子どもの可能性を広げる渋谷へ。教育・健康・安全を前に。
「令和6年度渋谷区当初予算案の概要」(渋谷区サイト)に掲載された主要14事業について、私が前年秋に提出した予算要望との対応関係を整理しました。要するに、私が提案してきた政策が、渋谷区の主要事業にどの程度盛り込まれたのかという話です。
予算は議員一人の力で決まるものではありません。区長部局、所管課、他の議員、国や東京都の制度、社会情勢、区民や関係団体からの要望など、さまざまな要素によって形になります。
一方で、議会で課題を取り上げ、予算要望として具体的な制度を示すことは、政策を前に進めるための重要な仕事です。
今回、令和6年度当初予算案の主要14事業のうち、11事業が私の予算要望と明確に対応、または方向性・考え方が関連する内容となっていました。
割合にすると約79%です。
「提案が何十個実現しました」と数だけを大きく見せるのではなく、どの要望が、どの程度予算事業と対応しているのかを、できるだけ客観的にお示しします。
対応度の見方
A:明確に対応
要望と予算事業の内容の対応関係がかなり明確なもの、私が実現の原動力になったと胸を張って言えるもの
B:方向性が一致
要望してきた政策の方向性と予算事業が一致しているもの
C:関連あり
直接の一致ではないものの、要望の考え方と関連しているもの
対象外
直接の対応関係を確認できないもの
主要14事業と予算要望の対応関係
| 番号 | 予算案の主要事業 | 対応度 | 私の要望との関係 |
|---|---|---|---|
| 1 | 小中学校の給食費補助事業 | A | 重点要望として、長年学校給食費の全額補助と、公会計化・保護者負担の軽減を求めていました。ついに実現。所得制限を設けず、区立小中学校の給食費を全額補助し、保護者から徴収せず学校に直接補助する方式が採用されました。 |
| 2 | 神宮前三丁目障がい者施設 | C | 障がい者施設の拡充、老朽施設への対応、障がい児者が地域で生活できる支援体制の強化を求めてきた方向性と関連しています。 |
| 3 | 障がい児者のための緊急時相談支援等事業 | 対象外 | オンライン申請やチャット、オンライン相談の推進は求めていましたが、今回の緊急時相談支援事業そのものについて、直接対応する要望は確認できませんでした。 |
| 4 | スポーツ・文化活動の地域密着型コミュニティ創出 | A | 渋谷ユナイテッドを活用した部活動支援、課外活動を通じた健全育成、スポーツだけでなく文化活動も充実させることを求めてきました。部活動の地域移行とスポーツ・文化活動の拡充が事業の柱となりました。 |
| 5 | 保健医療分野の充実 | A | 重点要望として、男性へのHPVワクチン接種支援を求めていました。小学6年生から高校1年生相当の男子を対象に、4価HPVワクチン3回分を全額補助する事業として実現しました。 |
| 6 | 迷惑路上飲酒ゼロ・安心安全なまちづくりの推進 | A | 路上での受動喫煙対策、迷惑路上飲酒への対応、ハロウィーン対策の強化を重点的に求めました。予算では、警備、パトロール、迷惑路上飲酒自粛要請などが大規模に実施されます。 |
| 7 | 渋谷区防災アプリのリニューアル | C | オンライン申請や行政手続のデジタル化を全庁的に進めるよう求めていました。マイナンバーカードと連携した避難所受付など、防災分野での手続効率化という点で関連しています。 |
| 8 | 千駄ヶ谷区民複合施設 | 対象外 | 私の予算要望との直接の対応関係は確認できませんでした。 |
| 9 | 大山街道整備事業 | 対象外 | 私の予算要望には直接の記載がありませんでした。 |
| 10 | 玉川上水旧水路緑道再整備事業 | C | 樹木の適切な管理・更新や、緑の確保に必要な財源の確保を求めていました。緑道の再整備や緑の維持管理を進めるという考え方と関連しています。 |
| 11 | 海外都市交流事業 | B | 国際交流事業の拡大や、子どもたちに海外での成長機会を提供することを求めました。予算ではホノルル市、ミラフローレス区との姉妹都市協定を通じ、グローバル教育を含む幅広い交流を進める方向性が示されました。 |
| 12 | デジタル地域通貨事業(ハチペイ) | A | 重点要望として、基金の剰余分などを機動的にハチペイによる区民還元へ活用することを提案しました。予算では、50%プレミアム付きデジタル商品券や区民認証キャンペーンなど、強力な還元策が盛り込まれました。 |
| 13 | ふるさと納税への対応 | A | ネーミングライツやふるさと納税による歳入確保と、区政課題や渋谷を舞台としたコンテンツに連動した寄付の仕組みを求めました。予算では、返礼品の拡充や地域資源を活用したふるさと納税の強化が進められました。 |
| 14 | 未来の学校プロジェクト | A | 最先端の実践を参考にしたICT教育システムの導入を求めました。予算では、シブヤ未来科の全校展開に加え、AIドリル、AI英会話、探究支援ツールなどの先端デジタル教材を活用した新たな学びが進められました。 |
特に重要だと考える反映項目
1.学校給食費の全額補助
令和6年度予算では、区立小中学校に通う児童・生徒の給食費を、所得制限なしで全額補助することになりました。
私は平成23年から予算要望で毎年学校給食費の全額補助と、公会計化・保護者負担の軽減を重点的に求めました。13年たってようやく実現したことになります。
単に無償にするだけではありません。給食費単価を前年度比135%に引き上げ、食材やメニューも充実されます。
物価高騰の中で子育て世帯の負担を減らしながら、子どもたちの食事の質も守る重要な政策です。
今後は、食材価格の変化や、給食の質、アレルギー対応、子どもたちの満足度などを確認していきます。
2.男性へのHPVワクチン全額助成
男性へのHPVワクチン接種費用の全額助成が始まりました。令和5年から提案し、2年目にして実現しました。
対象は、小学校6年生から高校1年生相当の男子です。区内の協力医療機関で、4価HPVワクチン3回分の費用が全額補助されます。
HPVは、子宮頸がんだけでなく、男性にも関係する複数のがんや疾患の原因となりますから、女性だけに感染予防の負担を負わせるのではなく、男女ともに接種機会を確保することが重要です。
私は予算要望で、男性接種の支援を重点的に求めてきました。要望がほぼそのまま制度化された、対応関係の明確な事業です。
今後は、制度をつくるだけでなく、対象者や保護者に正確な情報が届いているか、接種を希望する人が利用しやすい制度になっているかを確認していきます。
3.スポーツ・文化活動と部活動の地域展開
渋谷ユナイテッドを中心に、学校の枠を超えたスポーツ・文化活動と、中学校部活動の地域移行が進められます。
令和6年度は、部活動の地域移行モデル校が、代々木中学校、原宿外苑中学校に加え、広尾中学校、松濤中学校へ拡大されます。
私は以前から、部活動改革を単なる教員の負担軽減で終わらせず、子どもたちが多様なスポーツや文化活動に参加できる仕組みにするよう求めてきました。特に重要なのは、運動部だけでなく、文化系活動も充実させることです。
所属する学校や、学校ごとの部員数に左右されず、子どもが興味のある活動に参加できる環境をつくる必要があります。
今後は、参加費、活動場所、指導者の質、移動負担、文化系活動の選択肢などを確認していきます。
4.迷惑路上飲酒と安心安全なまちづくり
ハロウィーンや年末年始の渋谷駅周辺を中心に、警備やパトロール、迷惑路上飲酒の自粛要請などが強化されます。
私は、路上飲酒だけでなく、受動喫煙、ポイ捨て、騒音、客引きなどを含め、公共空間を安心して利用できる環境づくりを求めてきました。
繁華街のにぎわいと、住民の生活環境を両立させるためには、イベント時だけの対策では不十分です。
年間を通じたルールづくり、実効性のある執行体制、事業者や来街者への周知が必要です。
警備費を増やしただけで終わらず、迷惑行為が実際に減ったのか、住宅地への影響が改善したのかまで検証していきます。
5.ハチペイによる区民還元
令和6年度は、ハチペイで50%のプレミアムが付くデジタル商品券や、区民認証キャンペーンなどが予定されています。
私は、財政調整基金などの剰余分について、必要以上に積み上げるだけでなく、教育、低所得者支援、ハチペイを活用した区民還元などに機動的に使うよう求めてきました。
物価高騰への支援と、区内店舗の利用促進を同時に進められる点で、デジタル地域通貨には一定の意義があります。
一方で、スマートフォンを利用できない人、ハチペイ加盟店が少ない地域、キャンペーンを利用できる人とできない人の格差には注意が必要です。
還元額の大きさだけでなく、誰に届いたのか、区内消費をどの程度増やしたのかを検証していきます。
6.未来の学校プロジェクトとシブヤ未来科
令和6年度から、探究学習「シブヤ未来科」が全区立小中学校で本格的に始まりました。
あわせて、AIドリル、AI英会話、探究支援ツールなどの先端デジタル教材を導入し、子どもが主体的に学ぶ環境を整備します。
私は予算要望で、タブレット端末の更新に当たり、最先端の実践を参考にしたICT教育システムを導入することを求めました。
端末を配るだけでは、教育は改善しません。何を学ぶのか、教員がどのように活用するのか、子どもの考える力や表現する力につながっているのかが重要です。
ICTや生成AIを導入したという事実だけで評価せず、学習効果、教員負担、個人情報保護、利用格差などを継続して確認していきます。
7.海外都市との交流
渋谷区は、ホノルル市と、ペルー共和国リマ市のミラフローレス区との姉妹都市協定を進めます。
観光、グローバル教育、スポーツ、スタートアップ、環境など、幅広い分野で交流する計画です。
私は、国際交流事業をさらに広げ、子どもたちにも海外で学び成長する機会を提供するよう求めてきました。
今回の予算事業の中心は姉妹都市協定であり、児童・生徒の海外派遣が具体的に制度化されたわけではありませんが、協定を結ぶこと自体を目的にせず、交流や学びの機会が生まれたのかを見ていく必要があります。
直接の対応が確認できなかった事業
主要14事業のうち、次の3事業については、私の予算要望との直接または具体的な対応関係を確認できませんでした。
- 障がい児者のための緊急時相談支援等事業
- 千駄ヶ谷区民複合施設
- 大山街道整備事業
障がい児者の緊急時相談支援は非常に重要だと思っています。
予算化はゴールではありません
予算案に事業が盛り込まれたことは、一つの前進です。
しかし、制度ができただけでは、区民生活が改善したとはいえません。
- 制度が利用しやすく設計されているか
- 必要な人に情報が届いているか
- 利用できない人や取り残される人がいないか
- 学校や福祉現場の負担が増えていないか
- 予算に見合った効果が出ているか
- 問題があった場合に改善できる仕組みがあるか
令和6年度予算では、学校給食費の全額補助、男性HPVワクチン助成、スポーツ・文化活動、路上飲酒対策、ハチペイ、探究学習など、多くの提案が具体的な事業になりました。
今後も、実施状況と効果を確認しながら、教育・健康・安全を中心に、子どもと将来世代のための政策を進めていきます。
関連資料
- 渋谷区「令和6年度当初予算案概要」
- 鈴木けんぽう「令和6年度予算要望全文」



