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出村君が人生最初に作ったロボット

渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。

先日、ロボットプログラミング教育を渋谷区議会の一般質問で取り上げました。プログラミング教育は重要だが、特にロボットを使ったロボットプログラミング教育は有効である。渋谷区で全面展開しないか、と。

 

実は、米国のオバマ大統領が「すべての青年にプログラミングを学んでほしい」と訴えています。日本でもプログラミング教育の議論が盛んですし、一部行われてはいますが、残念ながら国家戦略として効果のある取り組みになっているかどうかは疑問です。

 ちなみに、プログラム教育の意義としては、

  • 楽しんで自律的に学べる
  • 論理的思考能力育成
  • 高度集約型産業構造への国家的移行

があげられます。

 

さて、以前、ロボット開発に携わっている高校生の話をブログに書きました。こちらで言われたのが、彼の通うスーパーサイエンスハイスクール(SSH)であっても、十分なプログラミング教育ができていないということです。

この状況を変えたいなぁ…

そこで、みずから小中生のロボットプログラミング教育に携わりつつ、ロボット開発の世界(特に、ロボットサイバーセキュリティという新分野)で最先端を突っ走る現役高校生の視点から見た「ロボットプログラミング教育」について、寄稿してもらいました。

新たな産業革命はロボットがになうと言うように、新たな教育革命もロボットプログラミングがになうのかもしれません。

ぜひ、じっくり読んでみてください。

 

 

<出村賢聖氏 プロフィール>

高校生。

2011年に地域の子供達にロボットや科学を教えるDKTロボットスクール(非営利)の発足に参画。 小中高生にロボットとプログラミングを教え、アシスタントから講師、そして現在代表。地域志向の『教育改革』による人材育成イノベーションの実践が評価され、「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」 (文部科学省)に選ばれる。平成26年度からロボットスクールを金沢工業大学に拠点を移し、大学生による活動へと発展した。

ロボットの研究開発やICTの分野で現在、活動中。 これまでにロボットを十数台研究開発。国立情報学研究所のSIGVerseプロジェクト開発メンバーの1人。 研究者が参加するロボカップジャパンオープン2014@ホームシミュレーションリーグでは日本初高校生で3位入賞。 中国教育部主催のSICTIC(中国国際ICTイノベーション大会)に3年連続Award of Excellence受賞。 ロボットサイバーセキュリティという新分野を開拓した第一人者。

現在は東大生、早稲田生、高校生、社会人、HAL卒業生、スタンフォード大学留学生で構成されたメンバー8人で、 ヘッドマウントディスプレイとドローンを使った新プロジェクトチームで起業準備中。

 

(15年4月8日追記)

出村君が金沢工業大学のハッカソンで優勝したと記事が載りましたのでご紹介します。

北陸新幹線開通後の「そして」を担う、金沢工業大学のイノベーティブな試みとは(ギズモードジャパン4月7日)

 

また、出村君がこの記事を寄稿した感想を書いてくれていますのでこちらもご紹介。

小中学校の情報プログラミング教育は是か非か?

 

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小中高のプログラミング教育は是か非か?やるならばどのようにすればよいか

 

石川県立金沢泉丘高校2年 理数科 出村賢聖

 

「ロボットが人間をを創る(成長させる)」 ロボットを十数台創ってきた17歳の僕の座右の銘です~

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Team IcARus

 

高校生の僕がフルスタックエンジニア(複数の技術を持っていて、マーケティング等他のこともできる)になろうと決意したのは、小学校のころから友達とチームを組んでロボットプログラミングの大会に出ていたのがきっかけです。

小中高の情報教育をロボットプログラミングと置き換えるべきです!

ロボカップジュニアの自作の自律型ロボットのサッカー競技に小学生の時に出会いました。最初はロボットにあまり興味がなかったのですが、京都から来た先生と大学生が主催する「体験スクール&ロボットサッカー大会」は楽しめました。先生に教わる「お勉強」ではなく、「熱血スポーツ」でした。翌年の大会にも参加し、僕は2年間負け続けでしたが、色々な地域から集まった人々が参加する大会にわくわくしました。

中学に入ってから全国大会優勝を目指して科学部でロボットの活動をするようになりました。全国大会ではパーティで名刺交換やパドック(ロボットを調整する場所)での自作ロボットの情報交換が行われるため、全国に友達ができました。ロボカップジュニア以外にもロボットコンテスト・イベントがあり、全国、世界の人々とロボットを通してSNSやブログで交流することができたので大変楽しかったです。

僕が現在代表になったD.K.T.では2011年から地域のロボットスクールで小中高生が世代を超えてロボットで先端技術を楽しみ大変仲良く交流しています。小学校1年生から参加した子もいて、プログラミングを「遊び」だと思って本当にわくわく試行錯誤を楽しんでいます!「勝ち負けではなくいかに多くの事を学んだか」という精神で自由に楽しんでいます。その経験から小中高生にはチームを組んでロボットプログラミングをすることが最高の方法だと確信しています。

 

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写真:DKT小中高生が全企画運営した七尾科学館での初心者ロボットプログラミング体験教室&大会

 

 DKTに集まっているのはロボット、科学、先端技術、コンピュータに興味のある子供達で保護者の理解のある方のみ、しかも男子が主です。そこで、普通の中高生、特に女子高生の声を聞くためにFACEBOOKでアンケートをお願いしました。中高校生93人(女子67人男子25人)が無記名アンケートに協力してくれました!現在の情報教育に満足しているのはたったの15%、しかもその回答者の学校はタブレットなどが配られてICT教育に力をいれているところだったので、ほぼ全員がICT教育は必要と思っているのがわかります。女子は機械やコンピュータに興味がない子が多いため、ロボットやプログラミングを「難しそうだし、興味ない」という感じかと思っていたのですが「ブロックを使ったロボット製作、プログラミング」を取り入れるべきという声が多かったです。

 

◎チームを組んでロボットプログラミングをすることの3つの利点

 

 ①自分から行動できる

  自分のロボットを自分で微調整する必要があるので、自ら行動し、自身で問題を解決する力が身につきます。同じロボット製品でも少し個体差があります。自分のロボットについては先生よりも詳しくなるので、自分で調整するのが一番となります。

現状:情報の授業は、一般的に一方的に先生の言っているITの事柄について聞かされ、手を動かすことも自分で考えることも少ないです。

 

 ②試行錯誤できる

子どもたちが自由に試行錯誤することができます。ロボットにはさまざまな応用や可能性があります。ロボットを動かすためにはプログラミング、調整も多種多様になります。

現状:板書型授業。先生が書いたIT用語を板書する授業が多く、試行錯誤をすることはあまりないです。僕の高校のプログラミングの授業・課題では、生徒は黒板にかかれていることがわからずプログラミング経験者3人のコードをコピペして提出。ほとんどの受験校はこんな感じだと思います。

 

③チームワーク・協力

作ること、プログラミングすること、調整すること等複数のことが必要なためチーム力が重要だとわかります。皆で同じことをするのではなく上手な役割分担が必要です。

 

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写真:DKTの小学校低学年は自ら試行錯誤して楽しんでいる

 

3つの利点の他にも、プログラミングがロボットの動きに適用されるので、プログラミングが可視化されたり、物体の動きを見てどういうアルゴリズムで動いているか洞察力がついたり等色々なメリットがあります。

 

 

◎導入の問題点・課題

 

現在の学校教育では「先生が指導したから生徒ができるようになった」ということが求められるようです。

ところが、新しいことに関しては子供の方が敏感で習得も早いです。そのため 体験スクール&大会でロボカップジュニアの競技を同じ条件下で行うと小学生チームがロボティクス学科の大学生、大学教授に勝つという事が普通におこります。

 

「先生が教えなければならない」

「上級生の方ができなければならない」

 

という現在の学校教育の考えを覆さなければ、

 

「先生、先輩が教えられないのでやめよう」

「小学3年生なのでここまでにしなさい」

 

 となり、子供達のやる気を潰すことになります。

 

 子供達自身が試行錯誤を楽しんだり、自分達だけで考えて問題解決したりする機会が必要です。やっていることを理解せず、結果の勝ち負けで評価することも、子供達のやる気を潰します。

 

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 いかがでしょうか。

最後の「先生が教えなければならない」という意識を変えなければ「こどもたちのやる気をつぶす」、というのは衝撃的でしたね。でも、そういう時代なのです。

 

出村君が素晴らしいのは、自分が学ぶ・開発に打ち込むだけじゃなくて、他のこどもたちにも学びの場を提供しようとしていること。

楽しみながら自律的に、しかもチームとして学ぶ。これは今の学校教育とは対極ですね。学校にそういう機能がないから、自分たちが作って自分たちで学ぶ。実にシンプルです。

 

私が渋谷区で実現したいのは、こういう教育です。ロボットプログラミングだけじゃありません。自律的に試行錯誤を繰り返し、楽しみながら、チームで学んでいく。これができればこどもたちはぐんぐん成長していくし、将来の仕事や生活に大いに役立つでしょう。先生方は、こどもの成長を支えるための環境整備やサポート役に、また進捗管理し評価する役にまわればよいのです。

 

いかがですか? ワクワクしませんか?

この記事が日本の教育に大きな議論をまきおこすことを祈っています。