渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。

渋谷区には、「自転車族議員」「スポーツバカ議員」を自称する伊藤たけし議員がいらっしゃるわけですが、私も自転車政策にはなみなみならぬ意欲と意識を持つ議員の一人です。なんたって、最初の選挙では「自転車が走るまちづくり」なんてものも掲げておりました。

残念ながら、3年前に膝のお皿をバッキバキに骨折してしまい、それ以来いまいち膝の踏ん張りに自信がなくなってしまったので自転車に乗らなくなってしまったのですが…

ということで、今では自転車の弊害面も解消するため、できるだけ物理的・心理的に歩車自転車分離を図っていく、と言うのが基本スタンスです。

 

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さて、駐輪場政策は自転車政策の中でも主要な位置づけを占めるテーマです。

地価が高い渋谷区では、放置自転車対策としての駐輪場をバカバカ作るわけにはいきません。また、大規模な駐輪場を作っても、自転車は近隣の方しか駐輪場を利用しない、という特性があります。駅周辺の駐輪場でも、徒歩2分くらい離れるとガクッと利用率が下がる、という話もあります。

なので、課題を解決するために、区や公共の持つ小さな土地を民間に提供し、「協定民営駐輪場」として活用するという取り組みが行われています。

渋谷区の協定民営駐輪場について、2013年に受け入れたインターン学生がなかなか面白い論考をしていたので、公開します。料金設定をもっと細かくすることによって、放置自転車対策が進むというものです。参考になれば。

 

なお、6月の渋谷区議会定例会では、芦沢一明区議会議員が「駐輪場に高校生向けの学割を導入せよ!」という提言をしています。

 

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<自転車駐輪場 協定民営化について>

 

【事業目的】

放置自転車や違法駐車された二輪車は、安全な歩行空間を阻害し、地域の美観を損ね、緊急時活動の阻害となるなど、大きな地域課題とされている。
その改善策の一つとして、民間のノウハウを用いて自転車駐輪場の整備を行うというものがある。

【事業概要】

概要として、区営でやるのではなく、区が土地を確保して民間事業者と協定を結んで運営してもらう仕組みをとっている。
区はあくまで場所を確保するのみで、それ以降の設備投資、整備等は民間の事業者が行う。また、駐輪場の収益の一部は協力金というかたちで区に収めるようになっている。
平成25年度からは笹塚、恵比寿、初台の3つが協定民営化され、整備が行われた。料金は最初の二時間は無料で、その後12時間で100円や、2階を利用すれば14時間で100円などの設定がなされている。

【課題】

 まず一つ目に、定期利用をどうするのかというものがあげられる。従来の定期利用者が定期利用をすることができなくなってしまったため、周辺の定期利用ができる駐輪場へ案内することが重要だと考える。
 また、料金の見直しも重要だと考える。平成22年度の第二回桑原区長の答弁で、「 また、協定民営駐輪場は独立採算で運営しており、他区のような区の持ち出しはございません。そして、料金を引き下げることはその反面として収支の均衡を欠くこととなり、事業からの撤退あるいは本区の負担をもたらすおそれもあり、現段階においては現行の料金水準を維持してまいりたい、このように考えております。」と、発言しているため、現行の料金設定でしばらくはすすんでいくと考えられる。しかし、従来の目的である放置自転車等をなくすためには駐輪場の整備だけが効果をあらわしているわけではない。ここで、川崎市の例を見てみたい。川崎市は12年4月、駐輪場の1日利用料金の上限を民間並みの200円に引き上げた。併せて立地や駐輪階層といった利便性に応じ、各施設の料金を細かく再設定した。川崎市では駅から近い屋根つきの駐輪場は200円、駅から遠い屋根のない駐輪場は50円から30円と差をつけた。結果的に12年の放置台数は約7400台で11年より2割減った。
 つまり、料金を正しく設定することによって利用者に選択肢を与えて利便性をとるのか、料金の安さを取るのかを選択できるようにしたのである。
 たしかに、料金をあげてしまうことで駅前の駐輪場自体の利用者を少なくしてしまうかもしれない(実際に川崎市では駐輪場の利用者は微減)。が、利用者に選択肢を与えるという点では料金の見直しを行うことは重要なのではないだろうか?