2003年06月06日

私の区議会での初質問の内容を公開させていただきます。

ご意見などございましたら、メールにてお寄せください。


私は、「未来の渋谷をつくる会」の一員として、渋谷区の抱える6つの重要課題について質問をいたします。

 その前に、お許しをいただきまして一言申し述べたいと存じます。私は、4月の統一地方選挙におきまして、初めて区議会に議席を賜りました。若輩者ではございますが、諸先輩方とともに、10年、20年、30年先の渋谷がすばらしい街であり続けられるよう全力を尽くしてまいります。

 それでは、質問に入ります。
 まず、区民との最も重要な接点である窓口サービスについて質問いたします。
 5月8日以来、数週間にわたってマスコミをにぎわしておりましたのは、ある若手実力者俳優の結婚問題であります。どなたもご存知かとは思いますが、個人にかかわることですので仮にK氏とさせていただきます。このK氏は、婚姻届をもって役所を訪れたものの、書類の不備を理由に受理されず、それがマスコミの知るところとなり、区の対応も含め話題としてなんども取り上げられておりました。当時私は一視聴者として「災難だったな」くらいの感想しか抱きませんでしたが、後にこの件の詳細を知って唖然といたしました。不受理にしたのは渋谷区で、夜間受付窓口であり、しかも経緯としては2回も受理されなかったと聞きました。1回目は戸籍謄本ではなく住民票を持参し、2回目は戸籍謄本を渋谷区において請求してしまったのだと聞いております。
 さて、今回の件について、区としての対応、窓口対応に不手際自体はありません。法令、規則などにのっとった手続きを行った、その結果であることはいうまでもありません。しかしながら、区民とFACE to FACEで対応する窓口の役割から鑑みる時、例え通常の窓口ではなく夜間受付であったとしても、もう一歩気を使う余地があったのではないかと考えます。
 今回の件では、K氏は誕生日に入籍をしようとしたのだそうです。彼にとって大切な一日になるはずであったろうことは想像に難くありません。書類上の不備があったのは本人のミスではありますが、例えばその場で届けはお預かりして後日戸籍謄本を持参した段階で正式に受理をする、つまり受領をすることはできたはずですし、あるいはどのような書類が足りないのか取得方法も含めてきちんと説明し、できればメモなどにしてお渡しをする、そのような配慮を行うことができれば今回の混乱、連日マスコミのカメラが庁舎前でK氏を待ちかまえているという残念な事態にはならなかったのではないでしょうか。制度上誤りがなくとも、人生の節目である大切な晴れの日に立ち会うものとして、今回の窓口における対応は決して最適であったとはいいきれないと考えます。

 区民の立場に立った窓口対応の更なる推進を願い、内容と制度の面から2点質問をさせていただきます。1、研修において、丁寧かつ柔軟な窓口対応をさらに強化される必要があるのではないでしょうか。窓口対応は非常に属人的な要素が強いので、従来の「明るい窓口」「親切丁寧な窓口」に加え、今回の件も踏まえて「臨機応変に対応できる窓口」として研修を強化していただきたいと考えます。2、窓口の時間延長と夜間休日開設を行う必要があるのではないでしょうか。平成13年の第3回定例会におきまして同じ会派の岡野議員が小倉前区長に質問した際には「費用対効果の点で問題があり、今後の推移を考えながら検討していきたい」とのご答弁をいただきました。その際には汎用コンピュータの運用時間などの問題を挙げられましたが、桑原区長の下ぜひ問題の解決と時間延長などの実施を行っていただきたいと考えます。区長のお考えをお聞かせください。







 大きな2点目は、区役所内外の情報ネットワークシステムについて質問いたします。住基ネットをはじめとして、LGWANに向けた取り組みは急速に進んでおります。電子申請・電子入札・電子文書・電子決済などが実現され、役所の業務も大幅に変化をしていくことが予想されます。
 私は以前コンピュータ関係の仕事をしていたこともあるのですが、システムの導入は必然的に業務の変化をもたらします。ビジネスではこれをBPR、ビジネス・プロセス・リエンジニアリングと申しますが、システムを導入・構築することに伴って業務が見直され、うまくいけば大幅に効率化し、予想以上の効果が上がることも少なくありません。その一方で、システムはいったん導入してしまうとなかなか変更することが難しく、使い勝手の悪いシステムを使い続けるなどの弊害もしばしば起こります。先日「自治体総合フェア」なる展示会に行って勉強してまいりましたが、基本となるシステムは展示数も多く玉石混交であります。様々な横文字にとらわれることなく、業務再構築も含めた視点での検討および導入・調整をお願いいたします。
 また、完璧なシステムは絶対に存在いたしません。これは断言いたします。特に、規模が大きくなればなるほどバグというプログラム上のミスは出現頻度が高くなりますし、善意・悪意を問わずの人為的なミス、いわゆるヒューマンエラーもしばしば発生いたします。
 ヒューマンエラーとして大変有名なのは福島県岩代町の事件であります。住基ネットのバックアップ用データを車で運搬中、盗難にあってしまったということでありますが、このような問題は今後も頻発するものと思われます。このようなヒューマンエラーを減少するためには制度の充実と研修の強化による以外ないわけでありますが、渋谷区ではこの部分で大変大きな問題点を抱えているように思います。

 情報ネットワークシステムについて3点ご質問いたします。1、残念ながらまだまだ問題のある住基ネットについて、更なる検討・追加策を行うのでしょうか。個人情報保護法制の成立以降、住基ネットに接続した自治体もありますし、逆に杉並区などでは住民アンケートにおいて住基ネットの接続を拒否する結果が出て、選択制を導入するとも聞いております。2次稼動も始まりますし、区長の所見をお聞かせ下さい。2、特に個人情報の保護について、さらに厳格かつ実効性のある取り組みが必要であると考えますが、いかがお考えでしょうか。区役所内でのコンピュータ・端末の導入はまだまだ不足しており、聞くところによると職員私物パソコンの持ち込みもあるとのことです。私物のパソコンに区民の個人情報などが蓄積され、悪意なく漏洩されてしまうなどのヒューマンエラーが起こる危険性も十分に高いと考えますが、そのようなケースに対する対応、特に私物を持ち込む必要がなくなるように台数を確保するべきではないでしょうか。3、現状あるシステムの相互接続も含めた今後の庁舎内情報ネットワークの構築について、徹底的な業務再検討を併せて行う必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか。先ほど申し上げましたとおり、システムの導入は当たり外れが多く、長期的な視野に立って、徹底的に業務再構築を行っていただきたいと考えます。区長のお考えをお聞かせください。







 大きな3番目といたしまして、区民参加の仕組みについて質問いたします。地方分権の盛り上がりとともに住民参加の制度作りが各自治体で進められており、NPOや事業者も含めた街づくりが期待されております。柱としては3本、住民の知る権利を保障する情報公開、そして住民にさまざまなインフォメーションを行う情報提供、そして住民のアイディアや意見を区政に取り込んでいく住民参加、これらの諸制度です。
 渋谷区では残念ながらこの3点についてまだまだ十分だとはいえない状態になってしまっているように思います。まず情報公開。平成元年につくられた情報公開条例については区民の「知る権利」を保障する先進的な取り組みとして脚光を浴びました。ところが、現在では時代の流れに取り残されつつあり、審議会の提言があるにもかかわらず条例改正は諸事情から先送りされ、昨年末には新聞紙上において「渋谷区の情報公開は時代に逆行している」とまで書かれてしまいました。この報道が正当なものかどうかはともかく、少なくとも情報公開条例については不幸にも不十分なものになってしまっているようです。また、情報提供の機能においても、昨年の雑誌紙上の「地方自治体情報公開ランキング」などで23区の中で最低に評価されてしまっております。更に、住民参加の諸制度にいたっては、まず制度自体の整備充実を行わなくてはいけない段階であると考えます。

 区民参加の仕組みについて3点質問をいたします。1、情報公開条例改正について区長のお考えをいただきたいと思います。わが会派の芦沢議員が平成14年第4回定例会の質問の中で、「提言に沿った速やかな条例改正案の提示をすべき」と質したところ、小倉前区長は問題点を3点上げられました。「議員の情報公開請求について、区議会と論議が必要」「その他の部分でも検討が必要」「個人情報条例の視点からの検討が必要」ということですが、それぞれについて当時とはかなり状況が変わっていると考えますが、いかがでしょうか。2、情報提供について、特に区のHPや区ニュースなどの媒体を強化する必要があると考えますが、区長のお考えをお聞かせください。HPについては現状では区ニュースと同一の内容が中心でありますが、HPにおいては例えば例規集の掲載や各種情報・申請などが考えられます。特に選挙結果の随時掲載などは私のところに何件も苦情が来るほどでありまして、「これは当選祝いのメールなのか、それとも区のHPに関する提言・苦情なのか」と思うようなメールが区の内外から殺到したのはおそらく私だけではないでしょう。利用者の使いやすさや利便性など、いわゆるアクセシビリティの点からも、内容の充実の点からも、再検討する必要があります。
 また、区の第1の広報手段である区ニュースについても、大変認知度が下がっているように感じます。現在の配布手段の中心は新聞折込と区の施設における配布等でありますが、新聞の購読数が減少している昨今、新たな手段を講じる必要もあるかに思います。当然のことながら、どんなにいい施策が実施されたとしても、それが知られていない状態では意味がありません。広報手段の充実に力を入れることは非常に重要です。広報の重要な柱として区ニュースは位置づけられますが、紙面および配布方法の再検討が不可欠であると考えます。ホームページおよび区ニュースによる広報強化について、区長のお考えをお聞かせください。3、住民参加の制度について、パブリックコメント制度の充実、そして常設かつ未成年も対象とした住民投票制度の設置が必要であると考えますが、区長のお考えをお聞かせください。3月19日に示されたパブリックコメント制度の要綱においては「区民生活に深く関わりのある区の基本的な計画等の策定等」と対象が限定されておりますが、これでは本当に機能するのかはなはだ疑問が残る部分があります。計画よりもむしろ区民に身近な諸制度そのものを対象に含め、パブリックコメント制度を頻繁に活用するのが有効であると考えます。
 また、常設の住民投票制度につきましても、例えば合併問題や、東京都および国の施策等、区民を2分するような大問題が起きた場合などに住民の意思を区政に反映する方法を確保しておくという意味で必要性が高いのではないでしょうか。特に、そのような問題では長期間にわたって影響が強いでしょうから、将来渋谷区を担っていく若者、具体的には未成年に対しても参加の道を開くことが必要であると考えます。常設かつ未成年者も対象とした住民投票制度には広島県広島市や愛知県高浜市など条例化の例もありますが、結果として渋谷区民であるという自負心と自治の精神を涵養してゆくこともできる有効な制度となるのではないでしょうか。区長のお考えをお聞かせください。







 大きな4番目といたしましては、現在猛威を振るっているSARSについての区の取り組みについて質問いたします。
日本では感染は広がっておりませんが、トロントなどではいったん制圧が宣言されたものの再発しておりますし、冬に向けて勢力が増していくとの予測もございます。日本に滞在した台湾人医師のケースでは宿泊ホテルやバスなど徹底した取り組みが行われましたが、企業だけではなく該当する自治体も含め大混乱に陥りました。台湾人医師が滞在したとされる京都府宮津市では、市内のホテル・旅館などでキャンセルが相次ぎ、被害額は1億4千万円ともいわれております。
 渋谷区では夜間人口と昼間人口の大きなギャップを見るまでもなく流入人口が多く、さらに繁華街におきましては外国人の方々も非常に多い状態であります。このような中でSARSが渋谷区に絶対に入らないとは断言できません。感染した方が旅行他の目的で渋谷区に入り、体調の異変を感じて病院にいったり、感染に気づかないまま宿泊施設・交通施設・商業施設を利用したりといった行動をした場合にどのように取り組み、どのように対応していくのか事前に明確にしておくことは、危機管理の観点からも必要不可欠であると考えます。

 SARS対策について2点質問いたします。1、渋谷区にてSARSの患者が発見された場合、あるいはSARS患者の滞在がわかった場合にそなえた区独自の取り組みはするのでしょうか。ご所見をお聞かせください。現在国や東京都において様々な取り組みが行われておりますが、区民の安心と感染拡大を最小限にするために独自の対応策を打ち出す必要があると考えます。危機管理の観点からも、事前に十二分に対策を練っておき、区民が安心して生活できるよう体制を作っておくことが必要ではないでしょうか。2、民間の対応についてですが、区の支援策を打ち出していくのでしょうか。ホテルなどによっては一部地域からの宿泊客受け入れを停止する、患者の滞在が判明した場合一定期間休業するなどの対応をとる場合があります。台湾と直接の航路がある那覇市のように市そのものが一部地域からの来訪自粛を要請する場合もありますが、渋谷区でそこまでできるか、またする必要があるのかには疑問がありますけれども、何らかの形で民間の取り組みに対して側面から支援をしていく必要があると考えます。区長のお考えをお聞かせください。







 大きな5番目といたしましては、街づくりと交通に関して質問いたします。
 私の住んでいる地域は、山手通りと井の頭通りに近く、かつ高低差の激しい地域でございます。渋滞、排気ガス、騒音に加えて、坂が多く、放置自転車や放置バイクなどの路上障害物も多く、また幹線道路の改修による混乱などお年寄りやこどもにとって危険な状態になっています。
 このような状況は、区内ほとんどの地域に共通する悩みでもあります。すみよい街づくりを考える上で交通問題は避けて通ることのできない課題ですし、長期的な視点での取り組みが今までもそしてこれからも行われていくべきであるとは衆目の一致するところでございます。

街づくりと交通に関して3点質問いたします。1、幹線道路の改修中・改修後に、さまざまな問題点が発生していると考えますが、どのように認識なさっているのか、それに対する対応はどのようになさるのでしょうか。区長のご所見をお聞かせください。改修中には頻繁に変わる道路事情に対して歩行者などが危険にさらされており、改修後には区道との合流地点などでの信号やミラー位置などが検討されきっていないために危険な箇所が存在すると考えております。これらの問題について都や国に対して要望を強めていく必要があるのではないでしょうか。2、放置自転車・放置バイク対策はいかがお考えでしょうか。駅の入り口付近の放置自転車が転倒する、商店街や大規模商業施設の近隣では夕方などの買い物時間に自転車が集中するなど、安全な交通の妨げとなっております。都心部では共通の悩みとなっているこの放置自転車・バイク問題でありますが、他区でもさまざまな取り組みがなされております。世田谷区ではレンタサイクルポートという、自転車を貸し出す施設が稼動をして一定の成果を挙げています。また、北区の赤羽駅では時間貸し駐輪場が大変有効に機能していると聞いております。これは、短時間の買い物客は無料で駐輪でき、一定時間を過ぎると課金が始まるというものでありまして、渋谷区でも笹塚の商業施設などで導入されている方法であります。赤羽のケースではこの形式の駐輪場と通常の月ぎめ・一次利用駐車場を併用し、状況に併せた柔軟な対応を官民協同で行ったことが実を結んでおります。近年では商店街の空き店舗敷地を利用して小型の駐輪場をつくり、お買い物の行き帰りは自転車を使っていただく、商店街についたらそこに停めていただいて徒歩でお買い物をしていただく、というような方式も研究されていると聞きます。「渋谷区違法駐車等の防止に関する条例」などの取り組みは十分承知しておりますが、安全な街を作っていくために更なる取り組みを導入するべきではないでしょうか。3、コミュニティバスの運行状況と今後の導入についてお聞かせください。坂や細い道の多い渋谷区では区民の身近な足としてコミュニティバスが有効に機能すると思われますが、実際に3月より導入された恵比寿ルートの運行の状況についてどのように評価していらっしゃるのでしょうか。また、実現に向けて検討が重ねられている本町ルートをはじめ、上原・富ヶ谷地区、西原地区、神宮前・千駄ヶ谷地区などでの導入はどこまで検討されているのでしょうか。恵比寿ルートの状況を見る限り、乗客は常に2〜3人くらい、現行の車体では少し大きいのではないかと考えます。特に本町ルートにつきましては狭隘路の通行が困難であることから警察との調整中であると聞いておりますが、例えば乗り合いタクシーくらいのもう少し小型の車輌でまず導入してみるということはできないのでしょうか。まず導入してノウハウや利用者の声を蓄積し、調整がつき次第本格稼動するというやり方の意義は大きいと考えます。区長のお考えをお聞かせください。







 大きな6番目として、生活環境の観点から質問をいたします。
 平成14年に制定された千代田区のいわゆる生活環境条例は高い効果を挙げました。タバコを危険なものと捉え、地域限定ながら罰則を実際に課したことについてはさまざまな議論がありますし、マナーの上にルールを課してしまうのはいかがなものかとも思いますけれども、実際に効果を上げたという点において評価すべきものとも考えます。
 さて、ここにおいて注目する必要があるのは、千代田区のケースではマスコミなどを通じて徹底した周知が図られたことです。ワイドショーなどで取り上げられました、実際に路上喫煙者が科料を加えられる画には大変なインパクトがありましたし、条例の施行以前から区長を中心として何度もアピールが繰り返されました。路上にはわかりやすいように表示なされ、条例自体も大変高い認知を得ておりました。このような周知の徹底こそが結果に結びついたのだと考えます。現に、同じような取り組みを始めた区として品川区、杉並区などがありますが、これらの区では施行を前に周知期間を設けておりまして、しっかりした広報活動が展開されております。渋谷区にも「きれいな街渋谷をみんなでつくる条例」のなかで、タバコのポイ捨てなどが禁止されておりますが、この条例が実効性を持つためには更なる取り組みが必要であると考えております。

 生活環境に関して1点質問をいたします。1、「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」に関して、現状をどのようにお考えでしょうか。路上喫煙までを実際に罰則付きで禁止するかどうかはともかく、まず現行の条例を最大限活用していくべきだと考えますが、そのために重要なのは周知徹底です。今までの関係者各位の取り組み、美化推進委員会を中心とした地域の方々や区の関係者の取り組みには心から敬意を表しますが、さらにNPOや事業者とも共同して「渋谷ではポイ捨てをしない」という雰囲気をつくり、来街者に対してもわかりやすくアピールし、共有することが必要ではないかと考えます。区長のお考えをお聞かせください。


以上、大きく6点の質問につきまして、区長のご答弁をよろしくお願いいたします。

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