「教育・健康政策」を中心にやってます、渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。

渋谷区の注目される政策の一つ、同性パートナーシップ証明の返還事例が出ましたのでご紹介します。

 

同性カップル解消、証明書を返還 渋谷区「第1号」の女性2人

同性カップルを結婚に相当する「パートナーシップ」と認める証明書を東京都渋谷区から受け取った「第1号」の女性2人がパートナー関係を解消し、証明書を区に返還していたことが28日、分かった。2人がホームページ(HP)で公表した。

(東京新聞より)

 

証明書の返還第一号となります。

 

今回の事例に関して

今回の事例については、制度上は公にしないこともできるなか、きちんと返還する選択をしたお二人には心から感謝したいですし、率直に立派だなと思っています。いろいろ言われることを覚悟して、なんでしょう。

本来個人的なことだから、明らかにする必要もない話です。第一号という社会的な重みを痛切に意識されての行動ですよね。実際、公表なさった東小雪さんのブログには以下のようにありました。

 

現在日本のLGBTをとりまく環境が、日に日に改善している中で、私たち個人が出したこの結論が、その流れに水を差すことになってしまわないか、その懸念についても、慎重に話し合ってきました。非常に重いを感じております。その上で、ふたりでじっくり話し合い、今回の決断をいたしました。(東小雪さんのブログより

 

そこまで考えなくても…とも思うのですが、それだけLGBTを取り巻く環境はまだまだ大変なのですね。ちなみに私のしりあいからはいまだに「パートナーシップ証明制度は、LGBTのなかで恋人がいる恵まれた人だけを対象にした制度だ。それだけで満足しないでほしい」といわれます。

なお、お二人は、パートナーを解消しても親友として仲間として活動していくそうです。

 

証明書返還制度について

さて、証明書返還については、渋谷区の規則においては以下のように規定されています。

 

渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例施行規則

(証明書の交付を受けた者の義務)

第十条 証明書の交付を受けた者は、条例の趣旨に従い当該証明書を使用しなければならない。

3 パートナーシップが解消された場合には、証明書の交付を受けた当事者の一方又は双方は、渋谷区パートナーシップ解消届(別記第六号様式)により、区長に届け出なければならない。

4 前二項の規定による届出をした者は、速やかに証明書を区長に返還しなければならない。

 

ということで、パートナーシップを解消した場合には届け出て証明書を返還しなくてはなりません。今回はこの規定にのっとって返還が行われたわけです。

しかし、返還の義務はあっても強制力がないのでもしこじれた場合に悪用される懸念もあると思っています。

 

実は、規則を渋谷区議会総務委員会で審議した際、このような「離別」の際の問題を指摘しましたが、基本的に区は性善説的に対応するのだ、ということでした。

本当にそれでいいのか、私はいまだに疑問を持っています。今回のように立派な方々ばかりとは限りませんし、愛情はこじれないとも限りません。

 

パートナーシップ証明書はパートナーであることを証明するだけでなく、LGBTであることを暗示する極めてデリケートなものです。

非常にむつかしいことですが、今後も研究を続けていこうと思っています。

 

 

(参考)平成27年10月2日総務委員会での鈴木けんぽう発言要約(議事録はこちら)


愛憎が絡むので一筋縄でいくケースばかりではない。パートナー解消が必要な場合というのは相当デリケート。

離別についてもきちんと制度設計をしておいてあげることが一番大切。

将来にわたって後悔することがないよう保障してあげることが絶対に必要。