
こんにちは、渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。
本日は、千葉大学法医学教育研究センターにお邪魔し、日本の児童虐待対策の切り札と言われる「CDR(チャイルド・デス・レビュー)」と、生きている子どもを守る「臨床法医学」の試みについて視察してまいりました。
「法医学」はなじみが薄い言葉ですね。亡くなった方の原因を調べる学問のことですが、実は今、「これからを生きる子どもたちの命を守る医学」として、その役割が劇的に進化しています。
子どもの事故予防地方議員連盟の視察です。今はCDRを中心に研究を進めており、毎回非常に勉強になります。
なお、本記事は生成AIを活用しています。
目次
「防げた死」を検証するCDR(チャイルド・デス・レビュー)
皆さんは、日本で子どもが亡くなった際どうなるかご存じですか?
実は、日本では「事件性がない」と警察が判断すると、詳しい解剖が行われず、事故や虐待があっても見抜けず真実が闇に葬られてしまうケースが少なくありません。
そこで注目されているのがCDRです。 犯罪捜査とは切り離し、亡くなったお子さんの情報を、医療機関、警察、児童相談所、学校などが持ち寄り、「本当の死因は何か」「どうすればその死を防げたのか」を多角的に検証する取り組みです。
千葉大学の法医学教室は、各機関の間に立ちはだかる情報の壁を打ち破り、再発防止策を具体的な政策、事故予防や虐待の早期発見などへと繋げる日本屈指の取組であるCCDR研究会(千葉チャイルドデスレビュー)を進めておられます。
特に気になったのは、「お医者さんの判断した死因」と「解剖で判明した実際の死因」がおよそ4割も違うこと。これだけ食い違いがあるとなると、虐待や事故の見逃しも少なくないだろうことが想像に難くありません。
難しいのは、保護者の感情や宗教観・死生観の問題。なかなか議論が難しいところではありますが、「防げた死」を少なくするためにも進んでほしいところです。

「二重条痕」が語る、小さな命のSOS
第2部では、千葉大学医学部の法医学教室の活動についてを児童虐待と「臨床法医学」、つまり「生きている被害者」を診る法医学の二つの観点から伺いました。
具体的な説明は避けますが、身体的な虐待や宗教によるネグレクト等が見過ごされ、CDR活動の中で実際の死因がわかるという事例が紹介されました。
また、臨床法医学に関しては、生体を対象とする臨床医と遺体を対象とする法医学の間を埋めるものとして現状を説明されました。臨床医は治療優先であるため損傷評価(このけがは事故か、それとも虐待によるものか、といった評価)などは苦手です。そこを法医学の知見を活かして補完し抵抗というものです。
特に印象的だったのが、虐待の証拠となる「二重条痕(にじゅうじょうこん)」のお話です。 棒状のもので強く叩かれた際、皮膚には独特の「2本の線とその間が白く抜ける」あざが残るそうです。
また、 TEN-4-FACES といって、虐待の可能性の高い部位のケガがあるそうです。(注)
こうした医学的な知見を、保育士さんや教職員、そして我々行政が正しく知っていれば、取り返しのつかない事態になる前に「SOS」に気づくことができます。

法医学教育研究センター見学
研修の後半は、実際に鑑定が行われる法医学教育研究センターの内部を視察しました。
CTから始まる
全ての解剖はCTスキャンから始まります。遺体にメスを入れる前に全身をスキャンすることで、外からは分からない骨折、脳出血等を瞬時に把握します。
ここで非常に重要だと感じたのは、「機器の有無が、真実の解明を左右する」という厳しい現実です。千葉大でもここ最近導入したようで、いまだにCTのない県もあるようです。
また、千葉大学では、東京大学などとネットワークを結び、撮影した画像や資料等をオンラインで共有しているそうです。
さらに、毒物などの検出機器などの設備も見学しました。こうした設備がない地域・足りない地域では、検査が行えず見落とされてしまう死因があるかもしれません。
検死の費用に差が出てくるという生々しいお話も伺い、自治体の財政力や拠点の有無が解剖の精度に直結している現実を突きつけられました。

現場に漂う「使命感」と、深刻な「人」の不足
実際に鑑定が行われる現場は、清廉な緊張感に包まれていました。しかし、そこで伺ったお話は非常に切実なものでした。
それは、「圧倒的な法医解剖医不足」です。一人前の法医学者になるには、膨大な症例経験と高度な専門知識が必要ですが、法医学者はなり手が少なく、また解剖の件数も限られることから、育成の困難が付きまといます。
なかなか厳しい現状をリアルに感じた視察でした。
どう活かすか:私の視点
東京都には「監察医制度」があり、死因究明のインフラはある程度は整っています。しかし、その貴重なデータが、地域の保育現場や福祉の現場に十分にフィードバックされているとは言い切れません。
今回の視察を通して、仲間とともに以下の3点を反映させていきたいと強く感じました。
- 多機関連携の深化: 児相、警察、病院が「書類」ではなく「医学的エビデンス」で繋がる仕組み。
- 現場への知識提供: 保育士さんや先生が「迷わず通告できる」よう、法医学の知見を用いた損傷評価のトレーニング機会を創出すること。
- ICTの活用: 虐待が疑われるあざなどを、専門家に即座に遠隔相談できるネットワークの構築。
虐待死・事故死ともに見逃しを減らし対策を強化すれば、状況は改善していくはずです。こどもたちのためにも頑張りたいですね。
なお、今日見聞きした内容が夢に出てきて午前2時ごろ起きてしまい、そのままブログを作成しています…丑三つ時だから余計辛かった(涙)
注釈:TEN-4-FACES(テン・フォー・フェイセス)とは
乳幼児の虐待を早期に発見するために、アメリカのメアリー・クライド・ピアース医師らが提唱した医学的な判定ルールです。「この場所、この年齢のあざは不自然である」というポイントを覚えやすい名称にまとめています。
【判定のポイント】
- TEN(テン): Trunk(体幹:お腹・背中)、Ear(耳)、Neck(首)
- 4(フォー): 4歳未満の子どもに、上記の場所にあざがある場合
- FACES(フェイセス): Frenulum(上唇小帯:唇の裏)、Angle of jaw(下顎角:エラ)、Cheeks(頬)、Eyelids(まぶた)、Sclera(強膜:白目)
- 追加の「4」: 生後4ヶ月未満の赤ちゃんにある、体の「あらゆる場所」のあざ(自力で動けない時期のあざは極めて不自然なため)

【なぜこの場所が重要なのか?】
子どもが転んだりぶつけたりしてできる「偶発的なあざ」は、おでこ、肘、膝などの「骨が突出している場所」に集中します。
一方で、TEN-4-FACESで指定されている場所は、「転んだだけではまずぶつけない、柔らかい場所」です。ここにアザがある場合は、強く掴まれたり、叩かれたりといった「外からの力」が加わった可能性が高いと判断します。



