長寿命化計画のインフォグラフィック




渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。
本日開催された文教委員会にて、「渋谷区学校施設長寿命化計画」の改定案が示されました。




この計画は、区立の小中学校・幼稚園の建替えや改修を今後30年にわたってどう進めるかを定める、いわば「学校インフラの長期構想」です。




学校の建て替えロードマップが組み込まれた結果、今回の改定案で明らかになった数字と現実は、なかなか重いものになりました。




1. 計画の核:2024年をピークに減少するこどもたちと「100年活用」




財政面の変化




今回の改定の大きなポイントは、最新の人口動態と社会情勢の反映です。




  • 少子化の加速:これまでは2025年が児童・生徒数のピークと予測されていましたが、実際には2024年がピークとなり、すでに減少局面に入っています。10年後には、中学校8校すべてを含む12校が「小規模校(12学級未満)」になる見通しです。
  • 「100年」使い続ける学校:今後建替える施設については、高品質な施工と適切な維持管理を前提に、目標使用年数を従来の80年から100年へと延伸します。
  • 明らかになる長期予算:これまで不明だった長期の平均整備費用は、年平均で約123.4億円と試算されました。建て替えラッシュと建築費高騰の影響で、過去10年間の実績である年平均19.4億円の約6.4倍という金額になります。
  • 建築費2800億円弱、改修500億円強、維持補修に100億円弱、仮設校舎161億円、他160億円で総額3700億円超。今後は、この数字をもとに都市整備基金(現在約1000億円)の規模も検証されていくことになります。



40年間の総額(試算)




居住環境の改善




学校は子供たちが一日の大半を過ごす「生活の場」であるため、単なる老朽化対策を超えた、安全・安心かつ快適な環境づくりを追求します 。




  • 断熱・ZEB化による快適性の向上: 今回の計画改定では「環境性能の向上」が新たに盛り込まれました。脱炭素化や太陽光発電などの創エネルギー、木材利用など。
  • ファシリティマネジメントシステム(FM)の導入:
    蓄積された最新の建物情報を活用することで、児童・生徒数の増減や地域の変化に応じた柔軟な対応(適正配置、学区の見直し、増築対応、諸室の見直しなど)につなげるマネジメント体制を構築。将来的な修繕改修コストの縮減を目指します。
  • 誰にでもやさしいユニバーサルデザイン: 障がいの有無に関わらず、誰もがストレスなく過ごせるよう、エレベーターやスロープの整備、トイレの洋式化・ドライ化といったバリアフリー化を徹底します。



学習環境の充実と地域開放は堅持




新しい時代の教育に対応する機能向上と、地域の拠点としての役割を両立させます 。




  • 「ラーニング・コモンズ」の整備: 従来の図書室を、プレゼンやディスカッションなど、主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)に対応した多目的な空間へと刷新します。また、将来の少子化や教育内容の変化に合わせて壁を動かせるような、可変性(フレキシビリティ)のある設計が強調されています
  • 地域開放とセキュリティの両立: 特別教室などを地域に開放し、学校を「コミュニティハブ」として活用します。あわせて、生徒の安全を守るための動線分離(セキュリティ計画)を確実に実施させます。



2. 委員会で議論になったポイント




他の委員からはコストと少子化の現実について指摘がありました。




  • 建設コストの異常な高騰:わずか5年ほど前には平米単価40万円と想定されていた建替え費用が、現在は110万円と、3倍近くに跳ね上がっています。この物価高騰にどう立ち向かうのか精緻な検証を求める声が上がりました。
  • 適正規模・配置の再検討:こどもが減り、多くの学校が小規模化する中で、現行のすべての学校を維持・建替える前提でよいのか、学校再編の議論との連動を注視すべきとの意見が出されました。



3. 私の意見とこだわり:教育格差を広げないために




私は今回の質疑において、特に以下の2点を強く区側に訴えました。




① 建て替え計画のさらなる「先送り」は断固拒否




工事費の高騰だけでなく、人手不足や働き方改革を理由にロードマップが改定され、大幅に工期が延長されました。富谷小学校など多くの学校で建替え着手が遅れるなどの深刻な影響が出ています。




これ以上のスケジュールの延伸、つまり先送りはあり得ないと思っています。新しい校舎で学べる子と、古い環境に取り残される子の「教育環境の格差」は深刻になります。




「財政が厳しいから」と子供たちの環境を後回しにすることは議員として、特に教育改革に強い意欲を持つものとして到底受け入れられません。




①´仮設校舎の改善




教育環境の格差という話の延長で、仮設校舎の改善に関して審議の中で指摘・要望しました。




学校によっては、他校が新校舎に異動した後の空き校舎を仮庁舎に転用するというところもあります。しかし、これは自校から離れた場所に通わなくてはならないという負荷がかかり、それなのに大幅な施設改善は望めないという二重苦にさいなまれます。




これはかわいそうだ、ということで、改めて改善を要望しました。できれば仮設校舎を増やす方向で解決してほしいですね。




② 民間活力(PPP/PFI)の導入は慎重に




区はコスト削減のために、民間資金の活用、いわゆるPPP/PFIを検討していると明言されてます。




私も従来は強く推進してきたところです。
しかし、神南小学校の1年着工遅れの事例のように、市況の変化によっては計画が大きく左右されるリスクがあります。




学校は、避難所であり、地域コミュニティの核でもある、公共性の極めて高い施設です。よほどの好条件でない限り慎重に検討すべきと考えを改めました。









渋谷区の未来を担うこどもたちのために、後輩たちのために、100年先まで見すえた学校づくりを賢く進めなければなりません。




しかし、百年先なんて、人口も生活も全く想像できないですね…