渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。




次期学習指導要領の改訂作業が進んでいますが、たまに変な風にニュースに取り上げられることがあります。




文部科学省は8日、次期学習指導要領について議論する中央教育審議会の特別部会で、小中学校で情報・技術系の授業を増やす案を示した。

(中略)
全体の授業時間は増やさず、他の教科のコマ数を少しずつ削って時間を捻出する。

日経新聞:中学校の情報・技術系授業、最大週2コマに倍増 他教科から時間捻出




これを受けて、ネット上で「算数や国語を減らして生成AIが使えるようになるわけない」など様々な議論が巻き起こっています。




しかし、ほとんどの議論は一次情報を全く読んでいないで、空想の敵と戦っているみたいで痛々しい。メディアリテラシーは改めて重要だと痛感させられました。




ということで、情報・技術WGでいま議論されている内容を整理します。資料はこちらをご覧ください。




時間がない人のために要約




小学校に「情報の領域(仮称)」、中学校に「情報・技術科(仮称)」を設ける方向で議論が進んでいる。
各教科に分散している情報教育を集約し、重複や授業トラブルを減らしつつ系統立てた学びにしていく。




現在の課題




現在の情報教育の課題がいろいろ述べられています。私が重要と思うのは以下の4つです。




第一に、教え方と指導体制です。先生の説明を聞く座学が中心になりやすく、実際に情報技術を使う経験が不足しています。専門の免許を持たない先生が教えている場合もあり、指導体制も不十分です。




第二に、各教科への負担です。タイピングは国語、プログラミングは算数など、情報に関する内容が複数の教科に分散しています。さらに、端末やアプリのトラブル対応で、本来の教科学習の時間が圧迫されることも多いです。




トラブルで授業が止まるの、特に最初はあるあるですよね




第三に、小中高のカリキュラムです。小学校には情報を専門的に扱う明確な枠組みがなく、学校や地域による差があります。中学校や高校でも、コンピュータやネットワークの仕組み、AIなどを十分に扱えていません。




第四に、将来の人材不足です。2040年代には、AIやロボットを活用できる専門人材が、数百万人単位で不足すると予測されています。




新しい教科・領域の提案




こうした課題を受け、以下の新しい教科・領域が提案されています。




  • 小学校では総合学習の時間に「情報の領域(仮称)」
  • 中学校では「情報・技術科(仮称)」



狙いは、タイピング、情報検索、各種作成、コンピュータの基礎、プログラミング、情報モラル、AIなどを、ばらばらに教えるのではなく、一定の体系に沿って学べるようにすることです。




授業時間はどうつくるのか




授業時間をどうやって確保するのか




前提として、年間の標準総授業時数は今より増やさない方針です。




そのため、これまで国語や算数などで別々に扱っていたタイピングや資料作成などを情報の時間に集約し、重複を減らすことが検討されています。




また、情報の時間で端末の基本操作を学んでおけば、他教科の授業中に操作説明やトラブル対応に取られる時間を減らせます。




さらに、学校や地域、子供たちの状況に応じて、授業時間を柔軟に調整する仕組みも検討されています。これは情報だけの議論ではなく、今回の改定で全教科にまたがる議論として示されている「 調整授業時数制度 」と新しい制度です。




教員と設備の整備も必要




新しい教科や領域を設けるだけでは十分ではありません。




先生が迷わず教えられるように、授業動画や指導計画などをまとめた教材パッケージを全国に提供することが必要です。




専門の免許を持つ先生を増やすための講習や、ICTに詳しい外部人材、学校を支援するスタッフの配置も求められます。




1人1台端末を安定して使える環境に加え、PC教室や3Dプリンタなど、実際に試しながら学べる設備への支援も重要です。




他の教科を疎かにするものではない




今回の議論は、単純に国語や算数などの授業を減らして、情報教育の時間を確保するという話ではありません。




各教科に分散している情報教育を整理し、重複や無駄を減らしながら、小学校から高校まで体系的に学べるようにする議論です。




もちろん、実際にどの教科の時数をどう調整するのかは、今後の重要な論点です。「算国を減らすとは何事だ」と早合点するのではなく、現場への実装まで含めて丁寧に確認していく必要があることはいうまでもありません。