渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。
お越し下さいましてありがとうございます。
今日は北九州に行ってきました。
若手市議会議員の会の研修です。内容は「稼ぐまちが地方を変える」で、リノベーションまちづくりのはなしです。
講師は木下斉さん。木下さんの関わったまちづくりはいくつか有名ですが、その一つがこの北九州。
いわば本丸とでもいうべき場所で、いつかは訪れてみたいなと願っていました。
非常にいい機会をいただくことができました。
<木下さんについて>
木下斉さん。
高校生のとき早稲田の商店街のまちづくりに関わり、環境イベントで成功を納めました。しかし、国の補助金やモデル事業で崩壊。補助金などは「麻薬」であり、害しかないと痛感なさったそうです。
その後、海外のまち会社の手伝いをし、「まちづくりはアセットマネジメントだ」と開眼。
その手法はこんな形:
- オーナーがお金だしあって地元公立高校の水準向上
- 人気が出る、住人増える
- 10年ほどで大きな成果
つまり、一番利害が関わるのは物件のオーナーであり、彼らがお金をだしてエリアの価値を高めることでまちも賑わいオーナーも儲かります。
他方、日本ではオーナーが投資をせず、公任せの「ただのり」になっていることがおおい。それでは本気にならないでしょう、とのこと。
さらに、行政も施設のオーナーだが低利用低収益物件が多く、財政が悪くなるとお手上げ、という構造もあるようです。
<人口減少の時代の制度を>
人口減少時代に入っているにも関わらず、まちづくりの支援制度は人口拡大時代とさして変わらず。
支援メニューが逆効果になることもおおいようです。
ポイントは、「経済循環の原則」。
簡単にいうと「流入増加→循環促進→流出減少」のサイクルを適切に回していくことです。
そうして利益を出していき、地域の経済活動を厚くしていくのです。
余談ですが、基本的に地元側の民間がやらなくてはならないのはここに理由があります。外から引っ張ってきた資本は外に利益を移転させてしまう。
<都市経営的にやってはいけないのは?>
皮肉なことですが、モデル事業で失敗した事例が共有されていないばかりか、「先進事例」として紹介されてしまうこともあります。
(パターン1)公共施設と民間の商業施設の複合。コンパクトシティの拠点にするつもりが、収益があげられず頓挫。
その原因は、開発手法が古いこと。行政側の仕様で作られてしまったため、市場競争にさらされる民間部分も高コスト体質になってしまい、満足な利益をあげられず撤退が相次ぐ。
さらに、商業用地が市場規模以上に供給されたため、周囲の商業地も煽りをくって賃料下落という。全く悲惨なパターンです。
青森オウガ、津山市など。
(パターン2)低層商業、高層住宅の施設。
過去の開発手法。商業部分、住宅部分ともに補助金がとれるので同水準の建物にくらべ安く作れますが、地方の実情にあっていなければ回りません。
高層住宅の部分は周囲の賃料より安めの場合、「税金で高所得者を優遇する」ことになり、整合性も取れなくなってしまいます。
低層の商業部分が回っていかないことが多く、地域外の資本に頼ることもしばしば。地域経済に本当にプラスになるのか疑問です。
秋田エリアなかいち、甲府ココリ、北九州黒崎駅前再生など。
そもそも、潰すことを公共事業にするべき。というのも維持費が嵩むからです。
建設は補助金などが活用できても、維持は地元の財政力経済力で捻出が必要。これを支払っても黒字になる=経済拡大、歳入拡大に繋がるかどうか、がプロジェクト成否の判断基準となります。
実際、ドイツは低所得者向け住宅は家賃補助の携帯で行い、過剰な投資には繋がらないようにしています。さらに人口が減れば公共施設を破壊。維持できる範囲に絞るようです。
特に、維持費負担が捻出できず公共関連施設のメンテナンスできないと厳しいです。
利用中に天井が落ちる事故なんてあったら…目も当てられませんね。維持費はケチっちゃだめ。
長くなりました。続きは明日。