渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。

議会質問の解説を書きたいが、なかなか忙しくて…ということで、もうしばらくお待ちください。

動画はこちらで公開されています。直リンクできないので、平成27年11月27日の動画を選択してください。今までの議会と違い、映像がぼやけてて変な感じです。そしてメガネに慣れていない(^_^;)

 

 

さて、明日、私たち民主党渋谷区議団の会議があり、各議案(審議する内容)について賛成反対を決めることになっています。

新宮下公園整備事業については、グループ内でも各議員でいろいろ意見が違います。なので、私自身の意見をさきに皆様にお伝えしておきます。

 

宮下公園整備の経緯

宮下公園は、渋谷駅のすぐ近く、山手線に沿った形で南北に細長く存在しています。1階部分に公共駐車場があり屋上が公園となっています。

私が議員となった12年ほど前は、うっそうとした森のような公園で、人が集いづらい雰囲気でした。夜間にはトラブルがあったりすることも多かったようです。

これの状況を改善したのが、ネーミングライツ(命名する権利を売却する)と寄付を活用した運動公園化です。スケートボード場、クライミングウォール、フットサルコートが整備されるとともに、全体的にリニューアルし、夜間施錠が行われることとなりました。

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しかし、1階部分の駐車場が老朽化し、耐震性能その他に課題が出てきたことから、事業者の資金をつかって再整備するということになりました。

具体的には、

「30年の定期借地権(一定の期間だけ土地を貸す)を設定し、商業施設をつくらせる代わりに屋上に新宮下公園を整備する」

と言うやり方です。

公募を行ったところ、三井不動産と東急の2事業者が応募し、案を検討した結果三井不動産の提案をベースに進めていく、と区は決定しています。

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ただし、この決定が近隣町会等の了解を得られていなかったため、また一部にホテルを建設するという計画が結果的に隠されていたために、町会合同で懸念が表明され、それを受けて3月の議会では継続審議(結論をださないで先送りする)となりました。

その後、8か月間かかって周辺住民を主体とした「宮下公園を考える会」が要望案を取りまとめました。それを反映させ、さらにホテルなどの詳細を盛り込んだ事業計画が今回示されたところです。

 

新宮下公園整備事業の論点

宮下公園の再整備については、いくつかの論点があります。私なりにまとめると

 

(A、そもそも公園って・・・)

  1. 公園を民間企業に貸し、商業用地として活用させていいのか。
  2. 公園は誰でも自由に活用できることが大切ではないか。商業ビル屋上だと制限されないか
  3. 地域のこどもたちも利用できるような公園が望ましいのでは。今ですら心理的に使いづらい
  4. 災害時に活用しづらくなるのではないか。
  5. 路上生活者などの行き場が無くなってしまうのではないか
  6. デモなどの発着点になっているが屋上で大丈夫か
  7. 周辺住民や利用者の理解は得られているのか

 

(B、事業計画の周辺への影響は・・・)

  1. 3階建てにプラスしてキャノピー(つる植物などを這わせられるワク)があり、巨大な壁になる。圧迫感がある
  2. 隣接するのんべい横町の再整備が難しくなるのではないか
  3. ホテルはいらないのではないか。ホテルへの導線として公園が使われるのはおかしい
  4. 樹木が切られる

 

(C、新整備計画のメリット)

  1. 資産の有効活用になる。整備費用に加え、年6億円の地代収入となる
  2. 渋谷駅との接続が改善され、回遊性が強化され、賑わいも生まれる
  3. 渋谷は来街者・旅行者の割に宿泊施設が不足しており、ホテル建設によりギャップの解消が図れる
  4. 「緑と水の空間軸」という方向性にそったリニューアルとなる

 

という感じです。

 

私の考え

 私の考えは、全体として、容認すべきです。

理由は以下になります。

  1. 周辺住民を中心に策定した要望事項が反映されたこと
  2. 詳細な計画が示されたこと
  3. 資産の活用は重要であること
  4. 駅周辺部のにぎわい、緑の形成という意味で「おそらく」プラスであること
  5. 災害時の対応やデモなどについて、ある程度課題が解決したこと

 

最大のポイントは1です。そもそも周辺住民がOKしているのに、住民代表であるわれわれ議員が反対に回ることはできない。 せいぜいさまざまな視点から改善を提案することが限界でしょう。

私は、公園は町会などの団体だけではなく、利用者を巻き込んだ議論が必須と思っているのですが、宮下公園の場合は余りにも外部の利用が大きく多様で意見集約が不可能です。ですから、町会などの意見を尊重するのが妥当だと思います。

加えて、災害時の対応やデモの対応、そして都市計画の観点からの対応など、懸案がある程度考慮されたから・また資産の活用という点で大変有効だからです。

 

なお、一部路上生活者(ホームレス)についての懸案から計画に反対される方がいらっしゃいます。私は、気持ちとしてはわからなくはないものの、公園という「施策の目的」はホームレスの生存権を保証することにはないことが明らかなので、ホームレス支援のために公園を変えるな、という主張には賛同していません。ホームレスの生活支援、自立支援はその政策目的にのっとった施策で達成すべきです。

ただ、影響を受けるホームレスの方は確実にいらっしゃるので、それらの方への配慮は十分に求めていくつもりです。

 

ということで、あす午前中の民主党渋谷区議団の会議では、宮下公園の整備計画については賛成を求めていく予定です。

 

 

(12月9日追記)

笹本さんが本会議で「私だけ見ていない資料がある! だから反対だ!」と仰っていたのですが、ご本人のブログを拝見するとこれは宮下公園を考える会の意見書でしょうか…

民主党は一部分ですが入手しています。町会等複数の関係者からご相談をいただいておりましたので、それに付随して。