあり、結果として意見表明の制限=議員活動の制限につながる時間制限の導入もあり・・・もうがっかりすることばかりです。
あんまりこの問題に関わるのも嫌で、労力はもっと区民のための政策立案に使いたいんですけど、話題となっているのでできるだけ丁寧に知っていることを書きました。


(参考)自分が無所属だったら?

質問が来たので、自分だったらどう対応するかを記しておきます。

議会のルール上、使われていない色々な手段があるので、知恵を使ってまずこれをうまく活用して実質的な意見表明を行うと思います。
いたちごっこみたいになって最終的に規制でがんじがらめになるかもしれないけど。

原則論を唱えるのも大事、現実的に対応するのも大事。実質的に討論する手段があるのでそれを活用すれば、「規制はやぶへびだった」となるでしょう。

実際、我々民主党渋谷区議団も、常任委員会全部にメンバーを送れなくなったときがあります。
委員会で質疑ができないと不都合なので、「予算(決算)委員会の総括質疑」という制度を復活させて対応しました。
同じように、やり方次第で意見表明は実質的には可能だと思います。