2003年06月06日

平成15年第4回定例会一般質問の内容を公開致します(全文については渋谷区議会のサイトにてご確認ください。

ご意見などございましたら、メールにてお寄せください。


【行政評価制度について】
Q)(鈴木けんぽう)
有限の経営資源(人、物、金、時間)を効率的に配分して最高の結果を出していくのはビジネスにおいても行政においても共通に必要とされる視点である。どれだけの経営資源を投入して、どれだけのサービスを提供できたかという二つの指標を把握するため行政評価制度が必要となる。
どのように区政における費用対効果をとらえていくのか。行政評価についての考えは。

A)(区長)
有限の資源を効果的に、効率的に使っていくべきだという考え方に賛意を示したい。
費用対効果は、数量型基準によるが、同一事業でも考え方によって評価の取り扱いが大きく異なり、優先順位型基準に従って評価をしなければならないこともある。
したがって、行政評価の仕組みでは、数量的評価の可能な事業を、必要に応じて優先順位型の基準に従って、内部評価ないしは第三者評価を加えて、これを予算編成作業に反映することになるであろうと考えている。
 しかし、費用をいかに小さくしても、あるいは効率をよくしても、それだけでは行政の質の向上には結びつかない。施策は不断の見直しと創意工夫が必要であり、場合によっては住民の満足度を確認することが質的な向上に結びつく。よって、行政評価制度の手法はすぐれたものがあるが、すべてをこの制度に依存するということは危険があり、普段から職員が問題意識を持ち自己研さんを積み重ねることこそ最も必要なことだと考える。その中でケース・バイ・ケースで行政評価の制度による検証すればいいのではないか。


【情報ネットワーク、セキュリティについて】
Q)(鈴木けんぽう)
汎用機系は時代後れになりつつある。更新すべきではないか。また、業務手順などを精査、洗練して無駄を省いていく、いわゆる「業務再構築」を更新の際に行うべきではないか。

A)(区長)
導入後十年を経て、事務処理システムの柔軟性、情報の活用性、セキュリティ、運用経費など、問題が生じている。汎用機システムからオープン系のシステムへの移行をすることが妥当である。
移行を契機として、既存の事務の進め方を見直し、事務の標準化、データ統合による情報の活用などを通して行政事務の効率化、迅速化を進める。

Q)(鈴木けんぽう)
住基ネットの導入が決定されて以来、ネットワーク上のセキュリティシステムについては、研究・議論が進んでいる。インターネットに代表される情報ネットワークでは、本当に大事なのは一〇〇%侵入できない状態を求めることではなくて、常に一〇〇%を求めて不断の努力を続けていくということである。防犯など、他の面でもセキュリティは不断の努力によって質を維持・向上させなくてはならない。当たり前だと思わずに、常に意識を高い水準に押し上げ、そして保っていく不断の努力が必要である。
渋谷区では、情報セキュリティの意識は、必ずしも高くない。また、防犯などの面でも、深夜の区役所駐車場などにおいて、万全の体制であるとは言えない。どのように考えるか。

A)(区長)
職員に対し個人情報の保護の意識を徹底する。公共駐車場については最近は不審者の横行や車両荒らしはないと聞いている。引き続き警備に万全を期する。

Q)(鈴木けんぽう)
情報セキュリティの分野において昨今注目されているISMSなどの監査・認証制度がある。優先順位を決めて、各々の項目について目標を定めて、資金や人材、時間などの限りある資源を、その目標に基づいて統一的に配分しようという考え方が基本にある。そこで、目標であるセキュリティポリシーを定め、運用し、一定期間ごとに評価をして、改めて目標を立て直そうというのがISMSの一連の流れである。
区民の安心のためにISMSなどの取得を行ったらどうか。

A)(区長)
 ISMS(情報セキュリティ・マネジメント・システム)は重要な情報を安全、確実に利用するための仕組みやルールである。リスクを把握し、その評価と対策を決めるということを論理体系化したものだと理解している。提言を受け、まずはISMSに従った情報セキュリティポリシーの策定に着手したい。その上でISMSの取得を考えたい。

【庁舎及び公会堂について】
Q)(鈴木けんぽう)
区役所に出入りをするようになって最初に感じたのは、携帯電話がつながらない不便さであった。昭和四十年に完成した渋谷区の総合庁舎及び公会堂は、建設当初では想定できなかった問題点が発生している。
公会堂については、残響時間や音響特性などのソフト面、いすの大きさやトイレ設備、内外装などのハード面ともに様々な問題がある。公会堂を再生させ、新たな都市生活の基盤とするべきである。また、庁舎についても場当たり的な改修では限界が来ている。
地図を見ていると、総合庁舎、分庁舎、公会堂、税務署などの出張所、そして神南小学校と公立施設が連なっている。諸施設の協力を得た上で、機能と憩い、学びや楽しみを共有できる総合的な施設を展開することができる可能性がある。
 未来の渋谷を考える上で、職員の働きやすい環境づくり、区民の考える公共空間づくり、教育・文化の拠点としての総合的な施設をこの地域につくることには非常に大きな意義がある。区庁舎を中心とする総合的なビジョンについてどう考えるのか。

A)(区長)
庁舎建て替えには数百億円の経費を要する。したがって、福祉、教育、中小企業、環境、まちづくり、さらには安全対策等の行政需要を見きわめ、厳しい社会情勢や国との財政構造の健全化施策、それらの区財政への影響を見きわめていくということが必要だ。一方では自治権拡充の方向をどう考えるのか、といったこともあわせ考えて建設について決断する必要がある。
財源をどうするのかという住民に対する説明責任がある。庁舎建て替えをした区は、いずれも財政状況は厳しい。決断は慎重の上にも慎重でなくてはならない。
したがって、現実的な対応として、庁舎・公会堂については、問題点を改修しながら、長持ちをさせて使う方法をとっている。しかし、いずれかの時点で建て替えを決断すべき時期は来る。そのときには仮移転をしないで、現在の場所で、区が業務を執行しながら建て替えることが、建設経費を最小限にできる最善の方法だ。そのためには、公会堂取り壊しが必須となる。
したがって、公会堂の建て替えは、現段階ではやるべきではない。それまでは公会堂は様々の課題を抱えいるので、財政状況を踏まえながらその改修に当たりたい。


【答弁を受けてのコメント】
ただいま区長より答弁をいただいた。
 行政評価制度、認証制度などの認識は一致するところが多かった。どのように区政に反映をしていくのか、今後前向きな検討をお願いする。
 今回の質問テーマは、実は職員が働きやすい環境をつくっていくという点にあった。「人は石垣、人は城」という言葉もあるが、組織の能力は人の意欲や能力にかかっている。その観点から二点提案をした。
 一つは職場環境だ。汎用機系の更新及びBPRの件、あるいは庁舎の建て替えの件、これは職場環境の話である。できるだけストレスなく働ける環境をつくることは重要な要素なので、今後とも向上を図って欲しい。
 二点目は、行政に求められている新しい視点を事務処理の流れの中に組み込んでいく仕組みをつくるということだ。区長の冒頭の発言にもあったノーマライゼーション、これを初めとしてコストパフォーマンス、セキュリティ意識、ジェンダー、NPOや有償ボランティア、地域コミュニティの再生など、行政が直面する新たな概念、視点を無理なく職員に浸透させるためには、事務処理の中に「常に意識をさせる仕組み」を取り入れることが必要だ。具体例として行政評価制度及びISMSなどの制度を取り上げた。
 先日、委員会視察で参りました千歳市では、行政評価制度導入の目的として、職員の意識改革を強調していた。意識させる仕組みとして利用している好例である。区長の答弁にもあるが、すべてを行政評価制度に依存することには無理がある。ただ、問題意識や自己研さんを図っていくことや、あるいは発想を豊かにしていくことの一つの助けとして、行政評価制度を使っていく、こういった考え方もできる。
 財政的にはまだまだ厳しい中、区民サービスの向上には職員の意欲、能力の向上が不可欠である。行政手腕を高く評価されている桑原区長のリーダーシップに期待し、また「未来の渋谷」も今後とも研究を重ねることを誓い、今回の質問を終わる。

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