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渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。
同僚の渋谷区議・はるた議員が政策勉強会を開催したので参加しました。

東洋大学の水村容子先生をお招きして「スウェーデンのすみ続ける社会の仕組み」というタイトルで、福祉的な住宅政策です。

北欧諸国では福祉は特化したものではなく、すべての人に対する社会サービスとして位置付けられています。

その考えは住宅政策にも反映されています。全ての人が住みやすい=障害があっても、後天的に障害が出てもすみやすい住宅政策!

認知症や障害などになっても多少の住宅改修で最期まで住み続けられるわけです。これはすごいな。渋谷区でも参考にしたい。

 

ちなみに水村先生は著書でもスウェーデンについて言及なさっています。

 

 

 

以下、要点メモ。

 

1、住まいをめぐる環境の現場

 

◎経緯

1940年代に近代的な住宅政策始動(スウェーデンは貧しく人口流出増加)ミュルダール夫妻「人工問題の危機1934」少子化問題住宅政策と貧困が原因と指摘

それに先駆けて社会民主党党首ハンソンがマニフェスト「国民の家」発表。

 

  • 貧困層にも住宅供給という政策
  • 公共が民主的に住宅供給
  • さらに平等(女性政策含む・家事軽減・公共の施設充実)

 

◎行政の責務

コミューン(地方自治体)が住宅政策の中心

 

  • 住宅供給・維持管理を担当
  • 供給会社(アルメニッタ)全市に。住宅協同組合。土地公有のうえでの民間事業者。この三者で住宅供給
  • 加えて賃貸住宅へは住宅手当て、家賃規制、良質なストック供給
  • 持ち家へは利子補助、減税、住宅手当て

中央政府は法制度、住宅取得資金供給

 

◎90年代以降の変化

  • 新自由経済
  • 右派政党台頭
  • 公共セクター住宅市場機能不全(なかなかたたないとか)
  • 住宅融資の過剰な社会的負担
  • EU加入に伴う国内法制度整備

 

→現状は「政策なき政策」と言われるほど変化

 

  • 民間市場に委ねられた住宅市場
  • 協同組合住宅は区分所有的に

→その結果、住宅格差が出てくる

 

高級化した住宅地

  • ストックホルム中心&新興住宅
  • 所得階層高い(多くは住宅バブル時に売った)
  • スウェーデン人多い
  • 高齢者少ない
  • 利便施設集中

 

低廉な住宅

  • ミリオンプログラム時供給
  • 所得低い、高齢化
  • 移民がい&低所得スウェーデン人多いの二種類
  • 移民は二年分のサービスを公共が提供
  • 移民は多くなると語学学ばない、福祉のお陰で意欲低い、スウェーデンは母国語教育

 

→その結果出てきた問題は

  • 教育格差
  • 公的賃貸住宅
  • サービス撤退
  • 不良住宅地区改良事業(所得の混在が必要)
  • アートで活性化

 

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2、高齢者や障害のある人がすみ続けるための仕組み

建築法1977改正時
移動障害者あるから、認知障害者へのアクセスビリティの保障

後継法
「建築計画法」と「建築規制」におけるアクセスビリティ規定2010改正

 

  • 平屋の個人住宅のアクセスビリティとユーザビリティ
  • ハードの条件が整っていれば多くの人は終末まで活動できる水準
  • サニタリールームの面積基準確保
  • 介護労働への配慮
  • 廊下幅員・廊下ない・サニタリールーム充実
  • ALSでも暮らせる浴室スライドドア寝室流行りのデザインか?

 

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3、すみ続けるための福祉・医療サービス

 

ノーマライゼーションという概念1950デンマーク

スウェーデンは実は優勢思想も根強い

 

スウェーデンにおけるノーマライゼーション

 

  1. 1960ノーマライゼーションの理念・施設を作り始める
  2. 1970ノーマライゼーション理念の具体化か地域計画に
  3. 1980ノーマライゼーション立法化社会サービス法

 

社会サービス法

  • コミューンの責務
  • こども、青年、高齢者、障害者、子育て支援、ホームヘルプサービスまで

 

保健・医療サービス法

  • 広域自治体(転売などのため)
  • 障害者リハビリや福祉用具、テクニカルサービスなどの供給
  • 終末医療、ケアも

 

機能障害者のサポートとサービスに関する法

  • 機能障害者が健常者と同じレベルの生活を送るための権利に関する法
  • パーソナルアシスタントサービス(人的)、コンタクトパースンサービス(情報)
  • 福祉用具についての概念が広く、食器洗い機なども必要ならば自己負担なく供給

 

これらの結果、20万くらいの改修多い(保健医療サービス法で保障)200万くらいの高額改修も提供

最後まで暮らす
緩和ケア(広域自治体)
ストックホルム県六病院ホスピス在宅緩和ケアユニット23(症状緩和)

 

2012年の死者16500のうち

  • 病棟38%
  • 緩和ケアうけた15%
  • ケアつき住宅45%
  • 住宅で在宅緩和ケア5%
  • 事故など7%

 

終末期住環境整備は保健・医療サービス法を根拠に。計画建築法以降の方が圧倒的に改修量少ない(良質なストック化)

 

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4、共生の住まい

 

ストックホルムのコレクティブハウジング(全体の0.05%)

  • 多世帯で暮らす
  • 家事の合理化や経済性追求
  • 家事労働の合理化
  • 単身者多い(離婚など多い)

 

「人生の後半生のためのもの」もある。40歳以上

  • 女性が多い
  • 住民が管理
  • 老化のスピードが遅い(社会参加・役割)
  • 住まいまでデリバリーされる医療サービス
  • 認知性は巻き込まれるのでグループホーム・初期は近隣がケア
  • 最後まで普通で暮らす