渋谷区議会第4回定例会にて質問した原稿を全文掲載します。
目次
区政課題と住民生活
区政の信頼回復~コネや人事~
最初に区政課題です。この間2回ソーシャルキャピタルについて議論をいたしました。前副区長問題を契機に渋谷区政は信頼感を失っている、信頼回復のため慎重に対処していくべき、という趣旨です。
今回取り上げるのは疑われかねない要素を事前に取り除く提案です。SNSが世論や政治・選挙を大きく左右するようになったいま、大事な視点であると考えています。
具体的には人脈経営からの脱却の必要性です。
区長は就任以来豊富な人脈を生かして多様な人材を区政に引き寄せてきました。経営者、NPO、アート関係、スポーツ関係、教育者、芸能人、実に多様であり、大きな成果を上げてきたと評価するものです。
ただ、昨今はこの「人脈」がマイナスに働くこともあります。たった一枚ツーショットの写真が載せられただけで癒着が疑われる時代、人脈の活用にはリスクも伴います。
先日も認定NPO法人フローレンスの不正に関連して、当時の代表だった駒崎氏と長谷部区長の仲睦まじい写真が掲載され、あたかも個人的な友人関係をもとに利益誘導が行われているかのような憶測が拡散されていました。
個人的には同法人の渋谷区での仕事は障害児保育の撤退は残念なものの児童福祉分野で十分区民を助けていると思います。が、正直私は利益誘導があったかはわかりませんし、否定する材料も持ちえませんから「そんなことないと思う」と根拠なく述べるのが精一杯です。
人の噂には戸が立てられず、否定するのも悪魔の証明的で無理であるため、今後はこのような「疑われかねない要素」を事前につぶしておくことこそが上策だと考えます。
この観点から2つ提言します。一つ目、紹介への対応を慎重にすべきです。 これは区長に限らず議員や区政関連団体含めいろいろな人や事業者の紹介があると思います。これについて、誰かの紹介であっても忖度せずに、公平公正を保つことを全庁的に宣言する必要があり、また選考過程もどなたからの紹介かまで含めて徹底的に記録し説明できるようにすべきだと考えます。区長の見解を伺います。
二つ目、人事の硬直を避けるべきです。 外郭団体において5年も10年も同じ職を務める方がいらっしゃいます。それぞれの手腕を私も高く評価していますし、信頼もしていますけど、変に勘繰られないとも限りません。渋谷区および関連団体では人事の流動性を保ち、常に新陳代謝を促す方針を明確にしてはいかがでしょうか。区長の見解を伺います。
住民の期待に応えるために
次に法的妥当性と住民の期待のバランスについてです。
富ヶ谷1丁目計画への反対運動に見られるように、区民が行政に期待し求めているのは、形式的な法との適合や妥当性よりも、安全・安心の実現や環境保全といった実質的な正義の実現ではないでしょうか。
先日から話題になっている釧路のメガソーラー問題が典型ですが、行政や政治家が訴訟リスクを懸念する案件であっても、地域住民はむしろそのリスクを背負ってでも是正を求めていると考えられます。
「法的整合性よりも実質的な正義」が求められる時代です。区として区民を守り期待に応えていくためにより踏み込んだ姿勢が求められていると思いますが、区長の見解を伺います。
幡ヶ谷社会教育館
次に幡ヶ谷社会教育館です。来年6月末での閉館に向けた条例が提出されています。後継の複合施設も検討していていずれ閉館することは理解していますが、方針が確定したわけではありません。
先日の文教委員会における質疑では、閉館の主要因として、空調設備の深刻な老朽化に伴い約1億円強の修繕費が必要であり、短期間の延命はコストが大きすぎること。特に夏季の利用が困難であることが示されました。他方で、空調設備以外の施設については利用継続に大きな支障がないことも明らかになっています。
利用者・利用団体の利便や、代替施設への円滑な移行の観点から、施設機能を完全に停止するのではなく、現実的な措置を講じた上で可能な限り継続すべきではないでしょうか。
そこで2点伺います。
1幡ヶ谷社会教育館を来年6月末に閉館しなければならない最大の理由をお答えください。 2利用者の利便性を最大限考慮し、夏季を休館とした上で、閉館時期を26年末まで延長して使用継続することに対する具体的な課題について、区長の見解を伺います。
物価高騰対策にハチペイ食料品キャンペーンを
次に物価高騰対策です。デジタル地域通貨ハチペイを活用したお米キャンペーンの第2回実施については、物価高騰対策として高く評価しますが、支援対象がお米を炊飯する家庭に限定されること、また、お米だけでなく他の食料品全般が高騰している実情、さらに、ハチペイ利用可能店舗の地域的な偏在などに課題が残ります。
この課題を解決するため、お米だけでなく他の食料品全般が高騰している実情、ハチペイ利用可能店舗の偏在などの課題に対応するため、食料品全体に広げたシーズンごとのキャンペーンへの転換、および、区民の利用頻度が高いスーパー等大型店舗のハチペイ導入促進が引き続き必要であると考えます。お米キャンペーンを拡大した狙いとともに、区長の見解を伺います。
敬老金の見直し
敬老金の見直しです。この事業は「敬老の意を表す」ことと「高齢者の見守り」を主な目的としています。
令和6年度に全体の見直しが行われ、財政負担の重さと民生委員の皆様による配布負担とを解消するため、支給を5年ごととし、喜寿などの節目の支給を組み合わせる形となりました。
これは一定効果があるものの、80歳と85歳、90歳と95歳の間など、支給の間に最大5年の空きが生じるなど見守り頻度に大きなムラが生じます。また、見守りの重要性は、高齢の方ほど高いがそういう形にはなっていません。
加えて、現行制度では高齢ほど支給金額が増えますが、本人が有効活用できるか疑問です。
以上の観点から、民生委員の任期を踏まえ3年ごとの支給とし、平均寿命の85歳を超えた方は見守り頻度を増やす観点から1年に1回支給とする。さらに支給は定額とするのが最善ではないでしょうか。区長の見解を伺います。
民泊規制強化を
民泊です。住民生活への強い懸念があります。近隣区が条例改正による規制強化を進める中、本区が対策を講じなければ、民泊が一層増加する可能性があります。居住用不動産の民泊への転用は不動産市場の逼迫要因ともなりえます。良好な生活環境の保全という観点から、条例による規制強化と闇民泊対策の促進を図るべきと考えますが、区長の見解を伺います。
民泊です。住民生活への強い懸念があります。近隣区が条例改正による規制強化を進める中、本区が対策を講じなければ、民泊が一層増加する可能性があります。居住用不動産の民泊への転用は不動産市場の逼迫要因ともなりえます。良好な生活環境の保全という観点から、条例による規制強化と闇民泊対策の促進を図るべきと考えますが、区長の見解を伺います。
置き配の推進
置き配の推進です。
宅配便の増加による再配達は環境負荷増大とドライバー不足の原因です。国で置き配推進の方向性が示されておりますが、区内の戸建てやアパート等では宅配ボックスがないため置き配が進まず、課題となっています。高性能な宅配バッグの配布や助成を行えば、再配達削減によるCO2排出量削減と住宅街における路上駐車の削減、ワイヤー錠等により防犯体制強化を両立できるのではないでしょうか。区長の見解を伺います。
〇教育について
宿泊行事
次に教育です。宿泊行事についてです。平成30年の全体見直し以降、国立施設を中心に多様な行き先が選ばれるようになりました。昨年は協定締結した茅野市など、新たな宿泊先の推進を図る方向性が見られますが、依然として国立青少年教育施設への依存度が高いのが現状です。
そうした中、本年8月6日に公表された「国立青少年教育施設の振興方策について(報告書)」では、国立施設の縮小を含む再編が示されました。
国立施設は良質なプログラムを所有しているというアドバンテージがあり、これを徐々に移転していく必要があります。
国立青少年教育施設の再編・縮小の動きを踏まえ、区として今後、長期安定的に宿泊行事を運営していくための具体的な見通しをどのように描いているのか、教育長の見解を伺います。
富山臨海学園の復活を
さて、富山臨海学園については、民間事業者による再生が図られたものの、残念ながら今年8月に事業者が撤退するという事態に至りました。区の貴重な資産である富山臨海学園の今後の方向性については、大きく二つの道しかないと考えます。一つは、施設を完全に売却し、財政的に身軽になる方向。もう一つは、腰を据えて必要な投資を行い、第三区民保養所として区民の幅広い利用に供しつつ、臨海学園等の宿泊行事にも活用する方向です。長期的展望を踏まえ、私は後者を改めて検討すべきだと思いますが、区長の見解を伺います。
〇健康について
若者の入院医療費助成を
最後に健康です。こども医療費についてです。無償化が高校生まで順調に拡大したことは子どもの健全育成と子育て世帯の負担軽減に大きく寄与しており高く評価します。
医療分野や社会教育分野などでは、思春期と若年成人、いわゆる15歳から39歳までをAYA世代と位置づけ施策のターゲットとされています。この世代は、進学、就職、結婚など重要なライフイベントが集中し、またキャリア初期で経済的に不安定な時期です。加えて、人間関係も移ろいやすく心理的にも不安定で孤立しやすいこともあり、この時期の病気や怪我やメンタルの不調は、その後の人生に極めて大きなダメージとなりますから、セーフティーネットとして医療費助成は有効です。
そこで質問します。医療費助成を、この経済的・精神的リスクの高いAYA世代まで拡張してはいかがでしょうか。全額助成までは求めませんし、39歳という区切りをそのまま適用することが妥当かは議論があるでしょうが、生活に特に支障をきたす入院時の医療保険自己負担部分に絞る、あるいは25歳までの医療費全体を半額助成するなど、何らかの形で支援の枠を設けることが、「行政や社会が支えてくれている」という大きな安心感を与え、若者の将来的な転落を防止するセーフティネットとなり得ます。区長の見解を伺います。
併せて、具体的に検討するため、25歳までの入院医療費の半額助成を行った場合の費用の推計をお示しください。
RSウイルス感染症対策
次にRSウイルス感染症です。現在、妊婦や高齢者向けのワクチンが実用化されていますが、高額な任意接種が普及の大きな障壁です。妊婦向けの定期接種化方針が出たものの、高齢者の定期接種には時間を要します。重症化しやすい乳幼児と高齢者を守るため、妊婦向け定期接種は無償とし、高齢者については一部公費助成を早急に導入すべきと考えます。また、早期の定期接種化を見据え、区内医療機関と連携した円滑な実施体制の構築を進めるべきと考えますが、区長の見解を伺います。
HPVワクチン助成
最後にHPVワクチン助成です。子宮頸がんや中咽頭がん等に極めて有効ですが、国では女性の定期接種に加えてキャッチアップ接種があるものの今年度末で経過措置が終了します。男性は定期接種が未実施です。これは男女の公平性の観点から公衆衛生上の大きな課題です。
本区では男性接種にも女性の定期接種と同じ年齢で全額助成が行われ、高く評価するとともに接種率向上を願うところです。
さて、HPVワクチンは自費だと高額なうえ、対象疾病は発症が数年~数十年先となり、若年層にはメリットを感じづらいワクチンです。 ここは若者支援と位置づけなおし、定期接種を逃した方や助成の対象とならない年代の方に対しても、自らの健康とパートナーの健康に配慮する施策として、費用助成してはどうでしょうか。進学する、男女交際を始めるなどのイベントが集中する時期だからこそ動機づけしやすい可能性があります。定期接種や区の助成の対象外となる17歳から20歳までの男女の未接種者に対し、HPVワクチン接種の半額助成を行い、若者世代の支援と公衆衛生の向上を図るべきと考えますが、区長の見解を伺います。



