渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。お越しいただきありがとうございます。議員任期最後の1月になりました。といっても、会議は一日だけ。3月の議会が終わればすぐ選挙、という感じです。
ということで、4年任期の総決算。選挙で示した政策がどこまで進んだのか、進まなかったものは何が進まない原因なのか、自己評価をお知らせします。
目次
<目次>
<総評:70点>
全体としては7割くらいの進捗率でした。ということで、70点とします。個人では実行する権限を持たない議員としては十分胸を張れる数字かな、と。
後半所属した文教委員会のほうがどうしても実績が出るものです。最後の一年は無所属議員として活動しました。実行力が落ちるかな、と心配しておりましたが、むしろ自分の興味関心だけに集中することができたように思います。
ただ、すべての案件を自分一人でこなさなくてはならないため、アンテナを張っていくのは大変な作業でした。視野を広げるために視察やアンケートなど多様な意見に触れることを心がけています。
なお、個別の政策については
- ◎…実現した、大いに充実した、など
- 〇…検討が進んでいる、一歩前進した、など
- △…提案した、申し入れした、など
- ×…提案すらできなかった
として評価しています。それでは個別の政策についてお知らせします。
<子育て・教育の政策>80点
子育て・教育に関する政策は大いに成果が上げられました。特に大きいのはタブレットの全児童生徒への支給ですね。3年間、利用方法の提案や不都合の解消に取り組んできました。
基本は将来をになうこどもたちのための政策ジャンルですが、大人も含めた生涯学習、スポーツ振興も極めて重要です。大人が学びや成長を楽しめる、喜べる姿は、こどもたちの成長につながります。
ICT機器活用による教育改革 ◎
タブレットパソコンの全児童生徒支給が実現しました。十分使いこなせているとは言えないですが、基盤ができたので今後ノウハウをため高い効果を求めていきたいですね。なお、いろいろなトラブルの解決に取り組んでいます。
タブレットパソコン支給の効果はこんな風にとらえています。「可能性」と書いているのは私の希望です。
- ICT機器に習熟できる(家庭の経済状況による差が出ない)
- 成績処理や授業準備などの負担が軽減される
- プログラミング学習や写真・動画の活用、データ編集など学習に広がりがでる
- データを蓄積することにより指導の改善につながる可能性がある(教員向けSNSの充実)
- 個々の課題(進度、特性)に合わせた学習が行われる可能性がある(アダプティブラーニング、特別支援&ボーダー対応、読字障害・所持障害・計算障害などの対応)
- 広報連絡等が電子化される可能性がある(連絡帳等の電子化)
プレーパークの増設 ◎
厳密には公園行政の範囲ですが、こどものための環境整備という意味で重視しています。
富ヶ谷にあるはるのおがわプレーパークは、大人(プレーリーダーや地域住民、保護者等)の関わりのもとこどもたちが自由に楽しめる魅力的な公演です。公園自体を改造するようなダイナミックな遊びから、火遊び、昔遊び、水遊び、泥んこ遊びなどやりたいことがいろいろできるんです!
都市圏である渋谷にとっては、このようなプレーパークの存在は貴重です。こどもたちを遊ばせて感動して以来、ぜひ渋谷区中に広げたいという希望を持っていました。
平成31年度(令和元年ということですね)の予算についに費用が予算計上されました。今までの出張プレーパークのなかから選定していくということですが、大いに期待しています!
図書館の充実 〇
こどもの学校で図書館ボランティアをやっているくらい図書館は大好きです。さらに身近にしていきたいなぁと。もちろん、大人も使える「生涯学習」の拠点でもあります。
今回の4年間で、学校司書配置の増加、電子図書館の導入などが実現しました。
なお、もともとこの項目で進めていたのは3つ。
- 学校図書館の本の充実・学校司書の体制充実
- 図書館の資料の適正化
- 資料の電子化(保存と閲覧のため。特に貴重な資料は破損などがなくいつでも調べられるのはとても重要です)
学校司書は1、電子図書館は2、3につながります。特に電子図書館は、図書館の弱点である「場所と時間に制限され、また破損と延滞がおおい」という点を解決できるので非常に有効です。育てていきたいですね。
小1の壁解消 〇
4年任期の最初に実績をだせたのが、この項目です。具体的には放課後クラブの時間延長を図ることができ、保育園並みになりました。その他、放課後クラブでの「長期休みの際のお弁当はでづくり指定」だったのを改めたり、内容を充実させたりといった成果が出ています。
今後の課題は以下。
- 放課後クラブにおける長期休みの対応(開始時間を早める、給食を導入するなど保育園並みに)
- 放課後クラブにおけるおやつ・夕食の提供(保育園並みに)
- PTAの支援(PTA作業環境の改善、PTAの支援強化=役員等の負担軽減)
保育園の1歳児以上の待機児解消 △
私は保育園の待機児解消は相当難しいと思っています。それは、「待機解消できそう」となると保活の引っ越しが起こるからです。少なくとも都内全体で大幅に減らせない限り、渋谷区単独で実現するのは数字のマジックでもない限り難しいでしょう。
むしろ、以下の三つが重要です。
- 保育園に入れた人は天国、待機になったら地獄、というくらいの格差こそ解消すべき
- そもそも保育園だけでなく、家庭内育児、幼稚園利用、ベビーシッター利用などどれをえらんでも等しく支援されるべき
- 待機児解消については供給(保育施設をつくる)だけでなく需要(利用希望者をはやく把握したり増えすぎないようにしたりする)のアプローチも重要
この四年間の成果はこんな感じです。
- 待機児のための区立保育室の改善。施設の充実、単年度利用→継続利用も可能に(上記1に関連)
- 病児保育の充実やベビーシッター助成などの実施(上記2に関連)
- 1歳児以上の枠の充実(上記3に関連。1歳以降の待機をなくせば、「0歳で無理して入れなきゃずっと待機になる」との恐怖心を取り除け、0歳の過剰なニーズ縮小が期待できる)
- 入園選考で居住歴を要素に加える(上記3に関連。過剰な保活流入の抑制が期待できる)
実数として待機解消できていないので△にしましたが、すべての渋谷区の子育て世帯が等しく支援されるよう取り組んでいきたいと思っています。
<健康政策>50点
重点項目ですが、健康政策はどちらかというと渋い結果になりました。特に感染症対策は国に先駆けた取り組みを求めましたが、さほど踏み込んだものは得られませんでした。
それでは個別の政策です。
感染症対策 〇
麻疹・風疹の対策について、オリンピックを絡めた感染症対策として強化を求めてきましたが、国に先駆けた踏み込んだ対策を実現することはできませんでした。
とはいえ、一般よりも進んだ取り組みが風疹対策などでは実施されているので、満足すべきなのかな、とは考えています。具体的には風疹対策について緊急対策が充実しました。
また、インフルエンザ対策として、新たに高校受験に直面した公立中学区3年生の対策強化を提案し、実施に向けて検討が進んでいます。これなども大きな成果かなと考えています。
今後の課題としては、
- オリンピックなどの際の感染症対策(感染症の輸入・輸出の阻止)
- インフルエンザ対策の確実な進展
- いわゆる子宮頸がんワクチンに関する適切な情報提供
など、引き続き取りんでいきたいと考えています。
認知症対策 〇
認知症対策については、国でも認知症対策が大いに検討された4年間でした、渋谷区でも認知症カフェや認知症サポーター養成講座などで積極的な取り組みが行われるようになりました。
糖尿病対策 △
気軽に検査できる体制などを求めていますが、目立った成果といえるものはありません。
がん対策 △
より受けやすく安心できるがん検診の実施、いわゆる子宮頸がんワクチンの情報提供、ピロリ菌除菌の支援、がんサバイバーの支援などが必要だと考えています。
この4年間では胃がん内視鏡検査の導入が進められましたが、全体としてはさほど進展を得られませんでしたので△。
<その他の政策>
基本構想の改定 ◎
渋谷区の「ビジョン」である基本構想。1990年代に策定された旧構想が実態とずれてきているという認識の下、基本構想を現代的に改訂しようと求めたのは前区長の時代です。
長谷部区長のもと大幅改定が実現し、「違いを力に変える街」というキーフレーズのもとダイバーシティとインクルージョンを中心としたビジョンとして再生されました。このような大改訂のきっかけを作ることができたのは大きな成果だと考えています。
路上喫煙対策の強化 ◎
路上喫煙対策については、議員になって初の議会で取り上げて以来、16年間ほぼ一貫して規制の強化を求めてきました。
2018年の国や東京都の法・条例改正、それにつづき渋谷区でも2019年に条例改正が行われ、ようやく、ようやく! 罰則付きの路上喫煙禁止が実現しました。
ただし、法や都条例で屋内喫煙が厳しく制限されている中、屋外喫煙を過剰に規制するのもなかなかむつかしいなと感じています。厳しすぎる規制は守られないからです。その辺の見えない路地で吸われちゃっても全くいいことありません。
なので、今後の課題としてはしっかり啓発を行うこと、排煙対策をした喫煙スペースを今以上に確保し、そこにきちんと誘導することだと考えています。
帰宅困難者対策の充実 〇
昼間人口の多い渋谷区では、災害時の来街者への対処が極めて重要です。もともと故・芦沢議員が表参道ヒルズ開業の時期(2006年)から帰宅困難者対策の充実を訴え、それを引き継いだ形で私も取り組んでいます。
東日本大震災以降重要性が再認識され、かなり進展してきました。ここ4年間でも渋谷・恵比寿・原宿など大ターミナルで周辺企業による「協議会」が立ち上がっています。
とはいうものの、実際に震災が起こった場合に万全かというとそうでもありません。帰宅困難者にきちんと対処することは、区民の被災者を守ることにもつながります。地道な取り組みが必要です。
電線地中化 〇
電線地中化は都市環境委員長をやった1期目から重要なテーマと考えていますが、なかなか進めることができませんでした。最大の課題は資金であり、1メートルあたり50~100万円の経費がかかるといわれています。
そのため、すぐにすべて進めていくのは難しいと思いますが、まずは東京オリンピックにかかわって新国立競技場周辺地域が進められます。今後は生活にかかわる主要な道路もぜひ進めていきたいところですね。