素直に考えるままに投稿しているので、間違っていたらご指摘ください。
幡ヶ谷2丁目の旧オリンパス跡地で、大規模なマンション建設計画が進んでいます。あわせて、現在の七号通り公園を移設し、周辺道路の拡幅や広場状空地の整備、幡ヶ谷ひだまり公園との一体的な利用などを進める、という内容です。

まちづくり全体の参考:渋谷区資料「幡ヶ谷二丁目のまちづくりについて」
つまり、単に「民間の土地にマンションが建つ」という話ではありません。区有の公園の位置が変わり、道路や歩行者動線、防災・地域活動の空間にも関わる計画です。
そのため私の関心は、この計画によって事業者が得るメリットに対して、地域に返ってくる利益が十分なのか。そして本当に街の改善につながるのか、という点にあります。
建築計画の確認
建築計画概要の参考:建設通信新聞「【渋谷区幡ヶ谷の共住】3.8万㎡ 高さ44m想定、公園は移設/設計施工は長谷工/三井不レジ」
◎敷地10395㎡、用途は準工業、建ぺい率60%、容積率300%。高度地区は30m3種。
◎計画は地下1階地上15階で高さ45m。延床面積38224㎡。430戸の分譲マンション、駐車場103台、バイク43台、駐輪場860台。2026年9月下旬着工、2029年11月完成予定。
私の視点
あらためて自分の視点を書いておくと、
- 提供したボーナス<地域貢献になっているか、過剰な優遇ではないか
- 街の改善にほんとうにつながるか
という点で考えます。
マンションは優遇されているか
まず規模の検証
容積率300%まで認められている地域だから、敷地面積10395㎡×3=31185㎡まで許容される。これは廊下や共用部、駐輪場や地下部分などをのぞいた数字なので、共用部分等を考えると実際の延床面積が38000㎡程度になることは十分あり得ます。
次に高さ
本来は30m制限なので、日影規制を無視すれば10階相当。単純に10階で割った平均床面積は3800㎡となり、敷地に対して40%弱程度と建ぺい率にも余裕があります。接道条件が若干悪く、現状の南北道路は狭いのですが、これだけ余裕があれば道路拡幅または敷地内での後退配置により対応できる可能性が高いです。つまり、結論としては公園を移設しなくても同じくらいの規模感の10階建てマンションなら普通に建つ大きさの土地ということになります。
◎こう考えると、そこまで優遇されているとは言えません。準工業地域・容積率300%の土地であり、特にボーナスがなくても同規模の建築物が建つことが当然に想定されます。
学校の児童生徒の急増や地域の交通安全については、むしろ行政が主体的に努力する話であって、デベロッパーにも協力を求めていくことになります。
つまり論点は
本来30m高度地区である土地に、45m・15階の建物を認めること、さらに公園移設まで伴うことに対して、地域に返ってくる利益が十分なのか、という点です。
地域改善につながっているか
まず高さ
今回の計画では、本来30mの高度地区であるところを、45m・15階まで高くすることになります。事業者にとっては、高層階の住戸を確保でき、建物配置の自由度も上がります。
一方で、建物を高くする代わりに建築面積を抑えられれば、地上部のオープンスペースを広げやすくなります。歩行者空間、広場状空地、緑地、防災スペースなどを確保しやすくなる点では、地域側にもメリットがあります。
横に広い10階のマンションよりも、縦長の15階建てのマンションのほうが、一般的に周囲への影響は軽減されます。
ただし、高さによる圧迫感、日影、風環境、近隣住戸への視線などの影響は当然に検証が必要です。15階建ては超高層ではありませんが、30m制限のある周辺の街並みに対しては十分大きな建物です。高さ緩和を認めるのであれば、それに見合う地域貢献があるかを確認する必要があります。
次に交通への影響
430戸のマンションなので、車、自転車、歩行者、宅配車、タクシーなどの出入りは当然増えます。ただし、駐車場は103台であり、駅近の分譲マンションであることを考えると、自家用車の出入りが周辺道路に大きな負荷を与えるとまでは言えないように思います。

むしろ確認すべきは、自転車と歩行者の動線です。駐輪場は860台あり、ここは丁寧に見る必要があります。区資料では、自転車の出入りを南北に分散し、敷地内では押し歩きを徹底する方針が示されています。また、車両出入口にはチェーンゲート、警告灯、ミラーを設置し、左折IN・左折OUTを徹底するとされています。
周辺道路の拡幅が実現するのであれば、現在より交通安全が改善する可能性もあります。したがって、交通面については「マンションができるから危険」と単純に見るのではなく、現状の狭い道路環境がどこまで改善されるのかを具体的に見るべきだと思います。
次に公園の移設の影響
マンション側にとって、公園移設の大きな意味は、動線計画と敷地利用の自由度にあると思われます。水道道路側に車両出入口や広場状空地を設け、南北の歩行者動線を確保することで、開発計画全体を組み立てやすくなります。
一方、地域側にとっても、水道道路から幡ヶ谷ひだまり公園へのつながりが強化されることには意味があります。区は、七号通り公園の再整備について、歩きやすさ、防災機能、地域活動の場所の確保を方針として掲げています。
奥まったひだまり公園に防災機能があると言っても、現状では見えません。ひとつづきの公園が整備されることで、見通しもよくなり避難等も円滑になる可能性はあります。
ただし、重要なのは、新しい公園が本当に現在より使いやすくなるのかです。現公園は約990㎡ですが、西側半分は園路とトイレが中心で、まとまったオープンスペースとは言いにくい面もあります。面積、有効利用面積、遊具、緑地、広場、日照、見通し、夜間管理、イベント利用のルールによっては今よりもだいぶ改善されることもあり得ますし、逆に悪くなる可能性もあります。

なお、水道道路沿道部分が公園ではなくなるとしても、緑地や広場状空地として実質的に地域に開かれるのであれば、まち全体としては改善につながる可能性があります。逆に、見た目は開かれていても管理上の制約が強ければ、地域貢献としては弱くなります。ここは、区が事業者としっかり交渉し、公共利用の担保を取るべきです。

現段階での私の結論
正直に言うと、当初はかなり冷ややかに見ていました。
公園を移設することでマンションの接道条件や動線が改善され、事業者側に大きなメリットがある一方で、地域側のメリットは限定的なのではないか、という疑問があったからです。
しかし、数字を確認してみると、容積率300%の範囲内でも、現在計画されている延床面積に近い規模のマンションは成立し得る土地です。つまり、「公園移設によって初めて大規模マンションが可能になる、デベロッパーが儲かる」という単純な話ではなさそうです。
むしろ今回の計画は、30m高度地区を45mまで緩和し、建物を高くする代わりに、地上部の空地、道路拡幅、歩行者動線、防災・交流機能を確保しようとする計画だと理解できます。
もちろん、高さの緩和や公園移設を伴う以上、事業者にとってのメリットはあります。高層階の住戸価値や、敷地全体の資産価値向上も多少はあるでしょう。
ただ、それを一方的な優遇と見るべきか、地域環境の改善と民間開発を組み合わせたバランスのいい計画と見るべきかは、丁寧に判断する必要があります。
現時点では、私は「案外よいプランなのかもしれない」と考えています。
ただし、その評価は、次の点が確認されることが前提です。
- 高さ45mを認める制度上の根拠
- 新旧公園の面積と機能の比較
- 広場状空地の公共利用の担保
- 車、自転車、歩行者の安全対策
- 防災機能と地域活動利用の具体性
- 事業者と区の役割分担、費用負担
- 地域住民のみなさんの理解
このあたりを引き続き確認しながら、地域にとって本当にプラスになる計画なのかを見ていきたいと思います。火曜日(6/16)の正午には意見を確定しなければならないのですが、それまでにご意見等お寄せいただければ幸いです。

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