渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。

質問内容公開第三弾です。今回は学級閉鎖について。前回(インフルエンザワクチン助成)とセットの質問です。

 

【質問】

 

続いて教育です。インフルエンザの学級閉鎖について考えます。今年は昨年に比べても1.5倍以上の学級閉鎖となっています。

学校によりますが、おおむねクラスの10~30%が欠席した場合、1~3日程度の学級閉鎖が行われています。土日を含んで5日以上のところもあるにはありますが、ほとんどは短期です。

 

学級閉鎖はご家庭にとって大きな負担です。特に増加する共働き世帯は、学級閉鎖になれば放課後クラブも使えませんから誰かが休むか人を手配するかしなければならず、辛い思いをしています。保護者の立場からは、学級閉鎖はできるだけ避けたい。発症したら仕方ないけれども、まだ元気なうちに突然閉鎖になると対応が本当に厳しいです。

ところが、学級閉鎖に関して「最終的に総感染者数を減らす効果がある」とする論文はほとんどありません。臨床医が使うインフルエンザの解説書においても、季節性インフルエンザの学級閉鎖は「学校運営上の要請」とされています。であれば、早期に予防的に学級閉鎖を行ったり、放課後クラブまで利用できなかったりするのは負担と効果の均衡の面で疑問を持ちます。

そこで提案します。こどもに対するインフルエンザワクチンの接種の強化をすることと合わせて、時代の変化を加味して保護者、学校、学校医、保健所などの連携により学級閉鎖について渋谷区の基準を検討してはいかがでしょうか。教育長の見解を伺います。

(掲載にあたって一部修正有り)

 

 

【解説】

 

政治家は政治的活動の中で、かならず「立脚点(どの区民を代表するか、など)」「視点(例えば、できるだけ区民負担なく行政サービスを改善させる、など)」があります。

今回のこの質問は「共働きを含む保護者の立場」と「感染症拡大を防ぎ区民の健康を守る立場」とでバランスを取っている質問です。どちらも私が大切にしているものです。

 

最近、医療者向けの勉強会にちょくちょく参加しているのですが、そこで神戸大学の岩田教授(感染症)から「学級閉鎖の効果は限定的、支持するデータもほとんどない」といわれたことに衝撃を受け、だったら保護者とこどもに負担を強いる(こどもは喜んでいるかもですが 笑)学級閉鎖については考え直さなきゃならないなぁと思ったのがきっかけでこの質問を作りました。

確かに論文等を読んでみると、新型インフルエンザについては感染経路を遮断するために有効そうだけれども、季節性インフルエンザはそこまで示しているものはさほどありません。むしろ、「総感染者数は減らない」とか「社会経済的に損失がある」とか「見直さなければならないのではないか」などの論文や記事が散見され、うーむと思います。

本文中で上げたテキストでも「学校運営上」とはっきり書かれております。確かに大勢に休まれちゃうと授業が成り立たないから休みにするのはそれはそうなんだけど、放課後クラブまで来ちゃいけないよ、外に出てはいけないよ、とするのはちょっと家庭に負担を押し付けすぎてないか? と。

 

もちろん、私はきちんとした医学を学んでいるわけでもないですし、論文について批判的に検証したり優越を論じたりする能力は私にはありません。さらに言えば、個々の学校で流行状況も違いますし、学校運営上の必要性も無視はしてはいけないでしょう。

なので、渋谷区の現状を踏まえて、保護者代表も含めたかたちで学校や保健所や医師会(学校医)などの関係部署が集まって一度基準を練り直してくださいよ、と投げてみます。

本文中に書く余裕はありませんでしたが、例えば「学級で1名インフルエンザ疑いの児童が出ました」「学級で3名欠席です。このまま拡大するなら〇人欠席出た時点で学級閉鎖を検討します」などアラートを事前に頻繁に直接保護者に送っていただけるなら、ある程度事前準備ができますのでそれだけでも大きな進歩だと思います。

放課後クラブのB会員なんて働いているから預かってもらわなきゃならないのに、学級閉鎖では有無をいわさず受け入れないのは大きな課題だと思います。明確に季節性インフルエンザの学級閉鎖を「感染防止」と位置付けるならともかく(ただし、諸研究からは効果は限定的と言わざるを得ない)。

 

なお、この質問は前提として、「インフルエンザワクチンをできるだけ多くの人に、早い時期に受けてもらうこと」を提案していますので、それも含めての話とお考え下さい。