渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。
3月31日の渋谷区議会本会議では、新宮下公園整備計画が継続審議となりました。ニュースでもこのように取り上げられました。
渋谷区宮下公園:再開発ホテル構想に向けた議案継続審査に（毎日新聞3月26日）
東京都渋谷区がＪＲ渋谷駅前の区立宮下公園を共同で整備するため、三井不動産と基本協定を締結する議案などについて、同区議会都市環境委員会は２６日、全会一致で継続審査と決めた。４月の統一地方選前の審議は３１日の本会議で終わるため、２０１９年のラグビーＷ杯に間に合わせて公園内にホテルを設ける、という構想の実現は厳しい状況となった。
４月末に渋谷区議会議員選挙がありますので、そこで議会の構成が変わります。それまで渋谷区議会はおそらく開かれることはありません。 つまり、「廃案」なんですね。
しかし、都市計画法は、公園内の建物を「地上２階以下、地階なし」と制約しているため、委員が実現の可能性を追及。区は「観光資源や大災害時の帰宅困難者対策としてホテルは欲しい。関係機関と速やかに協議し、合法的にできるようにしたい」との答弁を繰り返し、委員から「あいまいだ」など批判や疑問の声が出ていた。
継続審査について、斎藤竜一委員（自民）は「拙速で審議も不十分。公園整備が必要なことでは全委員が一致しており、区が４月以降に新たな提案をし直せる道を残した」と説明した。区の黒柳貴史土木清掃部長は「否決されたわけではない。国などに問い合わせして問題をクリアし、できるだけ早く改めて審議をお願いしたい」と話した。
「継続審議で実質廃案？ なぜ否決しなかったの？」 そう思う方も多いかもしれませんね。
なので解説しておきます。採決して、否決にしてしまうと、どうなるのか。 それは・・・
各会派が賛成・反対を明確にしなくてはならない
厳密に賛成・反対を言わないため、軌道修正も可能です。どちらかと言うと賛成する方々も、もろ手を挙げて賛同しているわけではありません。地域住民特に町会からは「ちゃんと関与させろ、もっと説明してから決めてくれ」という趣旨の要望書が議会あてに届いています。もちろん区議会議員の中には今回の宮下整備方針を「自分の提案で決まった」というようなビラを作ってアピールしている場合もありますので、そういう方は賛否明らかにできますが、そうでない方々の中にはスッキリ割り切れないということもあったようです。
採決して否決だと、４月上旬にもう一回議会が招集され、区長が再提出する余地が出てくる
完全にテクニカルな話ですが、結論が出てしまえば臨時議会を招集して再度議決を迫るという可能性もあります。日程的にも政治的にも非常に厳しいお話にあるでしょう。なので、議会の意思を明確にするため、あえて採決をしなかった、という側面があるようです。
＜私の考え＞
さて、今回は会派で意思決定する前に継続審議が委員会で提案されたので、民主党の中でもまだ意思決定がなされていません。なので、渋谷区議会議員選挙・渋谷区長選挙を経て、再提出された場合にどういう態度をとるのかはちょっとわからないところがあります。
個人的には、いわゆる民間活力を利用して宮下公園を再整備するのは必要だと思っています。立体公園の1階部分にあたる駐車場が耐震上厳しいですから、渋谷駅すぐの宮下公園の再生は必要でしょう。
その一方で、渋谷区は公園を積極的に作りつつ潰しているので、公園行政の観点からはちょっとどうなんだ、という思いが強いです。上原公園や大山公園に保育施設をつくる計画は、近隣の多くの方々の反発を招きました。公園は色々な使われ方がされており、とても重要なんです。ほんとに3階建ての屋上公園でいいや、とはとても思えないんですよねぇ。
今回の計画は、公園底地を目いっぱい活用させて、その利益の一部を区に還元するという計画です。25億円くらいの整備費用と年6億円程度の地代を三井から頂戴するということです。確かにリノベーション的な要素もありますが、別に三井不動産にやらせなくてもいい。ほんとにこのような公園にする必要があるのなら、それこそ都市整備基金が300億もつみあがっているのですから、堂々と自前で25億円くらい投入してやったっていいわけです。
一般的な公有地なら「区民財産の活用」ということでもろ手を挙げて万々歳なのですが、誰でも使える公園をお金をうむ施設に変質させるのは、今の私の感性にはちょっと合わないかな・・・。
みなさんどう思いますか？
