渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。
今回、「オリンパス本社跡地再開発について、住民への説明の継続と住民合意の尊重を求める請願」について、私は反対の立場から討論しました。
ただし、これは住民説明や住民合意を軽視するという意味ではありません。むしろ、住民の皆さんの不安や要望を区と事業者がしっかり汲み取り、粘り強く調整するべきだ、という立場です。
最初はかなり冷ややかに見ていました
正直に言うと、私は当初、この計画をかなり冷ややかに見ていました。
幡ヶ谷二丁目の旧オリンパス本社跡地に、430戸、15階建ての大規模マンションが建つ。さらに、現在の七号通り公園を移設し、道路拡幅や広場状空地の整備、幡ヶ谷ひだまり公園との一体的利用を進める、という計画です。
一見すると、公園を動かすことで接道条件や動線が改善され、事業者側に大きなメリットがある一方で、地域側のメリットは限定的なのではないか、と感じました。
「公園を移設してまで、デベロッパーに有利な条件を与える必要があるのか」
これが最初の問題意識でした。
調べてみると、単純な話ではありませんでした
そこで、敷地条件や建築可能な規模を確認してみました。
旧オリンパス跡地は、敷地面積が約一万平方メートルあります。用途地域は準工業地域、容積率は三百パーセントです。単純計算では、容積率算定上の床面積として約三万平方メートル規模の建築が可能です。
共同住宅の場合、共用廊下、駐輪場、地下部分など、容積率算定上の扱いが異なる部分もあります。そのため、現在計画されている延床面積三万八千平方メートル程度のマンションは、容積率三百パーセントの範囲でも十分に成立し得る規模だと考えられます。
つまり、公園を移設しなければ大規模マンションが建たない、という単純な話ではなさそうです。
また、接道条件や高さ制限についても確認していくと、現在計画されているものに近い規模のマンションが建つ可能性はあります。
そうであるならば、論点は「マンションを建てさせるかどうか」ではありません。重要なのは、建設されるマンションを、地域にとって少しでも良いまちづくりにつなげられるかどうかです。
この辺の検討は以前のブログに書きましたのでよかったらご覧ください。
公園移設にもメリットはあり得ます
七号通り公園の移設についても、移設しないでマンションが建設された場合と比較すれば、地域課題の改善につながる可能性があります。
たとえば交通安全です。
西側の狭い道路に車両出口をつくって水道道路へ向かわせるより、水道道路側に見通しのよい出入口を設け、左折入庫・左折出庫を徹底する方が、安全性を高められる可能性があります。
また、道路拡幅、歩行者動線の改善、防災機能の強化、幡ヶ谷ひだまり公園との一体的利用なども、地域にとって意味のある改善になり得ます。
そのため、私は、公園の移設そのものを現時点で全否定するのではなく、移設も含めた選択肢の中で、地域にとってより良い形を検討していくべきだと考えました。
一方で、住民の不安は軽く見てはいけない
ただし、ここが一番大事なところです。
「地域にとってより良い形」とは何なのか。これは行政や事業者が上から決める話ではありません。
住民の皆さんはいろいろな思いや不安を抱えています。
お祭りの神酒所はどうなるのか。ラジオ体操の場所はどうなるのか。ひだまり公園と新しい七号通り公園の間の道路で事故が起きないか。水道道路からひだまり公園まで動線がつながることで、深夜に人が集まり騒音などが生じないか。ごみの放置が増えないか。公開空地は将来にわたって本当に地域に開かれた空間として使えるのか。
こうした不安は、外から見ると小さな話に見えてしまうことがあります。
たとえば、私のような他地域の者から見ると、「神酒所は移動できるのではないか」と軽く考えてしまいがちです。しかし、実際にトラブルが起こらないよう神経をすり減らして地域活動を運営している方々にとっては、今までうまくいっていたものを大きく変えることは、かなりの難題であるはずです。
実際、自主管理施設や倉庫などが隣にあり、そこを拠点に隣の7号通り公園も一体的に使っているようで、確かに移動は受け入れがたいだろうな、と推測されます。
こうした実生活から生まれる疑問や懸念は、住民の皆さんにとって、「まちがよくなる」という広域的・抽象的な言葉よりも、はるかに重いものだと思います。

反対討論で申し上げたこと
本会議では、以上の考え方から、請願には反対しました。
理由は、七号通り公園移設の中止・白紙撤回を求める部分には、議員として賛同できなかったからです。
一方で、住民の皆さんの意思を粘り強く汲み取ること、区が住民の立場に寄り添いながら事業者と調整することは、強く求めました。
討論の要旨は次のとおりです。
オリンパス本社跡地再開発について、住民への説明の継続と住民合意の尊重を求める請願につきまして、反対の立場から討論をいたします。
反対と申しましても、七号通り公園移設の中止・白紙撤回の部分について賛同できない一方で、区と事業者に対しては住民要望の真意をできる限り汲み取ることを強く求めるという趣旨です。
旧オリンパス跡地は、敷地面積が約一万平方メートルあり、用途地域は準工業地域、容積率は三百パーセントです。また、接道条件や高さ制限の条件を踏まえると、現在計画されているものに近い規模のマンションが建つ可能性は十分にあります。
そうであるならば、重要なのは、マンション建設を地域にとって少しでも良いまちづくりにつなげることです。
公園の移設については、移設しないでマンションが建設された場合と比較すれば、地域課題の改善につながる可能性があります。
また、交通安全の観点からも、西側の狭い道路に車両出口をつくって水道道路へ向かわせるより、水道道路側に見通しのよい出入口を設け、左折入庫・左折出庫を徹底する方が、安全性を高められる可能性があります。
改善の可能性がある以上、公園の移設そのものを現時点で全否定するのではなく、移設も含めた選択肢の中で、地域にとってより良い形を検討していくべきだと考えます。
そのうえで、「地域にとってより良い形」とは何なのかが、極めて重要な論点になります。
住民はいろいろな思いや不安を抱えており、それを汲み取ったうえで、行政が事業者と対峙して、住民側に立って調整に全力を尽くすことを求めているのだと思います。
こうした実生活から生まれる様々な疑問や懸念は、住民にとっては「まちがよくなる」という広域的・抽象的な言葉よりも、はるかに重いものであることは想像に難くありません。
改めて所管には、これらの疑問や課題に対して真摯に対応し、住民の立場に寄り添いながら、粘り強く事業者と調整していただくよう強く求めます。
以上、住民の意思を粘り強く汲み取ることを求めつつ、本請願のうち七号通り公園移設の中止・白紙撤回を求める部分には議員として賛同できないため、本請願には反対いたします。
今後確認すべきこと
今回の計画については、現時点では「よい形にできる可能性がある」と考えています。
ただし、それはあくまで、区と事業者が住民の不安に真摯に向き合うことが前提です。時間がない中でどこまでできるかは未知数ですが、区に頑張ってもらうしかありません。
まちづくりは、図面の上では良く見えても、実際に暮らす人にとって使いにくければ意味がありません。
大規模な民間開発を、地域の不安を解消しながら、さらに生活環境の改善につなげられるかどうか。ここは区の腕の見せどころだと思います。
請願には反対いたしましたが、地域にとって本当にプラスになる計画となるよう、側面から支援してまいります。
参考:請願書本文

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